全国各地で地震が頻発している。東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震の震源域では、依然として余震が続いている。
去年、2012年3月14日には、三陸沖(えりも岬の南東210km付近)でM6.9の地震が発生、さらに12月7日には宮城県牡鹿半島の東240km付近の沖でM7.3の地震が発生。気象庁は、いずれも東北地方太平洋沖地震に誘発されたアウターライズ地震と見ている。
東北地方太平洋沖地震を発生させた太平洋プレートは、日本海溝で東日本をのせている陸側の北米プレートの下に潜り込む際に、太平洋プレートの上の浅い部分が引っ張られて(伸張応力)裂け、正断層型地震が起きるという。これがアウターライズ地震だ。震源が陸地から離れているので、陸地での揺れは比較的小さいものの併発する津波は大きなものになりやすい。
1933年に岩手県沖の日本海溝外側で起きた昭和三陸地震は、明治三陸地震(1896年)に誘発されたアウターライズ地震と見られている。地震の揺れはそれほど大きくなかったものの、岩手県の綾里湾で最大波高28.7mに達する大津波になり、3064人の犠牲者を出す大惨事になった。
東北地方太平洋沖地震級の超巨大地震はさておき、早かれ遅かれ、M7~8級のアウターライズ地震発生の可能性を指摘し、波高10mを超える津波が東日本の沿岸部を襲う恐れがあると専門家は警戒している。
●住民避難に リアルタイムの津波観測情報を
気象庁は、大津波警報などの新津波情報を今年3月7日から運用を始めた。予想される津波の高さを、数値に惑わされて住民の避難行動の妨げにならないようにと“津波予想の数値”の発表をやめた。一方、震災後、震源に近い沖合いでの津波の高さをリアルタイムに観測するためにGPS波浪計を海上に設置した。
このGPS波浪計とすでに一部に設置されているケーブル式海底地震・津波計のデータを参考情報として発表することができないか。発生した津波のはるか沖合いでの“実際の波高”を地震直後に知ることは沿岸住民の避難行動に結びつくと思う。
●“常に災害モード”を忘れずに
津波ですべてを流された東日本大震災の被災地では、沿岸部の住宅再建や地盤沈下のかさ上げ、破壊された防潮堤などの復旧、復興は遅れている。津波で水没した避難場所の見直しは難航している。地盤沈下した海岸部が満潮で浸水する映像をテレビで見たが、再び津波が押し寄せてきたら被害は免れない。
テレビや新聞の紙面、政治家の話から「地震国日本」「災害列島」…など防災関係のことばが最近はよく出てくるようになったが、筆者が以前に帰宅困難者対策を提案した際には、政治家は全く無関心だった。「国民のいのちを守る」「防災」「減災」と四六時中考えてくれとはいわないまでも“私たち国民は災害列島で暮らしている”ことを常に頭の片隅に置いておいてほしいものだ。
東日本大震災の被災地復興で、大津波が押し寄せてきたときにすぐに避難できる安心の生活住環境を中心とした「モデルタウンづくり」を再提案する。巨大地震による大津波が想定される南海トラフの沿岸部の具体的な津波対策の参考にもなると思う。
去年、2012年3月14日には、三陸沖(えりも岬の南東210km付近)でM6.9の地震が発生、さらに12月7日には宮城県牡鹿半島の東240km付近の沖でM7.3の地震が発生。気象庁は、いずれも東北地方太平洋沖地震に誘発されたアウターライズ地震と見ている。
東北地方太平洋沖地震を発生させた太平洋プレートは、日本海溝で東日本をのせている陸側の北米プレートの下に潜り込む際に、太平洋プレートの上の浅い部分が引っ張られて(伸張応力)裂け、正断層型地震が起きるという。これがアウターライズ地震だ。震源が陸地から離れているので、陸地での揺れは比較的小さいものの併発する津波は大きなものになりやすい。
1933年に岩手県沖の日本海溝外側で起きた昭和三陸地震は、明治三陸地震(1896年)に誘発されたアウターライズ地震と見られている。地震の揺れはそれほど大きくなかったものの、岩手県の綾里湾で最大波高28.7mに達する大津波になり、3064人の犠牲者を出す大惨事になった。
東北地方太平洋沖地震級の超巨大地震はさておき、早かれ遅かれ、M7~8級のアウターライズ地震発生の可能性を指摘し、波高10mを超える津波が東日本の沿岸部を襲う恐れがあると専門家は警戒している。
●住民避難に リアルタイムの津波観測情報を
気象庁は、大津波警報などの新津波情報を今年3月7日から運用を始めた。予想される津波の高さを、数値に惑わされて住民の避難行動の妨げにならないようにと“津波予想の数値”の発表をやめた。一方、震災後、震源に近い沖合いでの津波の高さをリアルタイムに観測するためにGPS波浪計を海上に設置した。
このGPS波浪計とすでに一部に設置されているケーブル式海底地震・津波計のデータを参考情報として発表することができないか。発生した津波のはるか沖合いでの“実際の波高”を地震直後に知ることは沿岸住民の避難行動に結びつくと思う。
●“常に災害モード”を忘れずに
津波ですべてを流された東日本大震災の被災地では、沿岸部の住宅再建や地盤沈下のかさ上げ、破壊された防潮堤などの復旧、復興は遅れている。津波で水没した避難場所の見直しは難航している。地盤沈下した海岸部が満潮で浸水する映像をテレビで見たが、再び津波が押し寄せてきたら被害は免れない。
テレビや新聞の紙面、政治家の話から「地震国日本」「災害列島」…など防災関係のことばが最近はよく出てくるようになったが、筆者が以前に帰宅困難者対策を提案した際には、政治家は全く無関心だった。「国民のいのちを守る」「防災」「減災」と四六時中考えてくれとはいわないまでも“私たち国民は災害列島で暮らしている”ことを常に頭の片隅に置いておいてほしいものだ。
東日本大震災の被災地復興で、大津波が押し寄せてきたときにすぐに避難できる安心の生活住環境を中心とした「モデルタウンづくり」を再提案する。巨大地震による大津波が想定される南海トラフの沿岸部の具体的な津波対策の参考にもなると思う。