(フライデー 昨日発売)
戦争に対しては、単にその言葉にヒステリックに反応するだけの人も居れば、その反対に、石破幹事長(常識的には将来の総理の最有力候補の一人。)のように、自衛隊の海外派遣にワクワクして胸躍らせている様な人も居る。
前稿までで見たように、形式的には(ヒトラー同様に)選挙で支持された総理大臣が、突如正体を現してクーデター的に強い権力を行使し始めたとき、それを止めることは決して容易では有りませぬ。今回の事態をクーデターとする慶応の小林なる御仁の指摘は、本質論では完全に正しい。
自らは決して戦場に駆り出される恐れが無い、官僚、政治家、財界人のペースで、国民生活の在り様が戦争向きにじりじりと変えられて行くと、選挙自体も、決して公平公正な物ではなくなってしまう。いわゆる茹でガエル現象も起こり得る。
例えば、東京の零細~小事業主は、自分達がどんな目に会おうと、ましてや他の国民(若者やサラリーマン層)がどうなろうと、かつて農民が自社野合体制を支持し続けたように、自民党か公明党を支持する。芸能人や大衆作家やプロスポーツマンは(良く知られている様にかなりの人数がもともと創価学会員であるが)、現在の生活を保障してくれるのは自民党体制だとして、自民党或いは自公野合体制支持を続ける。
- それが「公平公正そのものだ。何が悪い。」というのは、皮相の論でしかない。
- 秘密保護法や萎縮や権力すり寄りに基づく自主規制どころかついに始まった報道干渉(☞蛇足 国谷事件[写真])に依って国民に正しい情報が伝わらなくなると、余程賢くてしかも一定の生活が保障されて居る者でないと、目先の状況に支配され、組織的な宣伝にも「目が眩み」やすい。
- その結果、投票行動に於いて、国家としては勿論、自分自身や家族にとっても、ほんの少し長い目で見れば誤っている選択をしてしまうことは避けられぬ。
- それを「民主主義」を支える「自由意思」とはとても呼べないことは、先進「民主主義」国の思想家の中にはすでに指摘して居る者が有るべきだが、その紹介は文系の人にお願いしませう。
- 「自己疎外」などと言う陳腐で多義性が有る言葉を今更振り回すつもりは無いが、現在日本に起こりつつある事態の本質は紛れも無く「民主主義」の中のそれだろう。
- 自由選挙制度は、21世紀の今日では、日本社会の強欲で無反省で不道徳な経済的強者に与えられた「免罪符」の役割を果たしているものとして観察される。
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アメリカの場合は、議会の予算と交戦の承認権限で、戦闘力に限界が出る。(だから別に論じるべき事柄だが、尖閣紛争で、必ずしも米軍が出動する保証は有りませぬ。☞蛇足 孫崎見解)
翻って、日本の場合、東条の様に、飢餓輸出ならぬ飢餓戦争をする気で有れば、金が無くても、人員が居る限り、それを戦争に使うことが出来る。だからABCD包囲網の様に石油の輸出を止め、最後は原爆まで落として見せなければ、戦争は終わらなかった。
日本の場合、明治憲法でも、今の憲法でも、実質クーデターに対しては、非常に脆い。その理由は、一言で言えば日本は、アメリカと同じような議会を持っていても成熟した民主主義国家ではないからですが、案外天皇制が、民主主義の形骸化に寄与しているのかも知れませぬ。東条総統、安倍大統領であれば戦争責任も政治責任も分かりやすい。日本国民には、未だ、いざとなれば選挙で政権を引っくり返せるという客観的に見れば確たる根拠が存在しない自信と、それでもだめならば天皇が戦争を止めてくれるという甘い幻想が有るのでせう。
ま、今の日本では、天皇以外に人間としての道義的模範を示す人が居ないから(100%望ましいことばかりとは限らないが)、天皇制でもなければ、財界人のホンネ丸出しだけの下卑て賤しい社会に堕ちて行くだけでせうね。最近目立った米倉、籾井、丹羽、勝俣氏などは、さぞバブル時代に浮かれて居たサラリーマンの憧れの的の立派な人達なのでございませう。これについては別の視点から改めて議論したいと思いまする。
(蛇足) 人員については、安倍・石破両氏や外務官僚にとって「朗報」が有る。それは現代戦争だと、オナゴさんも、コンピューター画面を見ながら、十分戦闘参加できることでございます。
蛇足の蛇足 放送大学の高橋-孫崎コンビの話をカーラジオでマタ聴いた。孫崎が言うには、尖閣帰属問題は先送りしただけだし、中国が一旦占拠したら「実効支配」になるから、アメリカは安保条約や議会の姿勢として、恐らく日本の領土保全のためには動かない。空軍力は日本は中国に負けるほか、米軍滑走路も中国のミサイルでやられるから、海軍力だけで議論している一部メディアが言うような日本優位ではないそうな。
其のマタ蛇足 孫崎の言う通りなら、尖閣も沖縄も、アメリカにとっては前線のワンノブゼムなのか?アメリカの国力もここまで落ちた以上、いつ「整理(仕訳)対象」にされても仕方ないというのが冷厳な事実かもしれぬ。
更なる蛇足 NHKの例の番組の後で、出演した菅氏自身に代わって、身代わりの秘書官に脅し上げられた国谷裕子氏が泣いて居たそうな。愚は国谷ファンでは有りませぬが、NHKの代表的番組と有名キャスターについてもそこまで牙を剥き出して来たとは、驚きです。これで菅氏のやり口もはっきりしたわけでございます。
官邸圧力問題でクローズアップされた国谷裕子キャスター(57)のスゴさとは? (元記事は昨日発売の「フライデー」 写真)
愚は、それよりも安倍政権側のすごさをヒシヒシと感じまするが。
お終いの蛇足 いや、フライデーも本当に報じたかったのは、後者なのでせう。流石にプロの書き方というべきでございます。