しのぶwaves

有馬忍 ライブ情報 日々記

ひっくりかえるドシの国 26

2005-09-27 20:11:19 | 物語
エルマーちゃんは、足から大理石の床の中へしゅっぽんと飛び込みました。
目の中に少し冷たいけれど澄んだ水がさっと流れ込んだその時、バスタスの姿が
目の前にありました。バスタスはエルマーちゃんを見つめてそーっと云いました。
「今、僕の口から出た一つの泡の中に、王様が入りました。そして、眠りについたんです。このまま、眠り続けたらきっと夢の国は滅ばないよね!」
エルマーちゃんとバスタスは、静かに王様の入った泡を見つめてブルーに透き通る水中でうっとりと見つめあいました。その時、遠くから声が聞こえてきました。
それは、とても悲しいコーラスでした。2人は驚いてその声の方向へ進みました。
その声はこんな風に歌っていました。
   夢はどんなふうに 生まれてくるの?
   苦しいと、何度も、言っているのに
   新しい 夢を 見る事を 許されない
   罪を 犯した 罪人のように ただ祈る
   夢は なぜ 新しく 生まれ変わる事を
   拒むように 美しく 切なく 現れるの?
   もう もう 息ができない 
   もう一度だけ 聞きたい 愛の歌を

25

2005-09-27 13:26:11 | 物語
その時、ソドの国ではヘビ使い達がお城を灰色のとぐろで覆い尽くしていました。
ダガールの歩く後からお城の輝く白いふかふかの絨毯がじっとりと湿った苔に姿を変えていきました。ヘビ使いの面々が深深とこうべえお垂れて、ダカールを迎え入れようとしています。ソドの人々は宮殿の夢格納庫にぎゅうぎゅう詰めに詰め込まれ涙ながらに、助けを呼んでいました。その声はむなしく響いて夢格納庫の中に人々の涙が溢れて、始めは足まで、あっと言う間に、腹まで、そしてついに頭のてっぺんまで達してしまったのです。その時エルマーちゃんは宮殿の食堂から消えたバスタスを追って大理石の光る床の匂いを丹念に嗅ぎながら、僅かな夢枕の匂いに向かって云いました。「コロコロころがってだんだん小さくなるものなんだ?」
すると、床のなかから一本のブルーの糸がするすると出て来てエルマーちゃんの足に結びつきました。