愚図ついていた天気も、お盆が過ぎたら回復し暑い一日となった今日、久し振りに打ち合わせで、汐留シオサイトに行った。
汐留シオサイトに沿って喧騒の第一京浜を歩いて行くと、しばらくして汐留の無機質な超高層ビルと対照的な色彩華やかなイタリア風の町並みの一角が見えてくる。
私はまったく知らなかったが、この地域一体をイタリア風の町並みに構成する計画が進んでいる。
石畳の舗装とアーチやポルティコを備えた、色彩も赤やオレンジを基調としたビルが集積し、賃貸オフィスや、住宅、レストランバーなどが入居していると聞く。
建築の専門家としてみると、それはイタリアの中世的な色合いの雰囲気だが、建物自体の高さは結構高く、道路も広く近代的な町の骨格なので、その組み合わせが何となく陳腐に見えるが、中々面白い試みではないかと思う。
ちょっとした映画のセットのようにも見える。
十数年前に私はこの汐留地区の計画に何回かチャレンジしたことがある。
超高層ビルと、ペデストリアンデッキの組み合わせはうまく行かない事がわかっていたので、超高層ビルの足元は花びらが開くようにステップした基盤で構成し、それが連続していくような形態を提案した。
そのヒントはイタリア中世の丘状の町並みにあった。
まだ、集積した都市の形を取れていない汐留シオサイトの隣地でこのようなイタリア風な街づくりが展開されるとは、何となく奇異な感じがしないでもない。
しかしそれはそれで新橋の殺伐とした町並みの中で、この一帯は何となく一種のテーマパークの雰囲気を感じさせ、潤いを与えてくれる。
この開発をプロデュースしたデヴェロッパーはどこか知らないが、かなりの広さである。
今はオフィスと住宅、レストラン程度の構成なのでまったくハードのみの街づくりであるが、いずれホテルや映画館も出来上がると聞く。
その中に中央競馬会の馬券売り場ウインズ汐留の建物もあり、これも列柱が並んだ西洋風なのも驚いた。
まとまった地域の開発形態は、六本木ヒルズやミッドタウンのような大規模コンプレックス、汐留の超高層ビルとデッキの組み合わせ、そしてこのイタリー街のようなテーマパーク型ともう定番になったようなものばかりである。
そしてどれもしばし佇んでいたいと言う気持ちを起こさせてくれないのは何故だろう。
ミラノのギャレリアの落ち着いたカフェの空間で、何時までも座っていたいと思ったことと何かが違うように思う。
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