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THE BEATLES AT THE HOLLYWOOD BOWL

2009-08-05 15:22:39 | 音楽:懐かしの洋楽
 オリジナル・アルバム制覇の前に、他の企画盤も扱おうと思います。

 まずは、解散から7年経ってから発売された、初の公式ライヴ盤“THE BEATLES AT THE HOLLYWOOD BOWL”(邦題:『ザ・ビートルズ・スーパー・ライヴ!』)です。

 リリース当時はちょっとしたビートルズのリバイバル・ブームでした。日本でもカタログが整理され、またコンピレーション盤“ROCK'N'ROLL MUSIC”や、イタリアやオランダで編纂された各ベスト盤の発売、シングルの再発売、「ビートルズ事典」の刊行など、ずいぶんと充実していました。私が彼らのレコードを買っていたのもこの頃です。
時代を映すエピソードとして、この『スーパー・ライヴ!』のライナー・ノーツに、Martinの娘が夢中になっているBay City Rollersとの比較に言及されています。

 レコードの様々な実験を試み、新しいサウンドを追求した楽曲もワクワクしますが、それまでに無かったスタイル---自分達で歌をつくり、演奏しながら歌う---はカッコいいし、スーツを着てワイルドに振る舞い、左利きのMcCartneyがLennonやHarrisonと1本のマイクに寄り添って歌う姿に、ステージも魅力を感じます。聴いたことも無い、奇妙だけれど素敵な歌に、世界中が熱狂するハズです。

 ハリウッド・ボウルは自然の中にある、大きな野外音楽堂です。半球のステージは音響効果もよく、このレコーディングの時のビートルズのパフォーマンスは、かなり良いものです。


 レコーディングが行われたのは'64年8月23日と'65年8月30日です。'65年には8月29日にも録音が行われたのですが、(舞台向かって左の)マイクのトラブルか、McCartneyのヴォーカルが録音されていませんでした。
 また、このレコーディングにCapitolが用意した3トラックのレコーダーが使われました。のちに'77年にMartinとGeoff Emerickがミキシングを行う時には、3トラックのマスターを再生するプレイヤーが手に入らずに困ったそうです。

 レコーディングされた日のセットリストは次のようなものです。( )は『スーパー・ライヴ!』の曲順です。
●'64年8月23日
 Twist And Shout
 You Can't Do That
 All My Loving(B-4)
 She Loves You(B-5)
 Things We Said Today(A-6)
 Roll Over Beethoven(A-7)
 Can't Buy Me Love
 If I Fell
 I Want To Hold Your Hand
 Boys(B-1)
 A Hard Day's Night
 Long Tall Sally(B-6)

●'65年8月30日
 Twist And Shout(A-1)
 She's A Woman(A-2)
 I Feel Fine
 Dizzy Miss Lizzy(A-3)
 Ticket To Ride(A-4)
 Everybody's Trying To Be My Baby
 Can't Buy Me Love(A-5)
 Baby's In Black
 I Wanna Be Your Man
 A Hard Day's Night(B-2)
 Help!(B-3)
 I'm Down


 そして、以下が『スーパー・ライヴ!』の曲順と収録日です。
A-1 Twist And Shout ('65年8月30日)
A-2 She's A Woman('65年8月30日)
A-3 Dizzy Miss Lizzy('65年8月30日)
A-4 Ticket To Ride('65年8月30日)
A-5 Can't Buy Me Love('65年8月30日)
A-6 Things We Said Today('64年8月23日)
A-7 Roll Over Beethoven('64年8月23日)
B-1 Boys('64年8月23日)
B-2 A Hard Day's Night('65年8月30日)
B-3 Help!('65年8月30日)
B-4 All My Loving('64年8月23日)
B-5 She Loves You('64年8月23日)
B-6 Long Tall Sally('64年8月23日)

 MartinとEmerickは実に巧妙に、2日間のレコーディングからより良いパフォーマンスと録音状態のテイクを選びました。ヒット曲が網羅され(‘I Want To Hold Your Hand’と‘I Feel Fine’はパフォーマンス的に難があってカットされましたが‥‥)、LennonとMcCartneyのリード・ヴォーカル曲がバランスよく配置されました。
 3トラックしか無い音源から、2人はミキシングでも驚異的な仕事をしています。ピークと録音レベルがまちまちだったものをリミッターやコンプレッサーを駆使して整え、適度なリヴァーブを加えて広がり感を出し、演奏と絶え間ない狂ったような歓声とのバランスをも調整しています。
 こうして出来上がったマスター音源が、MCも加えて流れるように編集され、まるで一夜のコンサートをそのまま録音したかのようなアルバムに仕上げられました。多少手が加えられているとはいえ、これは紛れも無く、狂騒の中でライヴ・パフォーマンスを続けていたビートルズの「時代を象徴するライヴ・アルバム」に違いありません。ステレオで収録された大歓声(悲鳴?)の中、モニター・スピーカーも無くて自分達の声も聞こえない中でのパフォーマンスに圧倒されます。


 私はB面の流れが大好きです。Ringoのヴォーカルはもちろん、‘Boys’でのHarrisonのリードもカッコいい! ライヴ終盤でのLennonのかすれた声も生々しくて好きです。

 なぜCD化されないのかなぁ‥‥。

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