Seiji Ninomiya (二宮正治)

Let me tell "JAPAN NOW"

二宮正治の短編小説 若者物語 太郎の青春日記 第41回

2011-02-09 02:53:36 | 日記
「大学生は気楽な稼業ときたもんだ」
 太郎はこう言いたくて、大学三年生でほとんど単位を取っていた。
「四年生になったら楽が出来る」
 こう考えていたのだ。
だが、太郎の大学生活において大学四年生が一番忙しくて辛い年になった。
「東洋大学の講義を受けるのは月曜火曜でよかったが、新入生の教育、就職活動に追われて休む間もない程だった」
 それに太郎の故郷の広島東洋カープが快進撃を始めた。太郎の故郷の人々が、
「東京でカープの試合がある時は応援してやっ欲しい」
 と太郎に言ってきていたのである。
六月に入った頃から太郎は、カープの初優勝を確信していた。
「思えばあの産業連関論の新田教授が言った『カープの黄金時代が来る』が早くも現実となったなあ」
 太郎は新田教授の言葉を思い出していた。
昭和五十年、太郎が大学四年生の時、土曜日曜もないくらい太郎は動き回っていた。