ごんぎつねの独り言 ~技術士試験(建設部門:道路、総合技術監理部門)の受験記録・ブログ~

不器用で、愚直で、貧乏くじを引くのが大得意な "ごんぎつね" が本音で綴るブログ。 恐縮です(^^ゞ

建設コンサルタントの今後

2009年11月16日 | 普段力 etc.
技術士(建設)の保守本流の職種は建設コンサルタントである。
私自身は建設コンサルタント専業企業に所属したことがないので、過去も、現状も、今後も、よくわからない。

そのため、これまでも自己研鑽を兼ねて調べて記してきた。
2009年3月17日のエントリー 「建設コンサルタント」
2009年5月28日のエントリー 「建設産業における役割分担」

少し前になるが、技術士受験を応援するページ(SUKIYAKI塾) の掲示板で、建設コンサルタントの今後について論じられた。
その中で、APECさんが持論を披露された。

少しでも理解を深めておきたいので、一部を引用し、備忘録とさせていただく。

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全くの私見ですが、私は旧来のインフラ整備は、高度成長経済期から「日本列島改造論」に至る時期に、高度成長経済により蓄えられた(あるいは蓄えられる)富を「再配分」する役割を担っていたと考えています。
高度成長経済期から安定成長期にかけて、我が国のジニ係数はぐっと低下しました。
60年代にあった都会と地方の差は、その後20年から30年かけて、本当に縮まったと思います。
1億総中流時代などといわれましたが、特にITによるサービスが普及する以前は、「地方が豊かになる」ことについて、インフラ整備進展が大きく寄与したと思います。
単に道路がないから道路を作るといったことだけでなく、こういった「意図」をもって地方のインフラ整備をやってきたのではないかと考えます。
これは意図的な手段の目的化ともいえますが、そこには「地方を豊かにする」の「地方」を「自分」に置き換えてしまう者が出てくる余地はおおいにあったでしょう。
おそらく(さらに私見ですが)、それを許容するだけのプラス効果があったのでしょうね。
おいしい思いをする奴らは確かにいるけれど、わがふるさとは確かに良くなっていくからいいか、みたいな。
しかし社会基盤整備の充足率が高くなれば民意としてのニーズは低くなり、ジニ係数が十分低くなっているのになお従来の「富の再配分」をやろうとしても無理があるわけで、「地方を豊かにする」と「自分を豊かにする」の比率が国民に許容してもらえないくらいになったということではないかなあと思います。

こういう中、新政権のことを取り上げた日経コンストラクションの記事を見ると、アンケートでは同誌読者の過半数(確か7割ほどだったか?)は新政権の動きに肯定的で、確か40%台が削減やむなし、業界も変わるべきとの意見でした。

少なくともこれまでと変わらぬ形での業界存続は無理だろうと考える中で、
①パイが小さくなった分、業界から離脱せざるを得ない者
②業界の中で新たなビジネスに活路を見出す者
③従前のインフラ整備もゼロではならないからここを小数で分け合い存続を目指す者
と、ざっと三者にわかれるでしょうか。

おそらく一番多いのは②ではないかと思います。
②には海外展開とか維持管理市場といったものも含まれます。
見方にもよりますが、ここ5年ほどの間に新たに増えた仕事は②に入るのかなと思います。
たとえば耐震補強調査設計とか土壌汚染調査なんかですね。
またこれからは維持管理市場で既存インフラの点検とかアセットマネジメント系の仕事が増えるでしょう。
環境ではカーボンオフセットの付加価値増大とともに、一次産業とのコラボ的市場が成長するかもしれません。
多くの経営者・技術者が、旧来の市場の成長限界を認識し、そういう中で新市場・新開拓分野もあることに希望をつなごうとしていることが、上記アンケートの結果になっているのではないかと思います。

添付の画像(掲載省略)は、3年前に講演させていただいたときに作った「これからの市場候補」みたいなものですが、かなり現実のものとなったものもあれば、「これからこっちかな」と思うものもあります。
少なくともこのど真ん中の「新設・改良」市場はどんどん小さくなっていくでしょう。

ところで、件の日経コンストラクションには前原大臣のインタビューの後、馬渕副大臣のインタビューもあって、ここで副大臣は「建設事業は維持管理市場のニーズが高くなるから縮小しない」といった主旨のことをおっしゃっています。
ただそれは10年後を見通しておられ、じゃあそれまで食いつなげない業者もいるが、といった質問に対しては明確に答えておられません。
上記②の新市場の中には、すでに市場として確立しつつあり、参入リスクが小さくなりつつあるものもあります。
経営者は①を選ぶのでない限り、③にしがみつきながらも②に軸足を移さざるをえません。
③のみにしがみつく経営は愚策でしょう。
そして、いかにスムーズに軸足を移せるかは、それを支える技術者の確保いかんだと思います。
たとえ経営者が談合その他で仕事を取ってこようとも、その仕事を実際にこなすのは技術者です。
技術者自身が旧来の技術だけにしがみついていたら、結局会社は継続できません。
言い換えると、我々技術者は、上記②の技術力を獲得していくことで、経営者に③から②への軸足移動を促すことができ、それはコンプライアンスを無視した無理・無法な受注を抑制する効果ともなるのではないかと思います。

そして資格は、「私はこういうことができますよ」というアピール、技術者の能力を伝える「声」です。
その中でも一番大きな声になりえるのが技術士ですが、RCCMにしても他の資格にしても、声になりえるのは確かでしょう。
そういう意味で、こんな時代だからこそがんばってほしいなあと思います。

最後に余談ですが、建コン技術者の「声」はTECRIS点数、資格、CPDだと思っています。
その中でTECRIS点数に無関心な人が多いのはちょっと驚きです。
会社を替わろうがずっとついてくる「個人点」であり、積み重ね点なので一度低くなったりすると戻すのが大変な、技術者個人にとっては大切な点数であるはずなのに・・・・
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