「預貯金口座を別人の番号にひもづける誤りが多発した問題で、デジ庁が、自ら所管するマイナンバー法に基づく行政指導を個人情報保護委員会(個情委)から受けた。立ち入り検査で本人確認の不備や法令に反する対応が見つかり、是正状況を報告するよう求められている。マイナンバー制度を担う組織としての責任を自覚しているのか。膨大な個人情報を扱う能力があるのか。根本的な疑念すら持たれかねない事態だ。デジタル庁は、再発防止と信頼回復に全力を挙げなければならない」(2023/09/24朝日新聞社説)。
日本国は,情報化の進捗度が世界63か国・地域のうち27位の低位にあると言われている。ここで言う「情報化」とはコンピュータの性能やネットワークの速度・パケット伝送速度や容量などというハイテクの話ではない。そういうことでなら,この国のレベルは世界トップクラスにあるはずだ。ノーベル賞の国別受賞者数などといえば遅れて近代化した日本ではあったが決して見劣りはしないのと同じように。コンピュータの速さを競うスーパーコンピュータの計算速度では近頃血道をあげる中国などと争そっているものの,それでも日本技術はトップの善い線を行っている,という具合だ。
しかるにこれが広く世俗社会レベルでの情報化レベルと言われると上記のような話に落下してしまう。世界で27番目などという発展途上国なみにランクされる状況は,ほかにも実に多くの場面で起こっているのではないか。これは何のことは無い,政治や行政の「質的」問題なのである。情報社会化というテーマで言えば,デジタル庁という官庁組織を作ったもののそこに魂が入らない。国家行政の「情報化」なるものを,「情報によるより深化した国民支配システム」などと心得ているからである。その格好の例がマイナンバーカードの100%普及という専制国家システムを画策したことが何よりの悪例である。
これに抵抗する国民に一網打尽の網をかけようとたくらんだのがデジタル大臣提案の国民健康保険カードを廃止してマイナンバーカードへの移行という「悪政」であった。お金でほとんどの民を釣り上げたものの,一部に残った「無駄な抵抗を試みる一部のまつろわぬ民」を一網打尽捕らえるにはこれに限るとばかり河野大臣が謀った第一等の悪政であった。ここかと思えばまたあちらと逃げ惑うマイナンバーカード忌避者を捕縛する有効な投網であった。「この世をば我が世とぞおもう望月の欠けたることの無しと思わば」と詠む三代目の,庶民をなめた態度がこういう勘違いを起こす。
この一大失敗にも拘らず,岸田首相は河野氏のクビを取らなかった。野に置くと危険とみてデジタル庁という役所の檻に軟禁しようというのだという。失敗させるのも悪くないと思っているとしたら一番馬鹿を見るのは国民だということを,選挙権を持つ民はよくよく考えておくことが重要だ。村の衆,この恨みを次の選挙で晴らそうではないか?
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