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旅館50

2024-02-10 08:06:37 | 日記
ギギギギッ…ゆっくりと、蓋が開いた。

「思ったより簡単に開けられたね…」

梨花が溜め息をついた。

「もっと厳重にしているかと思った…」

薄暗い中、そっと覗き込むと、そこには白い箱がポツンとひとつだけ入っていた。

「これを、どうするの?」

「とりあえず、物置小屋に持って行こう。」

「二つを近づけて大丈夫かな?」

「わからない…。それじゃ、この先の"やり方"を衣栄ばあちゃんに聞いてからにしようか…」

その日、その大きな木箱は、再び閉じて、衣栄おばあちゃんの話しを待った。

その後数日は、
衣栄おばあちゃんが、認知症が出てきているため、なかなか思うように話しが聞き出せずにいた。

幹太もまだ退院ができずにいた。


旅館49

2024-02-06 09:34:55 | 日記
「開けてみるか」

「大丈夫かな?開けて…祟られないかな?」

「ここまで来たんだし、幹太のためだ、開けるしかないよ」

「…そ、そうだね…」

3人は息を飲んだ。

そして、徹弥がゆっくりと手を添えた。

「開けられる感じ?」

「簡単には開かないようになってるかもな」

徹弥がそっと蓋手を持ち上げた。

ギギ…と、手応えがあった。

「開きそう…!夕美、そっち持って!」

二人で両側から手を添えてゆっくり持ち上げた。

ギギギギッ…と音がして、ゆっくりゆっくりと、蓋が開いた。

旅館48

2024-02-02 09:35:57 | 日記
防空壕と言っても、そんなに深い洞窟ではない。

目が慣れると、うっすらだが、奥の方まで見るとこは出来る。

壕の一番奥に、ポツンと衣類や布団を入れるような大きな木箱が置いてあった。

それは、黒の漆塗りの立派なものだった。

「たぶん、この中に入ってるんじゃない?こ…怖いね…」

「開けてみるか」