けんちゃん 23

2021-02-03 07:21:27 | 日記
猫の鳴き声を追って、一目猫を見たい…。もしも、何かしら困った状況なら助けたい!その一心でお化け屋敷の中に入ろうとしていた。

裏手にたどり着くと、勝手口のような入口を見つけた。

子供心に、"開くワケは無い"…と、思いながらも、ドアノブに手を掛けて回してみた。

『カチャ』

…開いた💦

そもそも、肝試しと言って、たくさんの若者が入っているので、あちこちの鍵などは壊されてしまっているのかも知れません。
それだけ、肝試しに最適な大きさの屋敷なんです。

私は…というと…、
"⚪⚪ハイ"になってしまって、もう止められません。まるで子猫の母親にでもなったかのようです。

『ギギギ…』

錆び付いた扉が、渋い音を立てて開く。

外の光が暗闇に差し込んで、白い煙のような埃を舞い上がらせる。

目が馴れるまで、踏み込めずにいた。

目が馴れてくると、勝手口付近の景色が見えて来た。

案の定、家の中もかなり荒らされている。

猫の鳴き声のする部屋は、勝手口から入ると、右側だ…。

ミシッ…ミシッ…。

ゆっくりゆっくり足を進め、右側の部屋に行く扉を探した。

さすが、屋敷というだけあって、勝手口と言えど、広々としている。

右側の部屋へ行く扉を見つけた。

すでに少し開いている。

扉の隙間から覗くと、今いる場所よりさらに薄暗い廊下が見えた。

だけど、廊下の数メートル先は明るい。

天窓からなのか吹き抜けなのか、光が差し込んでいる。

…たしかに、猫がいるのは、こっち側の部屋だと思う。