● もしもあなたが蓮舫氏と 小池百合子氏の“姑”だったら?
東京都知事選は、現職の小池百合子氏と東京都選出参院議員の蓮舫氏の一騎打ちになりそうです。二人とも、熱烈なファンとアンチファンがいること、大きなスキャンダルを抱えていることが共通しています。
前者はカイロ大学卒業疑惑、後者は台湾との二重国籍問題です。
その双方の疑惑報道に私も文春時代に関わってきましたが、今回は視点を変えて、「姑目線」で二人の女性候補を見てみましょう。
もちろん、都知事選は小さな国家なみの首長選挙ですから、「姑目線」だけで決めていいとは思いません。
しかし、口先の公約や演説が得意な人ほど、実際の私生活は真逆というのもよくある政治家の姿です。
やはり私生活でも「公約」に近い暮らしをしている政治家の方が信用できます。
一応、議員の息子だった私も、父の「公約」によって家族の私生活が縛られました。
私の父の公約は「麻雀、競馬、パチンコ、ゴルフはやりません」。
そんな公約を掲げた政治家の息子が、これらの遊戯をするわけにはいきません。
落選したら議員はただの人、家族の生活も零落します。
だから、必死で父の公約を守りました。
おかげで、いまだに賭け事もゴルフもできません(笑)。
小池氏も蓮舫氏も、今は独身ですが、二人とも結婚していた時代も恋人がいた時代もあります。
残念ながら、二人の姑はともにメディアで発言していないので、息子のお相手をどう思っていたのかわかりませんが、姑が気になりそうな話をいくつかご紹介したいと思います。
まず、私が若いころをよく知っている蓮舫氏から始めましょう。
クラリオンガールとしてモデルデビューした蓮舫氏は、週刊文春のグラビアにも登場。
当時編集部員で、のちにエッセイストとなった故勝谷誠彦氏が惚れ込んで、マニラで撮影するグラビアまで企画していました。
その後、キャスターとなってからも、私は記者仲間として付き合いがありました。
飲み会も何度もやりましたが、彼女が興味を持つのは「解散」がいつか。
つまり政局ばかりで、政策やこの国をどうするのかといった議論には全然興味を示しません。
私は、「ああ、彼女はこの国の政治記者、いや実際には政局記者になりたい人で、そのうち政治家になるのだろうけど、大成しないだろうな」と思っていました。
● 「お小遣い」は仕分けの必要さえなし? 蓮舫氏「びっくり格差婚」の顛末
しかし一番驚いたのが、リベラル系雑誌『インサイダー』の編集長・高野孟さんのスタッフだった村田信之記者と唐突に結婚したことでした。
村田氏自身も週刊文春に出入りしていた記者でしたが、地味な存在で、記者というより高野氏や田原総一朗氏のスタッフという感じでした。
そんな若者とニュース番組『ステーションEYE』でメインキャスターを勤める美人キャスターの結婚(当時は番組スタッフでもありました)ですから、格差婚としか言いようがありません。
プロポーズの言葉は「芥川賞をとるから結婚してくれ」だったらしいのですが、結婚している間はいつも「いつとるの?」といじられ、ついにはテレビで「ペット以下」と言われてしまいました。
これには、世間から猛烈な批判が沸き起こりましたが、本人は「ふざけあっているだけ」と鷹揚な対応。
いかにも、実質「ヒモ」というか「妻の七光」生活に浸りきっていたように見えました。
蓮舫氏が政治家になる前、北京大学に留学するため夫婦で中国にわたり、子供も授かりますが、大学に行く彼女を支えて主夫業を果たすのは、妻から「ムラ」と呼ばれていた彼ばかり。
その後議員になり、民主党政権で有名な「仕分け」を仕切り、「2位じゃダメなんでしょうか?」と有名なセリフを吐いた時期も、夫の村田さんは「家庭内でも仕分けはあるんですか?」と問われ、「お小遣いも『仕分けしている』と言うんですが、もらった記憶もないんで(笑)」と自嘲していました。
1993年早稲田大学政治経済学部卒業、2005~2006年早稲田大学大学院公共経営研究科で修士号を取得、鳩山由紀夫内閣で内閣官房専門調査員に就任と経歴は立派そうですが、妻と高野・田原人脈の影を感じます。
そして、2011年目黒区議選に出馬するも惨敗。
妻の蓮舫氏も応援しましたが、彼女の持つ基礎票さえ獲得できませんでした。二人には双子の男女の子どもがいて、息子さんの方はタレントを経験したあと、なぜか自民党に入党して糸山英太郎氏の養子となり、政治の勉強をしているそうです。
蓮舫氏は議員になってからも、さまざまなトラブルを起こしました。
ファッション雑誌『VOGUE NIPPON』2010年11月号に、国会議事堂の中央階段などで撮影した写真を掲載し、「議事堂内での撮影について、私的な宣伝や営利目的に当たる行為は許可されていない」と厳しく糾弾されました。
結局2020年に「価値観が違う」を理由に村田氏と離婚。
彼はその後、釜石市の市議会議員に当選して、現在は東北で活動中です。
私は「主夫業」を否定はしません。
が、蓮舫氏の場合、いかにも金持ちのお嬢様が、都合よく男性をこき使っている感があります。
子育てについても、保育所は利用せず、村田氏と彼の友人のベビーシッターと本人の3人で分担。
彼女は「私も主人も仕事がフリーランスですから、自由に行動できます。
ベビーシッターは元保育士の男性で、彼は基本的に私と考え方が似ているし、子どもたちもなついてる。
いろんな子を見てますから、私たちより子どものことがわかっていて、彼の判断やアドバイスは正しいですね」と自信満々に子育てを語ります。
これが一般庶民の女性層の共感を得られるのか。
には「上から目線」発言が気になります。
そして、最初から気になっていた「政治ではなく政局好き」は今も変わりません。
都知事出馬宣言でも、
小池都政攻撃の舌鋒は説得力のあるものでしたが、
彼女が東京をどうしたいのか、
具体的な政策は何もありませんでした。
● 小池百合子氏も出馬確実? 周囲を戸惑わせる「ある言動」
一方、挑戦を受けて立つ形になった(まだ出馬しない可能性も10%程度はあるという人もいますが)小池氏は、高飛車なお嬢様「蓮舫」と比べると、苦労して成り上がった老練さが特徴です。
もっとも彼女も政策型ではなく、政局型。
機を見るに敏な政治行動でここまで登りつめました。
ただ、実際に小池氏に仕えた官僚たちの評判は必ずしも悪くありません。
官僚の提案をよく聞いて実行してくれるという評価が多いです。
ただ、「パーティのスピーチを始めるとき、必ず『今日は日本語ですか?英語でやりますか?』と聞くのが厭味……」なのだそうです。
さて、大学卒業疑惑ばかりが話題になる小池氏ですが、実は結婚歴があります。
その詳細は今でも不明ですが、彼女自身の著書『振り袖、ピラミッドを登る』のあとがきに、お世話になった人として登場する男性がその人です。
かなり激烈な離婚騒動があったらしく、それ以外は彼女の著書には一言も彼のことは出てきません。
また、小池氏が結婚を望んだと言われる男性の恋人も存在しました。
では、「姑目線」で見た小池氏はどんな女性なのか。カイロ大学の卒業疑惑については、ここでは触れません。
ただ、彼女のカイロ大学での生活ぶりは、小池氏という人物のことがよくわかるエピソードに満ちています。
ここからは、ほとんどをベストセラー『女帝 小池百合子』(石井妙子著)
から、ご紹介します(一応、私は取材の協力もしたので、石井さんには長い引用をお許しいただけると幸いです)。
(1)アラビア語の勉強はせず、カイロの日本人商社マンの相手ばかりしていました。
小池氏の父がエジプトで利権漁りをするため、カイロを訪れるたびに娘と商談の席にホステス代わりに連れ出されます。
カタコトのアラビア語を話し、振り袖の彼女はモテたそうで、口の悪い日本人留学生はゲイシャガールと呼んでいたそうです。
(2)彼女はルームメイトとともに、アラビア語を勉強するために部屋をシェアしていました。
しかし、ルームメイトによると次々と男性客が訪れてきます。
ルームメイトはお茶を出したり、料理を作ったりで勉強などするヒマがなく、小池氏が日本の商社の男性に誘われて、ゴルフやテニスに出かけるとき、集中的に勉強したということです。
(3)仕送りは全くなく、どうやって生計を立てていたかは、友人もよくわからなかったそうですが、あるとき強烈な体験をします。
父親がカイロに来てヒルトンホテルに宿泊。
小池は父親に会った後に大きな巾着袋を持って帰ってきました。
中から出てきたのは、ヒルトンの備品であるコーヒーカップ、皿、ナイフ、フォーク、シュガーポット。白い巾着袋に見えたのは、テーブルクロスでした。最初は悪戯だと思っていたルームメイトも、同じことが度重なるのを見て、
小池氏の生活が厳しいことがわかったといいます。
(4)結局、全然アラビア語を勉強しないまま、パリ短期留学などをしている彼女を、ルームメイトが心配し、一度アラビア語のノートを見たことがありました。
そこには、あまりに拙いアラビア語が書かれてあり、英語でいえば「This is a pen 」にあたるような言葉がぎこちなく上下していました。
「大学入学は大丈夫なのか」と聞いても、本人は「父がドクター・ハーテムという実力者と親しいから、頼んでくれる」と言うばかり。
実際、少し時間はかかったものの、ハーテムルートで2年生からの編入入学が実現したそうです。
● 敵を作り出すのがうまい 「オヤジキラー」の選挙戦
こうしたカイロ生活の果てに、前述の男性との結婚生活が始まり、ルームメイトとの生活は終わりました。
その男性がその後彼女にアラビア語を教える係になったようですが、彼も彼女を支え切れず、短い期間で離婚しました。
うまく利用されたとも言えるでしょう。
その後、帰国してからの親父キラーぶりと出世ぶりは、みなさんもご存じの通りです。
オヤジキラーは敵を創り出して選挙をするのがうまく、郵政選挙では兵庫から東京に鞍替えして小泉政権大勝の大功労者となり、都知事選では都議会のドンを徹底的に攻撃して大勝しました。
一方の蓮舫氏は、お嬢さん育ちですが、同じく敵を作り叩きのめす言葉が売りものです。
今回は「姑目線」で2人の私生活から浮かび上がる人物像を見てきましたが、一体どんな罵り合いが始まるのか、ある意味面白い選挙になるのは間違いないでしょう。 (元週刊文春・月刊文芸春秋編集長 木俣正剛)