晩秋から早春に現れるセッケイカワゲラ(クロカワゲラ科の一種)
石狩低地帯以東~石狩川北側の何ヶ所かでちょっと調べてみた。
見つかったのは長翅種と短翅種の2タイプのみで、本当の(?)セッケイカワゲラと言われる無翅種は確認できなかった。
<旭川市産>
背面 左:♂長翅種 右:♂短翅種
体長に差はなく、雄で6~7mm、雌は雄より大きい。
大きな差は翅の長さで、昆虫でよくある「同種の変異」ということも考えられるが、前胸背部の形状もよく見ると違う事が分かる。
腹面 左:♂長翅種 右:♂短翅種
長翅種の前胸の形状は四角形で、短翅種は前胸前縁が短く、形状は丸みを帯びた台形。
腹部側面 上:♂長翅種 下:♂短翅種
肛上板(矢印部)の形状は、長翅種は細くて先端が尖る。歪で繊細なイメージ。
短翅種は太く、先端付近で「くの字」に折れ曲がる。がっちりしたイメージ。
肛上板より前部にある1対の突起にも違いがあり、長翅種では先端部がしゃもじ状に幅が広がる。
これらの差は決定的だろう。
<深川市産>
背面 左:♂長翅種 右:♂短翅種
旭川市産と同じ差。
腹面 左:♂長翅種 右:♂短翅種
旭川市産と同じ差。
ここの産地は、赤いダニが付着している個体が多かった。
見た感じ、しがみ付いているのではなく、噛みついているようなので体液を吸うタイプか?
この時期、どのタイミングで付着するのだろうか?
腹部側面 上:♂長翅種 下:♂短翅種
旭川市産と同じ差。
<考察>
2つの地域に分布する長翅種と短翅種は別種。
(長翅種同士と短翅種同士は同種)
過去に札幌で調べた有翅種の結果と比較すると、肛上板の形状が全く異なるため札幌産有翅種と今回の2種は別種であることが分かった。
2014年札幌調査
なかなか興味深い結果となった。このタイプのカワゲラが地域ごとに異なる種が分布していると考えると、意外と奥深いかも。
本当は無翅種を探しているのだが、資料には「石狩低地帯以東には分布していないらしい」とある。
本当だろうか?納得いかないなら探すしかない。
本格的な探索シーズンに突入する前のリハビリ的探索と言ったところか。
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ノーマルの翅長のものはTakagripopteryx nigra Okamoto, 1922ですね。短翅のものは、こちらの記事が初見ということになります。わたしも道央での採集経験は少なく、見たことがありませんでした。当然、未記載種になります。
もし可能であれば下記へ「石狩低地帯以東に生息するセッケイカワゲラ類の分布について (2021) ばったりぎす」のpdfをお送りいただけるとありがたいです。
kawagera[アットマーク]mac.com
詳細はメールにてお伝えしますのでよろしくお願いします。