Seiji Ninomiya (二宮正治)

Let me tell "JAPAN NOW"

二宮正治の短編小説 若者物語 太郎の青春日記 第42回 最終回

2011-02-10 02:11:40 | 日記
 昭和五十年広島東洋カープは悲願の初優勝を遂げた。
「シーズン中、マリやマリの後輩の女子高生達がカープを応援してくれて随分盛りあがったのだった」
 太郎は呟いた。
「こんな日が来るとは思わなかった」
 太郎が幼い頃広島東洋カープは何度も存続の危機に見舞われたからである。
「日本は確実に新しい時代へと突き進んでいる。やみくもな経済成長の時代は終わった」
 太郎は東京の街を眺めてこう思った。
昭和五十年は、
「広島東洋カープの応援、就職活動、後輩の世話」
 これらに追われあっという間に終わってしまった。
昭和五十一年三月、
「太郎は東洋大学を卒業した」
 蛍の光を唄う時涙がこぼれた。
「昭和三十三年に幼稚園に入学して以来の思い出」
 多くの事が頭の中をよぎっていた。
「青春よさらば」
 太郎はこう呟いて東洋大学を後にしたのだった。