●「石の神話」平成8年9月14日放映 ガクマα、ガクマβ登場
制作第2話 放映第2話 脚本:右田昌万 監督:松原信吾
『ウルトラマン』制作第3話「科特隊出撃せよ」へのオマージュがたっぷりなエピソードです。ガクマα(1本角)が洞窟の奥に姿を見せるシーンは、井戸の中でホシノ少年がネロンガの眼を目撃するシーンを彷彿させます。ただし、効果音とともに現れるネロンガの「巨大な眼」の方がインパクトがありましたが。
GUTSが出動する前にTPCの調査隊が現場にいるというのは、組織の大きさを感じさせます。これまでのウルトラのシリーズでは無かった描写です。
現地の採石場の人たちはみんなが知っている「ガクマ」というのが何なのか、TPCの隊員たちは知りません。採石場の現場監督は「神獣ガクマ」の存在を信じていないようですが、彼は会社から派遣されてきた中間管理職なのでしょう。彼のような外地の人が現地の伝説を軽視する描写は、これまでの怪獣映画・番組で繰り返されてきました。そしてパターンとしては、彼が伝説で禁じられている掟を破り神獣が暴れだす、というものが王道的展開だと思いますが、ここでは何もしなくてもガクマが現れます^^;
洞窟の中でTPCの調査隊員がガクマに襲われるシーンでは、一瞬ですが「1/1の造形物の巨大なガクマの手」にTPC隊員たちが掴まれるシーンがあります。こんな見逃してしまいそうなシーンに、ずいぶんと予算と手間をかけていたのですネ。
人間を石にしてしまうガクマの特殊能力の描写の後に
(1)「ガクマは石を食べる怪獣」
(2)「石を掘り過ぎてエサになる動物がいなくなった」
(3)「おまけに、ガクマが蓄えていた石を人間が奪っていく」
(4)「ガクマは怒って人間を襲うようになった」
というセリフがありますが、ガクマとは「自分で石を作って食べる怪獣」なのでしょうか? (2)のセリフは「ガクマが石を掘り過ぎた」のか「人間が石を掘り過ぎた」のかが不明瞭ですが、「ガクマは自分で動物を石にして食べていて、その石を食べ過ぎたので動物がいなくなった」という意味でしょうか。ガクマは何だか身勝手なヤツかも‥‥。
一方、GUTS本部ではゴルザの行方を追っているのが、第1話からの続きということが感じられます。そして、サワイ総監からの「久良々島に怪獣が出現」という連絡に「ゴルザですか?」と反応するイルマ隊長が、さらにダメ押しで第1話の続きを強調します。
ここで、GUTSのライドメカにやっと怪獣攻撃用の武器が搭載される決定がなされます。こういう描写が丁寧に盛り込まれていることが嬉しいです。
現場に赴くサワイ総監。TPCのヘリコプターは合成? 見事に馴染んでいて驚きます(^o^)
ガクマの角の本数について、現地の作業員の間で証言が分かれます。これがガクマが2体いることに繋がっていきますが、ガクマを2体登場させることによって、GUTSウィング2号のデキサス砲の威力とティガの活躍を描くことができました。『ティガ』という作品世界を紹介する課題を上手く消化した脚本です。
GUTS本部ではダイゴとヤズミが「巨人」の能力を分析しています。この時点ではまだ「巨人」に名前がありません。
ヤズミの分析により、「巨人」の色が変わることと、パワーとスピードのバランスの関係が明らかになります。ここで視聴者も、初めてタイプチェンジについて理解できるようになっています。雑誌媒体などでの情報を知らない視聴者に、作品世界を説明する上手いシーンです(^o^)
また、「ライフゲージ」(かつてのウルトラマンたちの「カラータイマー」を、『ティガ』ではこのように呼びます)とティガの活動時間の関係も、ヤズミによって解説されます。ウルトラシリーズのお約束をこのような形できちんと説明されるのも、16年間TV放映が無かったための配慮でしょうか。これで当時のチビッ子たちも理解できたことでしょう(^o^)
そして、「なぜダイゴがティガになったか」の説明も、ユザレのタイムカプセルによるホログラムのセリフとして語られます。ここで「ウルトラマンティガ」という呼称(変身アイテムの「スパークレンス」の呼称も)が明らかになります。「ダイゴのDNAには古代の英雄戦士の情報がプログラミングされている」という理由でウルトラマンとなったダイゴですが、彼は自分がウルトラマンであることを拒絶します。突然そのような立場になってしまった自分に戸惑うことは大人には理解できますが、チビッ子には難しいでしょう。この辺りの展開はもう少し練られた方が良かったように思います。
「光の巨人」と古代文明の関係、「ダイゴが光でありヒトである」ことなどの設定が、きちんと最終話や第45話で収束されることに感心します。
ガクマαが地上に現れ、いよいよ武器を搭載したGUTSウィング1号が出動! 格納庫でのミニチュアは巨大感が感じられます。左奥に別の1号の機体が見えていますが、同型機が複数存在するということに、私は非常にリアリティを感じてしまいます(^o^)
「Gがキツイですヨ。」というレナ隊員のセリフに、彼女がエースパイロットである実績が感じられます。一言の中に、その登場人物のバックボーンが感じられるセリフというのはイイですネ。特に特撮ヒーロー番組だと、登場人物の冷静さ、余裕などの、背景となっている実力(ハッタリでなく)が感じられるセリフに燃えます!
登場したのはイイのだけれど、あっという間にやられてしまう1号‥‥。レナとムナカタの危機に颯爽と登場する2号! デキサスビームが炸裂! 爆発四散するガクマα。ん~、2号はカッコいいなぁ~。
ガクマβ(2本角)が現れ、ティガが登場! 番組後期に比べると、ティガの「テア!」という声が少ないように感じます。
ガクマβの角が回転して前向きになるのも、ネロンガへのオマージュでしょう。爪や角での攻撃を受けるとティガの体から火花が散るのは、戦隊シリーズを見ていなかった私には驚きの映像でした。特撮は進化しているのだと感心しましたっけ。
パワータイプとなったティガは、デラシウム光流でガクマβを撃破! スカイタイプのランバルト光弾とは違って、こちらの方が破壊力が感じられます。
最後にダイゴの提案で「巨人」の名前をGUTS隊員たちが考えるシーンがありますが、ここでムナカタ副隊長からの「山のように大きいから『マウンテンガリバー』」という提案は却下。この「マウンテンガリバー」が、番組の枠を超えて『ダイナ』第42話に「MG5=マウンテンガリバー5号」として名称が登場します。(川崎郷太監督のお遊び?)
代わって、ダイゴがホログラムのセリフにあった「ウルトラマンティガ」を提案して採用されます。
●ガクマα
『ウルトラマン』での登場順(多少の前後はあるが)に倣い、四足歩行怪獣が登場。
岩石を食べているという設定で体色は石のような灰色で、背中の突起は鮮やかな虹色です。
口から生物でもブルドーザーでも石に変えてしまう光線を吐きます。
●ガクマβ
2本角の別個体ですが、αとは親子なのか兄弟なのか、それとも雌雄の別なのかは一切説明がありません。
体色や能力はαと同じ。ただしティガとの戦闘において、爪が伸びたり角が前向きに回転したりしました。また、背中の突起から赤く発光する攻撃も見せました。
本文中にも書きましたが、採石場の人たちが「ガクマの角の本数」についての証言に食い違いを見せるミステリーとともに、GUTSウィング2号とティガの活躍を別々に見せる必要があったために、別の種類の怪獣ではなく同種別個体として登場させたと考えられます。(デザインと着ぐるみ制作の予算節約という意味合いもあったのでしょうが^^;)
制作第2話 放映第2話 脚本:右田昌万 監督:松原信吾
『ウルトラマン』制作第3話「科特隊出撃せよ」へのオマージュがたっぷりなエピソードです。ガクマα(1本角)が洞窟の奥に姿を見せるシーンは、井戸の中でホシノ少年がネロンガの眼を目撃するシーンを彷彿させます。ただし、効果音とともに現れるネロンガの「巨大な眼」の方がインパクトがありましたが。
GUTSが出動する前にTPCの調査隊が現場にいるというのは、組織の大きさを感じさせます。これまでのウルトラのシリーズでは無かった描写です。
現地の採石場の人たちはみんなが知っている「ガクマ」というのが何なのか、TPCの隊員たちは知りません。採石場の現場監督は「神獣ガクマ」の存在を信じていないようですが、彼は会社から派遣されてきた中間管理職なのでしょう。彼のような外地の人が現地の伝説を軽視する描写は、これまでの怪獣映画・番組で繰り返されてきました。そしてパターンとしては、彼が伝説で禁じられている掟を破り神獣が暴れだす、というものが王道的展開だと思いますが、ここでは何もしなくてもガクマが現れます^^;
洞窟の中でTPCの調査隊員がガクマに襲われるシーンでは、一瞬ですが「1/1の造形物の巨大なガクマの手」にTPC隊員たちが掴まれるシーンがあります。こんな見逃してしまいそうなシーンに、ずいぶんと予算と手間をかけていたのですネ。
人間を石にしてしまうガクマの特殊能力の描写の後に
(1)「ガクマは石を食べる怪獣」
(2)「石を掘り過ぎてエサになる動物がいなくなった」
(3)「おまけに、ガクマが蓄えていた石を人間が奪っていく」
(4)「ガクマは怒って人間を襲うようになった」
というセリフがありますが、ガクマとは「自分で石を作って食べる怪獣」なのでしょうか? (2)のセリフは「ガクマが石を掘り過ぎた」のか「人間が石を掘り過ぎた」のかが不明瞭ですが、「ガクマは自分で動物を石にして食べていて、その石を食べ過ぎたので動物がいなくなった」という意味でしょうか。ガクマは何だか身勝手なヤツかも‥‥。
一方、GUTS本部ではゴルザの行方を追っているのが、第1話からの続きということが感じられます。そして、サワイ総監からの「久良々島に怪獣が出現」という連絡に「ゴルザですか?」と反応するイルマ隊長が、さらにダメ押しで第1話の続きを強調します。
ここで、GUTSのライドメカにやっと怪獣攻撃用の武器が搭載される決定がなされます。こういう描写が丁寧に盛り込まれていることが嬉しいです。
現場に赴くサワイ総監。TPCのヘリコプターは合成? 見事に馴染んでいて驚きます(^o^)
ガクマの角の本数について、現地の作業員の間で証言が分かれます。これがガクマが2体いることに繋がっていきますが、ガクマを2体登場させることによって、GUTSウィング2号のデキサス砲の威力とティガの活躍を描くことができました。『ティガ』という作品世界を紹介する課題を上手く消化した脚本です。
GUTS本部ではダイゴとヤズミが「巨人」の能力を分析しています。この時点ではまだ「巨人」に名前がありません。
ヤズミの分析により、「巨人」の色が変わることと、パワーとスピードのバランスの関係が明らかになります。ここで視聴者も、初めてタイプチェンジについて理解できるようになっています。雑誌媒体などでの情報を知らない視聴者に、作品世界を説明する上手いシーンです(^o^)
また、「ライフゲージ」(かつてのウルトラマンたちの「カラータイマー」を、『ティガ』ではこのように呼びます)とティガの活動時間の関係も、ヤズミによって解説されます。ウルトラシリーズのお約束をこのような形できちんと説明されるのも、16年間TV放映が無かったための配慮でしょうか。これで当時のチビッ子たちも理解できたことでしょう(^o^)
そして、「なぜダイゴがティガになったか」の説明も、ユザレのタイムカプセルによるホログラムのセリフとして語られます。ここで「ウルトラマンティガ」という呼称(変身アイテムの「スパークレンス」の呼称も)が明らかになります。「ダイゴのDNAには古代の英雄戦士の情報がプログラミングされている」という理由でウルトラマンとなったダイゴですが、彼は自分がウルトラマンであることを拒絶します。突然そのような立場になってしまった自分に戸惑うことは大人には理解できますが、チビッ子には難しいでしょう。この辺りの展開はもう少し練られた方が良かったように思います。
「光の巨人」と古代文明の関係、「ダイゴが光でありヒトである」ことなどの設定が、きちんと最終話や第45話で収束されることに感心します。
ガクマαが地上に現れ、いよいよ武器を搭載したGUTSウィング1号が出動! 格納庫でのミニチュアは巨大感が感じられます。左奥に別の1号の機体が見えていますが、同型機が複数存在するということに、私は非常にリアリティを感じてしまいます(^o^)
「Gがキツイですヨ。」というレナ隊員のセリフに、彼女がエースパイロットである実績が感じられます。一言の中に、その登場人物のバックボーンが感じられるセリフというのはイイですネ。特に特撮ヒーロー番組だと、登場人物の冷静さ、余裕などの、背景となっている実力(ハッタリでなく)が感じられるセリフに燃えます!
登場したのはイイのだけれど、あっという間にやられてしまう1号‥‥。レナとムナカタの危機に颯爽と登場する2号! デキサスビームが炸裂! 爆発四散するガクマα。ん~、2号はカッコいいなぁ~。
ガクマβ(2本角)が現れ、ティガが登場! 番組後期に比べると、ティガの「テア!」という声が少ないように感じます。
ガクマβの角が回転して前向きになるのも、ネロンガへのオマージュでしょう。爪や角での攻撃を受けるとティガの体から火花が散るのは、戦隊シリーズを見ていなかった私には驚きの映像でした。特撮は進化しているのだと感心しましたっけ。
パワータイプとなったティガは、デラシウム光流でガクマβを撃破! スカイタイプのランバルト光弾とは違って、こちらの方が破壊力が感じられます。
最後にダイゴの提案で「巨人」の名前をGUTS隊員たちが考えるシーンがありますが、ここでムナカタ副隊長からの「山のように大きいから『マウンテンガリバー』」という提案は却下。この「マウンテンガリバー」が、番組の枠を超えて『ダイナ』第42話に「MG5=マウンテンガリバー5号」として名称が登場します。(川崎郷太監督のお遊び?)
代わって、ダイゴがホログラムのセリフにあった「ウルトラマンティガ」を提案して採用されます。
●ガクマα
『ウルトラマン』での登場順(多少の前後はあるが)に倣い、四足歩行怪獣が登場。
岩石を食べているという設定で体色は石のような灰色で、背中の突起は鮮やかな虹色です。
口から生物でもブルドーザーでも石に変えてしまう光線を吐きます。
●ガクマβ
2本角の別個体ですが、αとは親子なのか兄弟なのか、それとも雌雄の別なのかは一切説明がありません。
体色や能力はαと同じ。ただしティガとの戦闘において、爪が伸びたり角が前向きに回転したりしました。また、背中の突起から赤く発光する攻撃も見せました。
本文中にも書きましたが、採石場の人たちが「ガクマの角の本数」についての証言に食い違いを見せるミステリーとともに、GUTSウィング2号とティガの活躍を別々に見せる必要があったために、別の種類の怪獣ではなく同種別個体として登場させたと考えられます。(デザインと着ぐるみ制作の予算節約という意味合いもあったのでしょうが^^;)
第5話では「怪獣災害」なる言葉も出て、昔のウルトラでは扱われなかった部分に鋭いツッコミが入りますネ。
『ティガ』は空想科学のおもしろさとともに、随所にリアリティをバランスよく混ぜたところに「夢」がある作品だと思います。
「TAKE ME HIGHER」は徐々に本編の内容とシンクロするようになり、味わいが深くなりました。奇跡的な番組でした。