木村 和美 Architect

建築家木村和美の日常活動とプロジェクトについてのブログ

●フクシマ・シンドロームと復興会議

2011-05-24 15:44:19 | Weblog

 

 

今日の東京電力の発表で、2号機、3号機とも既にメルトダウンを起こしていたことが報道されたが、特に異常ある事態ではないという事だった。

常識的にメルトダウンと言うと大変なことで、チェルノブイリではその後爆発が起こり、大気中に放射能が撒き散らされのは良く知られた事だが、その割には今頃平然と発表する事も信じられない。

又それを許容している原子力保安院、経産省そして事故発生後海水注入云々を誰が指示したかなど責任転嫁に身をやつす政府にもいささか幻滅を禁じえない思いである。

 

私の仕事の地震関係の調査が一段落した事もあり、その後の東北地方の震災後の状況や対応等をひとしきり新聞やニュースなどで読んでみたが、ガレキの撤去や義捐金の分配等はなかなか進んでいないようである。

そして最大の問題の原発事故の収束工程表もいい加減な希望的観測であることが段々明らかになってきた。

 

しかし素人目だが、菅政権はなぜ、早くこの震災の復興担当大臣を決めてしかるべき処置をとらないのだろうか不思議で仕方がない。

震災復興会議なるものを造ったり、今日は原発事故検証会議などを造ったようだが、あたかもこれらの会議が責任を持って事を行うように報じられるのも不思議な事である。

事が起こった時には、短期にすぐやるべきことと、長期的に行うことを区別して的確な指示をし、その間のプログラムを示しながら、様々な手当てをしていくことがトップリーダーに課せられた仕事だと思う。

短期的なことは行政のプロ=官僚、政治家に任せればよいと思うし、長期的なことは復興会議の有識者等でスケジュールを区切ってやればよいと思うが、報道によると現在は復興会議で税金の話をしたり、基本的な哲学が出てきたりおかしな事ばかりが伝わってくる。

 

復興会議のメンバーに建築家の安藤忠雄氏が入っており、震災地に”鎮魂の森”を作ろうと提案している。

あるテレビ番組で、そんな事は後でやりますから、早く今困っている人の生活と雇用を何とかしてくださいと批判されていた。

復興会議には日本を代表する各界の著名人が入っているが、復興会議の位置づけが曖昧だから議論の焦点が絞れずこんな意見が出てくるのは当然だろうと思う。

 

原子力発電の歴史を見ると、これも日本が弱い外圧の一つかとも思う。

フクシマの原発はGE製で、アメリカ側に買わされ非常用電源の位置に疑問があっても日本の技術者は何もいえなかったとか、、、。

高度成長期の道路や新幹線の次は原発が唯一の地方振興策で、時の自民党政権とタッグを組み原発交付金と一緒に全国へ展開したことなど。

現在でも日立とGE,東芝とウエスチングハウス、三菱とアレバ(フランス)は深い関係にあるそうだ。

 

私も1980年代初頭、浜岡原発のまち御前崎の電源三法交付金によるまちづくりに参加しことがあるが、当時は何もなく貧しかった町をこれで豊かにしようと色々議論したものだった。

1978年にスリーマイル島の事故が起り、ジェーンフォンダ主演の映画チャイナシンドロームが公開されて反原発の機運が出てきた頃だが、その当時は浜岡で原発に反対する意見は少数意見だった。

と言うか生活の向上の方が優先されたということだろう。

 

様々な経緯に包まれた伏魔殿のような原子力発電を取り巻く状況、その上に未曾有の東日本大震災である。

とにかくもう少し早く、物事が進むような政治体制になって欲しいものである。

でないと又違う外圧が知らないうちにわが国をメルトダウンに追い込むような気がしている。