木村 和美 Architect

建築家木村和美の日常活動とプロジェクトについてのブログ

●入我我入

2011-04-23 21:28:17 | Weblog

 

 

東日本大震災のような悲惨な出来事があると、人は改めてや生や死あるいは命について深く考えるものだと思う。

私も昨年暮れから引き続いた一連の仕事、そして震災が発生してからのそれに倍する忙しさがひとまず収束したこの一週間、頭の片隅に常に宿っていたこれらのことについて考えてみた。

 

文芸春秋5月特別号に池上彰氏が、宗教について信仰界の識者と対談した記事が掲載されている。

その中で私にとっては長野県松本市の神宮寺住職をされている高橋卓志氏の意見が非常に印象に残るものだった。

氏は家業と化した現代のお寺の再活性化を色々試みているユニークな方だが、そのための基本的なことは、お坊さん自らが苦の中に入り込んでいくことだと言う。

そんな体験をする中でお坊さんの発心が生まれ、意識改革が行われていくことを自らのニューギニアでの戦没者の遺骨収集作業や、チェルノブイリでの医療活動へ参加した事を引き合いに出し、極めて興味深い対談となっている。

 

”入我我入”とは真言宗の修法で謳われている言葉で、仏と行者が一体となる観想だが、仏と一体になる事ばかり考えていてはダメで、衆生と現実の世界で一体とならないと意味がないことだとされている。

そして先の高橋氏の意見は、それをストレートに表現し本来の仏法の真髄を語っていると思う。

又、生老病死の中での”苦”こそ仏教の最大のテーマではないだろうか。

 

オーストラリアのジュリア・ギラード首相(写真)が被災地の南三陸町を、外国首相として初めて訪問したことが報じられた。

女性らしく被災地の市民をやさしく慰労するさまは、わが国の首相とはまったく違う政治家の姿を見せ付けられた思いではある。経歴を見ると菅さんと同様学生組合運動からスタートした左派活動家である。

彼女は、資源国の首相として様々な資源の提供は勿論だが、われわれが出来る事は教育の支援だとし、すぐさま被災地の学生や研究者を政府支援留学生として受け入れる事を表明した。

その聡明な受け答えと卓越した弁舌そして行動力は、かのマーガレット・サッチャーを想起させるに十分な政治家だと思う。

英国ウエールズ生まれのこの女性はひょっとして今後の国際政治で大きな役割を果たすのではないかとさえ思わせる行動振りであった。

 

我々も今後の限られた時間を有効に使い過ごすためには、テーマを絞りそこに自らを没入して生きていくことこそ、生死を考え命を大切にすることではないかと思う。

 

 


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