地震、台風、火事、交通事故、…  突然にやって来る災害にどう備えるのか

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混乱続く熊本地震 連続地震の恐怖を断ち切るために

2016-05-13 | 地震防災談話室
熊本地震から間もなく1か月。休校していた小中学校もほぼ全校で授業を再開したというのに、自宅が被災し、或は、余震が怖くて、多くの人が避難所暮らしや車中泊を続けている。

4月14日のM6.5の激しい揺れから始まった熊本地震は、16日未明に本震を上回るM7.3の激震に見舞われ、震源に近い益城町などでは二度にわたる震度7の揺れで、避難所から自宅に戻っていた住民が倒壊した家屋の下敷きになって圧死するなどの被害が出た。
住民たちは気象庁の余震警戒情報を聞いて、余震は徐々におさまるとの思いから自宅に帰り被害に遭った。震源の周辺部では余震が続いており1400回を超えている。

 ●内陸地震に潜む連続地震
熊本地震と同様に前震をともなう連続地震が、2003年に宮城県北部で起きている。7月26日午前0時13分のM5.6の前震に続いて、午前7時13分にM6.4の本震が、午後4時56分にM5.5の余震が続き、震度6弱以上の激しい揺れが3回起きていた。この地震によるけが人は多数出たものの、死者が出なかったのは、深夜の地震発生で住民らが大きな揺れが来るかもしれないと警戒していたためではないかという。

熊本県では、明治22年に死者20人を出したM6.3の地震が起きて以降、内陸地震としては大きな地震もなく、その影響からか、地震災害に対する行政の準備不足や建物などの耐震化の遅れもあって、今回の地震では関連死を含めて死者・行方不明者は69人と多くの犠牲者が出ている。

 ●急がれる耐震改修と耐震基準の見直しを
地震が起きて、二度三度と大きな揺れに遭ったり、揺れが長い時間続いたりすると、耐震基準を充たした建物や耐震補強した家でも持ちこたえることができるのかどうか心配になる。
Eディフェンスによる実物大の木造住宅の耐震実験で、耐震化された住宅が一回目の大きな揺れでは無事だったものの、二回目の揺れで筋交いが外れて倒壊するのをテレビで見て不安になった。

東日本大震災が起きたとき、固い地盤に建つ耐震補強した東北大青葉山キャンパス (10階建て前後の研究棟など)が地震で大きな損傷を受けて取り壊された。地震による周期1秒の地盤の揺れと建物の固有周期が一致して共振を起こし、さらに、震源域に広がる5か所の強震動生成域からのM8~M7.2の時間差(35~20秒前後)による波状攻撃を受けて鉄骨入りのコンクリート柱や壁に亀裂が入り大破したためとわかった。(NHKスペシャル2013.4.14 )

熊本地震で死者を出した倒壊した住宅や損傷を受けた役場、避難所のほとんどが旧耐震基準のままで、当面、住民のいのちを守るための早急な耐震改修が求められている。

1981年(昭和56年)に改正された新耐震基準は、震度6強以上の大地震に対して住宅が損傷しても倒壊せずに、建物内の人の安全を確保することに主眼が置かれていて、今回のような二度にわたる震度7の揺れによる倒壊までは考慮されていないという。
近づく南海トラフ巨大地震などに備えて、繰り返される地震に対応できる耐震基準の見直しが急がれる。


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