日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

権力の走狗となった大衆芸能ほど有害なものは無い

2024年01月29日 07時45分23秒 | 政治
 「NHKの連続テレビ小説<ブギウギ>は歌手の笠置シヅ子をモデルに、戦中戦後の日本の歌謡界をにぎわせた人々が登場する。菊地凛子さんが演じる茨田りつ子は<ブルースの女王>と呼ばれた淡谷のり子がモデルだ。りつ子が慰問先で出会った特攻隊員のことを語るシーンは視聴者に強い印象を与えたのだろう。ネットでも話題になっている。りつ子の歌を聞いた若い特攻隊員たちは、これで思い残すことなく死んでいけると晴れ晴れした顔で出撃していったという。自分の歌が死に赴く若者たちの背中を押したのではないかとりつ子は苦悶するのである。再放送でその場面を見て、私は思わず自分の書いた古い新聞記事のスクラップを探した。生前の淡谷さんを取材したとき、同じ話を直接本人から聞いたからだ。(2024/01/23毎日新聞 野澤和弘「ブギウギの時代からの伝言」)
NHKの朝ドラ<ブギウギ>の中の淡谷のり子、ご本人淡谷のり子さんと比べると「少しだけ」美人過ぎるように筆者は思って見ているのだが、なるほど官憲に対する彼女の態度は反抗的で「自立している女」として毅然として登場している。彼女は、生涯を通じて権力に媚びず独立していた人として筆者も大いに尊敬していた歌手ではあった。なにしろ当時、東京神田の音楽学校(現東京音楽大学声楽科)の出身と言えばクラシック音楽歌手か学校の音楽教師になるものとされていた名門学校の出自、そういう出身自体との対比が大いにレジスタンスぶりに見えたものだし、また津軽弁訛りの語りも加わって実に複合的にして強い人というイメージを与えていた大歌手だった。上の紹介記事は新たな「のり子伝説」の一つだ。
このNHK朝ドラ「ブギウギ」の主人公は笠置シズ子。敗戦直後の日本国中老いも若きも知らない者はいないという歌手だったが、その出自や生活については幼年だった筆者はもちろん多くの日本人も知らなかったのではないか? ましてかの人が、今を時めく大阪の巨大芸能企業のボンボン御曹司の早大学生との間で未婚のまま一子をもうけるほどの恋仲だったなどということを当時知る人はいなかったのではないだろうか?
そして今、その芸能会社が巨大化し過ぎて、大衆芸能を通じて人々の生活に潤いを与えるとされる「使命」を忘却したらしく、その所属タレントの一部の悪評は言うに及ばず、その企業そのものも政治に容喙し癒着して<第二の「ジャニーズ」>などと言われる始末に堕落している、・・と世間の評判!。
NHK朝ドラ<ブギウギ>は食事をしながら、その味を一段と美味くしてくれるフリカケの役目をもってくれるので有難く毎朝視聴しているが、その味わいは複雑で時に舌に雑味を感ずることもありながら見ている今日この頃である。
権力の走狗となった大衆芸能ほど有害なものは無い、とブツブツ言いながら・・・。