小父さんから

ミーハー小父さんの落書き帳

ビートたけし × 松本人志 (「頂上対談」から抜粋) ’97年

2007年11月04日 | 


・・・・・・(たけし)だけど、『遺書』は随分、神経を使って書いているよね。
(松本)そうなんです。どっからも抗議が来にくいように一応書いているんです。ちょっとやらしい計算も入っているんですよ。五週に一遍ぐらいね、わざと泣かすようなこと書いたり。僕も、そういう自分の性格、嫌いなんですけどね。
(たけし)ただ、人を名指しで批判的に書いている人って、あるんじゃない。あれは相当下のレベルだと思うよ。知的レベルじゃなくて生活レベル。生活苦しいんだろうなと思うもの。互いにやりあって、それでやり合ったことで次の仕事もらって、これ金稼ぎのプロレスごっこじゃねえかと思う時あるな。
(松本)なんか皮肉にも、あの本が売れたんで、僕の名前は結構知られるようになった。お笑い、ずっとやってて、若い子の支持はありましたけど、広く支持されたのは、結局あの本なんです。
(たけし)本の題名は、自分で付けたの?
(松本)遺書ぐらいでいいんちゃうって言ったんです。名前とかね、すごいいい加減に考えるようにしてるんですよ。あんまり考えすぎると駄目で、もうフッとなんとなく決めた方が、なんかいいこと多いですね。ダウンタウンって名前も、なんでもよかったんです。ほっといたら、会社の人にライト兄弟って付けられた(笑)。それでやすし師匠に怒られたんです。飛行機を馬鹿にしてるって。あの人は飛行機好きやから。
(たけし)ライト兄弟っていい名前だな(笑)。だっておれたちの最初の芸名なんか松鶴家二郎・次郎だよ。ジロウジロウ。これは売れないと思ったね。ツービートだって、ツービッコさんとか、いろんなこと言われた。・・・・『遺書』って題名だけど、死ぬこととか考えたりするの。
(松本)というか、なんか家で一人でいて、ああ、このまま死んでも別にいいかなと思う時が、年に二、三回はありますけどね。
(たけし)おれ、家で飲んでんだとばかり思ってた。一人で飲んで、テレビ見て、「何言ってる、バカ野郎」って怒鳴ってんだと思ってた(笑)。
(松本)よくそう言われるんですけど、酒の飲まないんです。今は手当たり次第に本ばっかり読んでいますよ。純文学はあまり読まないけど、ミステリーとか。この間、内田春菊を読んで、ちょっとすごいなと思った。
(たけし)おいらは、バイク事故の時、自殺願望があったんじゃないかってやたら言われた。あの当時の自分を考えると、かなり無茶してるよね。酒もすごかったし、ねえちゃんち行っちゃったり。芸能界に入ってまあまになったけど、先が見えなかったからね。これで駄目になって死んで行くんだったらそれでもいい、というような感じがあったのかもわかんない。テレビのこととか、お笑いとか全然考えてなかたもんね。もう嫌だというかさ。ほとんど仕事も投げたってことは、もう自分自身を投げたってことだよ。下手すると、その当時、やくざと喧嘩してたら、撃たれて死んでんじゃねえかってくらい、それぐらい、なんかふっ切れてたね。今考えるとゾッとするもの。
(松本)死にたいというのはないんですけど、でも二年ぐらい前ですが、本がバーッと売れて、相方のCDがすごい売れてってことがあった。あのあとぐらいになんか見失いましたよね。さてどうしようって。一瞬やっぱり分からなくなるもんですね。もういいかなって思った時期はありました。・・・・・・・



  
    


     「頂上対談」はこちら  (新潮文庫) 文庫 – 2004/6

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