大規模災害発生時の都心の帰宅困難者対策について、国は、徒歩帰宅者で大混乱になった去年の東日本大震災をきっかけに東京都と協議会をたちあげ、滞留者に安全が確保されるまで一斉帰宅をしないで会社や学校などにしばらく留まるよう呼びかけている。都は、こうした滞留者の一時待機に備えて、3月に条例を制定し、企業など事業者に必要な3日分の水や食料などの備蓄を求めている。また、駅などの集客施設で被災した利用者への待機や安全な場所への誘導などで事業者に協力を求めている。
都心から一時間ほどの私鉄沿線に住む筆者は、時折、新宿に所用で出かけるが、さきごろ新宿区役所を訪ね、防災担当者に地震災害を想定しての具体的な質問をしてみた。「新宿駅に到着間もなく大地震にあい被災、いのちは助かったものの大けがをし、電車が止まり帰宅できなくなった」との想定で、今、けがの手当てをどこでしてもらえるのかをたずねた。
新宿区は新宿駅西口の超高層ビル街一帯を滞留者が逃げ込める安全スペースとして考えているようだったが具体的な回答は聞けなかった。
区役所からの帰りに、JRの新宿駅で、去年の震災後にJR東日本の災害時の乗客対策がどのように変わったのか、新宿駅に集まってくる滞留者に具体的にどのように対応するのかをたずねてみたが、行政機関に聞いてくれの返事でここでも答えを聞けなかった。
外出時に、大地震にあい大けがをしても混乱の中で救急車はまず期待できない。病院や応急処置をしてもらえる医療救護所も住民でない土地勘のない通過市民にはどこにあるのかわからない。
自分のいのちは自分で守るしかないと思っているが、でも、そのための仕組みとして、集客スポットの駅や商業施設の片隅に誰でも利用できる医薬品などの緊急用品の入った防災ボックスがあると助かる。駅では医薬品を取り出し乗客同士で簡単な傷の手当をすることはできる。抱っこ紐が入っていれば、母親は瓦礫でベビーカーが使えなくなっても赤ちゃんを抱いて避難できる。
近くの避難場所や公衆電話、トイレ、水飲み場などがわかる防災マップが停電でも見えるように表示してあると、それを見て、駅員にたずねたり駆けつけた対策協議会の商店街の人たちの誘導がなくても客同士で助け合って避難することは可能だ。とくに、水害などで列車ホテルの実績のあるJRは、不通で駅に停車している車両を幼い子供連れやけが人の一時避難所として準備し活用できないだろうか。
一斉帰宅の抑制で、勤め人や学生は会社や学校で一時待機することができるが、自宅に帰れない買い物客など通過市民のために待機場所が用意されているのは品川駅や渋谷駅周辺のビルなどまだ一部にとどまっていると聞いている。
●急がれる実践的な帰宅困難者対策
人々が災害から身を守るためには普段の防災関連情報の共有は欠かせない。
そのための、地震災害対策についての質問に答えてもらえなかったのは、具体的な対応策がまだ進んでいないためではないかと理解している。
都は来年4月の帰宅困難者対策条例の施行に向けて、都民や事業者に対して、職場や外出先に待機しての「一斉帰宅の抑制」をはじめ、家族などとの「複数の連絡手段の確保」、「駅や集客施設での利用者の保護」などを求めている。このほか、安否確認と安全情報の提供、帰宅支援など多くの課題を抱えたままだ。
待ったなしの地震災害対策で、滞留者のために今取り組むことは、具体的にできることからはじめることで、その進捗状況を、都民をはじめ広く通過市民にも伝え、減災にむすびつけることが急務だと思う。
都心から一時間ほどの私鉄沿線に住む筆者は、時折、新宿に所用で出かけるが、さきごろ新宿区役所を訪ね、防災担当者に地震災害を想定しての具体的な質問をしてみた。「新宿駅に到着間もなく大地震にあい被災、いのちは助かったものの大けがをし、電車が止まり帰宅できなくなった」との想定で、今、けがの手当てをどこでしてもらえるのかをたずねた。
新宿区は新宿駅西口の超高層ビル街一帯を滞留者が逃げ込める安全スペースとして考えているようだったが具体的な回答は聞けなかった。
区役所からの帰りに、JRの新宿駅で、去年の震災後にJR東日本の災害時の乗客対策がどのように変わったのか、新宿駅に集まってくる滞留者に具体的にどのように対応するのかをたずねてみたが、行政機関に聞いてくれの返事でここでも答えを聞けなかった。
外出時に、大地震にあい大けがをしても混乱の中で救急車はまず期待できない。病院や応急処置をしてもらえる医療救護所も住民でない土地勘のない通過市民にはどこにあるのかわからない。
自分のいのちは自分で守るしかないと思っているが、でも、そのための仕組みとして、集客スポットの駅や商業施設の片隅に誰でも利用できる医薬品などの緊急用品の入った防災ボックスがあると助かる。駅では医薬品を取り出し乗客同士で簡単な傷の手当をすることはできる。抱っこ紐が入っていれば、母親は瓦礫でベビーカーが使えなくなっても赤ちゃんを抱いて避難できる。
近くの避難場所や公衆電話、トイレ、水飲み場などがわかる防災マップが停電でも見えるように表示してあると、それを見て、駅員にたずねたり駆けつけた対策協議会の商店街の人たちの誘導がなくても客同士で助け合って避難することは可能だ。とくに、水害などで列車ホテルの実績のあるJRは、不通で駅に停車している車両を幼い子供連れやけが人の一時避難所として準備し活用できないだろうか。
一斉帰宅の抑制で、勤め人や学生は会社や学校で一時待機することができるが、自宅に帰れない買い物客など通過市民のために待機場所が用意されているのは品川駅や渋谷駅周辺のビルなどまだ一部にとどまっていると聞いている。
●急がれる実践的な帰宅困難者対策
人々が災害から身を守るためには普段の防災関連情報の共有は欠かせない。
そのための、地震災害対策についての質問に答えてもらえなかったのは、具体的な対応策がまだ進んでいないためではないかと理解している。
都は来年4月の帰宅困難者対策条例の施行に向けて、都民や事業者に対して、職場や外出先に待機しての「一斉帰宅の抑制」をはじめ、家族などとの「複数の連絡手段の確保」、「駅や集客施設での利用者の保護」などを求めている。このほか、安否確認と安全情報の提供、帰宅支援など多くの課題を抱えたままだ。
待ったなしの地震災害対策で、滞留者のために今取り組むことは、具体的にできることからはじめることで、その進捗状況を、都民をはじめ広く通過市民にも伝え、減災にむすびつけることが急務だと思う。