Seiji Ninomiya (二宮正治)

Let me tell "JAPAN NOW"

二宮正治の短編小説 神楽はぼくの恋人 第2回

2011-02-22 13:45:00 | 日記
 雄一はもう一生遊んで暮らせるお金を稼いでいた。
「だが、遊んで暮らすつもりはない。外国人に『これが日本の文化だ』というものを見せると言う夢を抱いていた」
 だが、今の雄一にはその紹介する文化が何か分からない。
「あせる事はない。その内出会う」
 こう思って全国を回っていた。
だれも雄一の事をロックギタリストのユウイチであるとは思わなかった。
「外国でもおれのギターは受けたが『猿真似でも見るような目つきが気になった』あれは腹のそこでやっぱり日本人を区別しているのだ」
 この思いが雄一の心の中にはいつもあったのである。
北は北海道、南は九州までじっくりと見て回った。
「あるときは札幌ラーメンの修行そしてまたある時は沖縄料理の料理人をした」
 雄一は本物の日本文化との出会いを求めていた。