Seiji Ninomiya (二宮正治)

Let me tell "JAPAN NOW"

二宮正治の短編小説 神楽はぼくの恋人 第3回

2011-02-23 15:26:26 | 日記
 雄一は日本文化継承のためロックギタリストの大スターの地位を捨てた。本物の日本の文化を求めて日本全国を回り日本料理の修行をしていたが、休憩時間に何気なく見た神楽に目を奪われたのだった。
「スサノオノミコトが八岐の大蛇(やまたのおろち)を退治する場面を放映していた」
 芝居を盛り上げる音楽も抜群である。
「これだ・・・・・・・・・・」
 雄一は絶句した。
「これなら世界のどこに出しても恥ずかしくない、素晴らしい一級品の日本文化だ。ぼくのライフワークにできる」
 こう思ったら雄一はいてもたってもおれなくなった。
「神楽団がある広島へと向かったのである」
 雄一は、
「まず、広島市に行ってしばらく滞在して神楽団の本拠のある広島県山県郡安芸太田町に入ろう」
 こう決意した。
広島に向かう新幹線の中での雄一の頭の中は神楽の事でいっぱいだった。 

二宮正治の短編小説 神楽はぼくの恋人 第2回

2011-02-22 13:45:00 | 日記
 雄一はもう一生遊んで暮らせるお金を稼いでいた。
「だが、遊んで暮らすつもりはない。外国人に『これが日本の文化だ』というものを見せると言う夢を抱いていた」
 だが、今の雄一にはその紹介する文化が何か分からない。
「あせる事はない。その内出会う」
 こう思って全国を回っていた。
だれも雄一の事をロックギタリストのユウイチであるとは思わなかった。
「外国でもおれのギターは受けたが『猿真似でも見るような目つきが気になった』あれは腹のそこでやっぱり日本人を区別しているのだ」
 この思いが雄一の心の中にはいつもあったのである。
北は北海道、南は九州までじっくりと見て回った。
「あるときは札幌ラーメンの修行そしてまたある時は沖縄料理の料理人をした」
 雄一は本物の日本文化との出会いを求めていた。

二宮正治の短編小説 神楽はぼくの恋人 第一回 新連載

2011-02-21 16:52:49 | 日記
 雄一は東京生まれの東京育ちだった。
「ロックギタリストとして売れっ子だった」
 世界的に見ても、
「日本のユウイチ」
 と言ったらロックファンの間で知らないものはいない。
人気絶頂だったが、ユウイチには人知れず悩みがあった。
「自分のやっている事は西洋の猿真似だ。日本が世界に誇れる文化を担ってぼくはそれを世界に紹介したい」
 この思いが日増しに強くなった。
ある日雄一は東京から消えた。
「私は旅にでます。探さないでください」
 事務所に置手紙をして東京から消えた。
マスコミは大騒ぎをしたが、
「雄一の消息はまったく分からなかった」
 雄一の恋人めぐみは悲嘆にくれたのだった。
「雄一は私を捨てた」
 涙をこぼす毎日が続いたが、どうすることもできなかった。
「消息が分からず、行方不明になったのだから」
 それでもめぐみは、
「雄一はいつか帰ってくる」
 と信じていた。

二宮正治の超短編小説 読みきり 私だって女 2月20日

2011-02-20 19:29:02 | 日記
 麻美は30歳だ。夫と二人の子供に恵まれ人も羨むほどの生活を送っていた。
「これでいいのだ」
 迷いがある時、麻美はこう言って自分を慰めた。
それで納得するかに思えたが、
「いいや、これでは自分の人生に納得できない」
 こんな考えが頭をもたげてくるのだった。
「納得できない、特に女としての人生が。お金に困らないからすばらしい人生なのではない。要は自分の生き方に納得できるかどうかだ」
 麻美は自分の人生をこう結論付けたのである。
「夫は優しくて非のない人だ。だが、女心を燃やすような人ではない。」
 麻美は夫にこの部分だけ不満を持っていた。
ある週末、麻美は高校時代の同級生で貧乏画家の田中幸弘に電話をして自分から愛を求めた。
「高校時代ずっとあなたか好きだったの」
 この麻美の言葉に、
「ぼくのアトリエに遊びに来るか」
 と田中は麻美を誘った。
麻美の頭の中には、
「夫と子供の事などなかった」
 あるのは、
「燃えさかる女の情念だった」
 麻美は女を捨てきれなかったのだ。

二宮正治の随筆 2月19日

2011-02-19 02:23:12 | 日記
 私はこの世に生を受けて五十七年間生きてきたが、
「これほどお粗末な政治家の状況を初めて見た」
 あまりのお粗末さにあきれ返る。
もう民主党は、政党としての機能を有しないのではないか。
「情けない」
 日本はどうなるのだろう。
今、中東情勢に火がついているが、
「日本の政治家は中東で政変が繰り返されたら原油価格が上がる事を分かっているのだろうか」
 一バーレル120ドルを軽く越える。
「対処できるかなあ」
 疑問である。
それに、
「法案が通るかなあ」
 疑問である。
名前のようにきちっとした政党らしくして欲しいなあ。
「離党はしないが、法案には賛成しないかもしれない」
 こんな事言う政治家が他国にいるだろうか。
嘆かわしい。