Seiji Ninomiya (二宮正治)

Let me tell "JAPAN NOW"

二宮正治の短編小説 若者物語 太郎の青春日記 第40回

2011-02-08 02:49:31 | 日記
「何をやってきたんだお前達今まで」
 上級生の激しい言葉が一年生に飛んだ。
「そう言われても・・・・・・・」
 一年生はきょとんとしている。
「先輩怒ってやってくださいよ」
 後輩が太郎に言った。
「四年生の出る幕じゃないだろう」
 太郎の言葉に、
「なにしろおれ達の言う事は聞かないんでねえ」
 と後輩達は呆れ顔だった。
「よろしくお願いしますよ」
 後輩達は哀願する。
「よし分かった」
 太郎は一年生を前に一席ぶった。
「我々東洋大学の学生は大学の歴史の中で一番優秀なる君達一年生を迎えて大変にうれしい」
 この太郎の言葉に、二年生、三年生は呆れた顔をして太郎を見た。太郎はお構いなしに言葉を続けた。
「君達は東洋大学を愛しているからこの学校に入ってきたんだろうと思う。東洋大学カラーを勉強して欲しい」
 この太郎の言葉に、二年生、三年生は拍手をした。
太郎はもう一人の四年生と、
「ぼくの名前はセー坊、ぼくの名前はター坊、二人合わせてセーターだ。きみとぼくとでセーターだ・・・・・・」
 あの今でもある天気予報のコマーシャルをもじって唄った。
「小学、中学、高校と私の人生暗かった」
 今度は藤圭子(歌手で宇多田ヒカルのお母さん)の圭子の夢は夜ひらくの唄をもじって唄った。
「でも、このぼくの名前はセー坊、ぼくの名前はター坊これを唄って、小、中、高と乗り切って来たんだ」
 太郎の言葉に初めて一年生は笑った、そして誰からともなく拍手をしたのだった。
「我々東洋大学の先輩は君達のような優秀なる後輩を迎える事ができて本当にうれしく思う」
 二年生、三年生は呆れていたが、緊張した雰囲気はなくなり穏やかな雰囲気となった。「これが東洋大学なんだ」
 太郎の言葉に、全員が拍手をしたのである。