Seiji Ninomiya (二宮正治)

Let me tell "JAPAN NOW"

二宮正治の短編小説 神楽はぼくの恋人 第一回 新連載

2011-02-21 16:52:49 | 日記
 雄一は東京生まれの東京育ちだった。
「ロックギタリストとして売れっ子だった」
 世界的に見ても、
「日本のユウイチ」
 と言ったらロックファンの間で知らないものはいない。
人気絶頂だったが、ユウイチには人知れず悩みがあった。
「自分のやっている事は西洋の猿真似だ。日本が世界に誇れる文化を担ってぼくはそれを世界に紹介したい」
 この思いが日増しに強くなった。
ある日雄一は東京から消えた。
「私は旅にでます。探さないでください」
 事務所に置手紙をして東京から消えた。
マスコミは大騒ぎをしたが、
「雄一の消息はまったく分からなかった」
 雄一の恋人めぐみは悲嘆にくれたのだった。
「雄一は私を捨てた」
 涙をこぼす毎日が続いたが、どうすることもできなかった。
「消息が分からず、行方不明になったのだから」
 それでもめぐみは、
「雄一はいつか帰ってくる」
 と信じていた。