優太さんが嘘をついているのか…、それとも、件の先輩がうっかり忘れていただけなのか…。
もともと自分に自信がない沙友理さんは、優太さんに対して疑心暗鬼になってしまった。
本来なら、モヤモヤと過ごすより、思いきって優太さんに聞いてみた方が、心の平和にいいのかも知れない…。
深刻な嘘ばかりでなくて、余計な心配をさせたくないから…の嘘だってあるかも知れないし…。
だけど、元々心配性で、自分に自信がもてない沙友理さんにとっては、どんな答えが返って来ても、"嘘"をつかれたことばかりを気にしてしまいそうな気がする。
案の定、それからの沙友理さんは、再び自分に自信が持てない女性に戻ってしまった。
「このままだと、良くないよ。思いきって、例の件、聞いてみたら?」
「聞いてみたいけど、イヤな答えが返って来たらどうしよう…ってばかり考えて…」
「…そうか…。」
確かに、今の沙友理さんは、もしも嘘をつかれていた場合…、何もかも壊れてしまいそうだ…。