Seiji Ninomiya (二宮正治)

Let me tell "JAPAN NOW"

二宮正治の短編小説 神楽はぼくの恋人 第7回

2011-02-27 02:23:57 | 日記
 三段峡を見た夜、雄一は夢を見た。
「三段峡に八岐大蛇が出てきて雄一がそれを退治する」
 こんな夢だ。
目が覚めた時汗をびっしょりと掻いていた。
「八岐大蛇は日本人の心を掻き立てる。すばらしい」
 雄一はため息をついた。
「早く神楽を習いたい」
 こう思ったら寝れなくなった。
夜車を運転してまた山県郡安芸太田町に向かったのである。
 夜の風景は神秘的だった。
「今にも八岐の大蛇が出てきそうだ」
 雄一は遙か古代に思いをめぐらせていた。
「古代の人々と一体になったような気がする」
 夜の神秘を感じながら雄一は車を走らせていた。
山に向かって呟いた。
「八岐の大蛇よ出て来い」