探索・採集・飼育みたいな雑記的記録

北海道の自然探索と生物の飼育観察・採集記みたいなものを漫然と、かつ自己中心的に紹介するとかしないとか。

悪天候強行!道東探索遠征その2

2020年09月06日 | 自然探索記~採集記(道東)

前回の記事の続き

天気が悪いので前回の記事にある湿地探索の後、早々に根室の道の駅へ移動して車中泊。
夜中はおそらく20℃以下で、寝袋に入っていても寒かった。しかも雨も降り始めるという最悪の状況。
朝になると雨は止む予報であったが、ちっとも止む気配なし。
根室半島でノサップマルハナバチを見ようと計画していたのに・・・
多少の悪天候でも活動するマルハナバチでもこの天気では無理なので、もう一つの産地の野付半島へ移動することにした。
野付半島のある方角(北側)は雲が薄く明るいので、そちらの方が期待できる。


野付半島
曇天!気温は根室より高く、雨は降っていなかったが、かなり風が強い。
う~ん、ハチ飛べないかも・・・


ナラワラ
気を取り直して、ちょっと観光。
20年くらい前に訪れたことがあるが、ほとんど記憶にないため、懐かしい気持ちもなく、新鮮な気分で観光する。
でもその奥のトドワラまでは行かなかった。なぜなら観光客が多いから。

さて・・・
テトラポットが積み重ねられた場所なら海からの風が防がれるので、その脇に生えている花の群生なら期待できるかもしれない。
ちなみにこの時期、花は少ないので場所は限られる。

エゾオグルマ群生
思った通り、マルハナバチ類がたくさん飛んでいる。
少しずつ青空も見えてきた。


エゾオオマルハナバチの雄バチ Bombus hypocrita sapporoensis
個体数は多い。エゾ(アイヌ)ヒメマルハナバチの女王と似ているが、腹部と触覚の節数を確認して判断した。
(雄バチは腹部が7節、触覚が13節で、女王と働きバチは腹部が6節、触覚が12節)
セイヨウオオマルハナバチも多かったが、本命のノサップマルハナバチは見つからなかったので、次の群生へ移動。


コウゾリナ?(キク科)群生
タンポポっぽい花で外来種臭がするけど・・・なんでもいいか、本命が訪花してれば。


セイヨウオオマルハナバチ Bombus terrestris
悪名高き外来種というか特定外来生物。各地で駆除対象となっているが、それを嘲笑うように爆発的に増殖中。
今では高山帯を除く、北海道全域で普通に見かけることができる。
この群生では個体数がやたら多く、我が物顔で飛び回っている。
腹部先端が白いのが特徴で、飛んでいても目立つため区別は容易。


シュレンクマルハナバチ Bombus schrencki albidopleuralis
たくさんのセイヨウオオマルハナバチの中にたまに紛れている。
似た色彩でエゾトラマルハナバチ Bombus diversus tersatusがここに生息しているが、飛び回っている個体で区別するのは困難。

それほど離れていない場所なのに群生によって訪花するマルハナバチ類の割合に違いがあるのは面白い。
で、本命のノサップマルハナバチはというと・・・

ノサップマルハナバチ Bombus florilegus
セイヨウオオマルハナバチを蹴散らしながら探し続けて、やっと登場。
北海道東部の限られた地域に分布し、環境省のレッドリストでは準絶滅危惧(NT)、北海道RDBで希少種に指定されている。しかも日本固有種らしい。
個体数はかなり少ないようで、しばらく探し回ったが結局2個体しか確認できなかった。セイヨウオオマルハナバチの侵入が影響しているのか?
でもこの天気でも見れてよかった。

その3に続く


悪天候強行!道東探索遠征その1

2020年09月04日 | 自然探索記~採集記(道東)


みなさん、こんにちは。変人探索者のgeckoです。
さて今回は3連休を頂いたので、1泊2日の車中泊で道東探索めぐりをしました。(最終日は自宅で休息予定)
旭川から釧路へ向かい、それから根室方面へそして北上しつつ網走・北見経由で帰宅・・・といろいろ探索する計画。(地図の赤線が移動ルート)
さぞかし充実した探索になるだろう。温泉もどこかで入りたいね。
しかし先日まで厳しい残暑と晴天が続いていたのに、出発日から急に悪天候となる予報。
でも折角の3連休、家で引きこもっているのはもったいないので、とりあえず決行。
現地に着いたら天気変わっているかもしれないしね。

あっ、探索神さんスパチャありがとうございます。

(・・・VTuberかよ)


まず釧路湿原
無情の雨・・・ダメだこりゃ。そして冷ややかにわたしを見つめるエゾシカたち・・・
珍なイトトンボとかゴミムシ類とかいろいろ見たかったけど、できることは次回の探索にため地形などの環境偵察を車内から行うことくらい。
予報では根室の方は若干天気が良さそうなので、計画前倒しで根室方面へ移動。

根室に到着
雨は降っていなかったが、強風と低温で風邪ひきそう。

根室方面の湿地
海に近いから若干塩分があるらしく、塩性湿地に近い環境。
本来なら蚊の猛攻があるのだが、この天気だと全く襲われなかった。わたしの勝利である。


湿地の一部は意図的だと思われる砂利が敷かれた場所がある。(それとも単なる廃棄か?)
人工的で魅力的でない環境だが、実はこの場所、何回か訪れて探索するとなかなかの好物件であることが分かった。


ヤセヒメヒラタゴミムシ Agonum (Europhiluspiceum
近似種のチャバネヒメヒラタゴミムシかもしれないが、上翅のほぼ全体が黄褐色なのでヤセヒメヒラタゴミムシかと・・・
詳細は分からないが、たぶん北海道のみの分布。
沼または湿地周辺の石の下または葦が生えている地面の枯草下に潜んでいる。
昨年の7月はかなり多く確認できたが、今回の8月末はかなり少なくなった。


アナバネゴミムシ Blethisa multipunctata aurata
北海道RDBで、希少種に指定されている湿地性のゴミムシ。
何気に石をはぐったら、いきなり現れてビックリ。
まだ潜んでいるだろうと、更に石の下を確認していくと、短時間で10個体以上確認できた。
ここで見かけたゴミムシの中で一番多く、水辺に近く十分湿った環境にある石の下でよく見られた。
どの個体もテネラルらしく、体が柔らかいため、丁寧に石をはぐらないと容易に潰れてしまう。

人の容易に入り込めない湿地でしか見られないと思っていたが、こんなアクセス容易な場所で簡単に見られるとは・・・
やや拍子抜けしてしまった感だが、今まで探しても見つけられなかった種だけに素直に嬉しい。
うまく新成虫発生時期に当たったのだろうか?

実はこの砂利環境、雨が続くと容易に水没するので、その年によって現れる時期が異なる。
アナバネ目的で遠征して、水没していたら泣きたくなるね。


触ると偽死状態となり動かなくなる。ゴミムシ類にしては珍しい習性だ。
でも偽死は徹底しておらず、短時間で動き出すのであまり意味がない。

なんとなくハンミョウモドキ類に雰囲気が似ている気がするが、貴兄はどう思われるか?
ちなみに採集した個体を一時フィルムケースへ入れていたら、弱った個体に寄ってたかって貪りついていたことから、エゾハンミョウモドキ同様貪食傾向にあると思っていいだろう。


なんかのヤゴ
石の下から数個体確認したが、水位が引いた時に取り残されたかな。
どうせ陳腐なルリボシ系だろう。


ヤチスズ?


砂浜で見つけた骨の一部・・・いや魔物だ。
角が生えており、こちら対して敵意を向けている表情。
このタイプの魔物は、前回(7月17日記事)と違って、交渉しても仲魔にはならないだろう。
早々に倒してしまおう。

その2へ続く