沙友理さんの彼、優太さんの"決定的な嘘"に気付いてしまった。
しかし、その事を沙友理さんに話せない…。
優太さんの嘘を、沙友理さんに教えてあげた方がいいのか…、もしくは、自分で"ソレ"がわかるまで、周りの人間は余計なことをしない方がいいのか…。
沙友理さんに思いきって聞いてみた。
「優太さんの件、落ち着いたの?」
「いいえ…何も落ち着いてないです。むしろ、前よりも不信感が強くなってしまって…。相変わらず、連絡のやりとりは、少なくなってるし、彼は嘘をつく人かも知れない…と思うと、どんどん気持ちが離れていく気がして…」
「嘘って…、旅行のキャンセルの件?」
「はい。彼は『先輩の都合で』やむを得ずキャンセルした…って言ってるけど、私は嘘なんじゃないか…と思ってるんです」
「どうして?」
「先日久しぶりに再び、また旅行に誘ったんです。そこで、『今度は先輩の件は大丈夫かな?』って聞いたら、一瞬きょとんとして、"旅行と先輩と、何の関係があるの?"…みたいな顔をして…。現実に起きていない"作り話"だから、きっと忘れていたんだと思うんです」
沙友理さんは、観察眼もあり、冷静だ。
これだけわかっているなら、優太さんが嘘をついていた件も、しっかり受け止めることが出来て、納得のいく対処が出来るんじゃないか…と思った。