koshiのお部屋2

万年三歳児koshiの駄文のコーナーです。

"A Song of Summer"

2013年08月08日 21時19分31秒 | 音楽

疲れたので,今日も動画で誤魔化す。
フレデリック・ディーリアス(英:1862-1934)作曲「夏の歌」。
1931年の作曲というから,視力を失ったディーリアスが,弟子であるエリック・フェンビーの助けを借りて完成させた晩年の作品である。
これを聴いて感じるのは,夏の暑苦しさか,はたまた一陣の風のような清涼感か・・・。
聴き手の感性に委ねられるところではあるが,いずれにしても晴れ渡らない飴色の空,それでいて青々とした緑なす草原・・・といったハイランドやウェールズ(否,ディーリアスはブラッドフォードの生まれだから,ヨークシャーか??)の田園風景が想起される(作曲者は,ヒースの丘とそこから俯瞰した海が頭にあったようだが・・・)。
後半は,分厚いオーケストレーションが起伏に富んだ楽想を演出するが,それ以外は平明な美観に満ちた曲と思う。
演奏は,名匠ジョン・バルビローリ卿(1899-1970)指揮の名門ロンドン交響楽団。
67年の録音のEMI原盤だろう・・・。

殆ど見たことのない(機内からちらりと・・・)ヒースの茂れる平原に思いを馳せ,F1やブリティッシュロック,ゴルフ,テニス,サッカーといった近代スポーツ発祥の地を思う・・・。
イングランドでも,スコッチランドでも,はたまたアイルランドでも,多分一週間滞在しても飽きないだろうな・・・。


癒しの一曲・・・

2013年07月11日 20時31分47秒 | 音楽

昨夜は殆ど寝ていないので,へろへろで帰宅。
濃厚エントリする気力は勿論無く,動画でお茶を濁す・・・。


こういうときには,小編成の弦楽合奏が疲れた心と体に染み入る・・・。
弦楽セレナーデニ長調~第1楽章(ドヴォルザーク)。
ドヴォルザークの魅力は,何と言っても郷愁をそそる甘美な旋律美だろう。
師たるブラームスのそれは,かっちりとした保守的・古典的構成感から滲み出る抑制されたロマンティシズムであり,時代を同じくして活躍した同じくメロディメーカーたるチャイコフスキーのそれは嫋々たる演歌の如き心情の吐露と爆発だが,ドヴォルザークには,そうした一種の圧迫感や息苦しさが無い。
むしろ爽やかな抒情が感じられるのは,この作曲家の素性の良さだろうか・・・。
師であるブラームスも,きっとこの率直にして平易な旋律をすんなりと想像でき得る弟分の才能を大いに認めていたのだろう・・・。


身も心も疲れている現代の皆さん・・・。
癒されてください・・・。


今宵は,これだ・・・

2013年07月03日 22時09分19秒 | 音楽

我が国で最も人気のない作曲家は,シューマンとメンデルスゾーンなのだそうだ。
随分前に,何かで読んだ記憶があるのだが,根拠があってのことなのかどうか・・・。
で,その不人気ぶりが,例によって天の邪鬼な私の琴線に触れたりする訳である。


特に後者の第2交響曲、
第1番「春」とか第3番「ライン」といった気の利いた副題も無いし,不人気たるに十二分な条件を備えすぎている・・・。
でもって,これがまた何とも素晴らしい交響曲なのだから堪らない・・・。


シューマンの交響曲には,マーラーのような途方もない絶叫も無ければ,弟分たるブラームスのような抑制・凝縮されたロマンの断片を見ることも無い。
先ず感じられるのは,古典的な様式感に裏打ちされた明るい情感である。
言ってみれば,ドイツの片田舎を歩いた際に感じられるようなグリム童話の世界観に相通じるもの・・・,例えば古城とか,瀟洒な街並みとか,ライン地峡帯の段丘の風景とかが自然に湧き上がってくる。
かつて,ローテンブルグからアウグスブルグを経てヒュッセンに至る所謂ロマンティック街道を南下したことがあったが,その沿線の風物に似合うのが,このシューマンの交響曲と思われた。


尤も,この曲を作曲した当時のシューマンは,ライプツィヒ音楽院に奉職し,精神疾患に悩まされていたので,同じドイツとはいえ私の訪れた南独ではなく,旧東独だったのだから,かなり矛盾しているのだが・・・。
第3楽章こそ憂愁に満ちているが,全編には明朗な風気が漂う。
これこそ,病める神経を内包していると言われるこの作曲家の多面性というか一筋縄ではいかない難しさを表しているのかもしれない。
明るくおおらかに全曲が結ばれる終曲に於いても,愁いに満ちた旋律が中間部に現れるのが何とも言えない・・・。


実は,シューマンの交響曲は,4曲しかないおかげでCD2枚に綺麗に収まるので,結構の数を持っていたりする。
本来なら,サヴァリッシュ~ドレスデン国立管とか,クーベリック~バイエルン放送響といった正統派の演奏をチョイスするのが本当なのだろうが,私としては敢えてバーンスタイン~ウィーンフィルという巨大な建造物のような演奏を採りたい。
シューマンに似つかわしくないという批判は有ろうが,緩急自在のテンポと濃厚な表情は,あまりに魅力的なウィーンフィルの妙技とも相俟って,無類の説得力を生む。
80年代中期の録画だろうが,コンマスはヘッツェルでもキュッヒルでもない。
発止と打ち込まれるアクセントの効いた見事なティンパニは,90年代前半に主席奏者だったローラント・アルトマンである(ビデオで見る限り,バーンスタインのシューマンの交響曲は,4曲ともアルトマンが打っているようだ・・・。ブラームスは第1のみのようだが・・・)。
最後の数小節を聴くだけでも,この演奏を見る価値があるというものだ・・・。


個人的に,シューマンの交響曲なら断然この第2である。
勿論,決然たる序奏無しのアレグロで始まり,ライン地峡の明光のような光彩に満ちた第3番「ライン」や「交響的幻想曲」として着想された暗い情感に満ち満ちた第4も名曲と思うが,この演奏を知ってからは第2だ・・・。
同じページにあった,80年前後の録音と思われるバイエルン放響とのライブも,より溌剌とした名演なので,敢えてリンクを貼っておく・・・。


ユニゾンの多いシューマンの交響曲は,オーケストレーションが拙劣,などどかつては言われたものだが,こうした演奏を聴くと,妄言だったとしか思われない・・・。


何と・・・

2013年06月28日 21時33分11秒 | 音楽

本当に12枚で500円だった・・・
1枚500円のコーナーにあったので,12枚組だと6,000円かと思いきや・・・。
12枚組で500円でした・・・(絶句)。
買わない手は無いでしょう・・・。
一応,2,000年に出た同じ内容のカートンボックスは持っていたのですが(新品を7,200円で買った),音質が今二つで気になっていたのですが・・・。
何と,昨年にリマスターしてリカットしたばかりなので,音質も向上していました。
昨日のエントリも篦棒な安値ですが,今日のは1枚あたり50円以下。
今まで買ったCDでは最安値で,これを凌ぐものは今後無いでしょう・・・。
一瞬値段を付け間違えたのか(0を1つ落としたとか)と思いましたが,隣にあったフィッシャー=ディスカウの歌曲集のボックスも500円だったので,間違いではないでしょう(それも買うべきだったか・・・)。


さて,今宵は久々に,歌い,踊り,のたうちまわるような演奏を聴いて,たっぷり「毒」に塗れてみようかと思います・・・。
右が旧盤。2,000年に,7,200円で求む。何と,LP初出時のオリジナルジャケット使用。オールドファンにとって懐かしく,嬉しい。でもって,中身もLPを模している。CBSコロンビア・・・60年代の響・・・


ちょっと散財・・・

2013年06月27日 22時05分28秒 | 音楽

昨日,仕事で隣の区まで行った帰りに,ついつい中古屋へ・・・。
1枚250円のCDを漁る。
あるわあるわ・・・。
○○名曲大全集とかの流れもんが,すべて250円。
SONYとEMIとRCAとPhilipsが多分100枚以上有った・・・。
でもって,RCA原盤の昔懐かしいのを求める。
30数年前にLPで買ったら,3枚で5,000円程になったものを,CD2枚で500円。
中古とは言え,法外の安値だ・・・。


フランクの交響曲ニ短調+サン・サーンスの交響曲第3番。
もう1枚は,ベルリオーズの幻想交響曲+序曲「ローマの謝肉祭」。
演奏は,シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団。
1950年代末~60年代初頭に録音された初期のステレオ録音である(ラテンと新大陸は嫌いだと言っていたのは誰だ・・・笑)。
勿論,演奏はこれらの曲の名演と長年言われてきたものばかりで(特にサン・サーンス),言わば極めつきともいうべきものであり,この指揮者らしい灼熱の演奏が楽しめるのだが,50年以上前にもかかわらず,録音また実に聴きやすい状態にある。
成る程,確かにステレオのレンジは広くないかもしれないが,各声部の輪郭が実にくっきりした録音で,アメリカのオケらしい鳴りっぷりの良さを見事に捉えている。
ディジタルリマスターの効力は勿論大きいのだろうが,当時のRCA原盤には,とんでもないものが記録されていたということになる・・・。
特に,フランクの交響曲の鳴りは見事で(パイプオルガンが唸りを上げるサン・サーンスや終章で爆発するベルリオーズもだが),晦渋と言われる(私はそう思わないが,マーラーがすべて・・・と言っている友人は,聴くと滅入るとぼろくそ言っていた)この曲最大の明晰な演奏と思う。


こういう買い物をした日は,何となく気分がよい。
只,若い頃なけなしの小遣いはたいて廉価なLPを買っていた頃に比べると,ときめきの度合いは違うのだが・・・。


Kiska・・・

2013年06月15日 19時39分33秒 | 音楽

しかし,こういうものが有ったとは・・・。
映画自体の存在は,知ってはいた。
60年代は,東宝や東映による戦争映画が多く作られたし,円谷プロが特撮を担当したWWIものの「青島要塞爆撃命令」なんてのを,子どもの頃不謹慎とは知りつつも,わくわくしながら見た記憶があるし,奇跡の撤退作戦と言われたキスカ島撤退の映画を一度見たいと思っていた。
音楽担当が団伊玖磨だったとは不覚には知らなかったし,このように味わいのある行進曲を残していたなど,知るよしもなかった。


それにしても,さすが大家の筆である。
最初聴いた時は,ふ~んという感じだったが,聴けば聴くほど味わいのある行進曲である。
団伊玖磨による行進曲といえば,何と言っても現天皇が皇太子時代のご成婚を機に書かれた「祝典行進曲」が希有の名曲と思うが(現皇太子ご成婚に際しての「新祝典行進曲」は,個人的にはどうでも良い),
並足の,所謂英国風のコロネーションマーチ(戴冠式行進曲)だが,その格調たるや,凡百の作曲家の及ぶところではないだろう。


しかし,5,000もの兵員を夜陰と霧に紛れて海上脱出させるなんて,ほぼ奇跡と言わずして何と言うのか。
この後,南方でレイテ島挺身輸送作戦「多号作戦」を二度指揮して成功させ,さらにミンドロ島の米上陸地点への突入作戦「礼号作戦」作戦を成功させた木村昌福少将は,叩き上げの水雷屋で,海軍兵学校での成績は下位であったという。
米艦に偽装するため,駆逐艦阿武隈の真ん中の煙突を白く塗ったり,同響に偽煙突を付けたり,最新の電探を装備した島風を有効に使ったり・・・と,単なる奇跡だけではなかったことが窺える。
因みに,米兵が上陸した際,キスカ島には野良犬が3匹いただけだったという。
でもって,米兵が同士討ちを演じ,死傷者は50名1を越えたというから,ますますをもって,この作戦が大成功であったことが分かるというものだ・・・。


 さて,今から本日何度目かの「キスカ・マーチ」聴こう・・・。
 因みに,動画に掲載された封切り当時のポスターであるが,米軍の4発爆撃機が飛んでいる。
B24ということか・・・。
アリューシャン列島を空襲したのはB25では無かったかと思うが・・・。


團伊玖磨(福田滋 編曲):「キスカ・マーチ」


好対照・・・

2013年06月12日 21時46分21秒 | 音楽

この静謐感と透明感は何なのだろう・・・。
死の年の作品故か・・・。
澄み切った明鏡止水の境地にあったとは到底思われないのだが・・・。


心地よいアレグロの疾走も,ロンドの躍動も無い。
有るのは,人生の秋のような諦観と永遠なるものへの憧憬か・・・。
第2楽章冒頭のシンプルな音型から典雅な香気のように立ち上るのは,寂寥か孤愁か・・・。
第3楽章は,歌曲「春への憧れ」が引用される。
二度と巡ってこない春を感じていたのかどうか・・・。
無限なるものの輪廻・・・。

Mozart Piano Concerto No 27 B flat major K 595 Joao Pires, Pinnock ピリスとピノック。
何とも豪華な組み合わせに,暫し聴き入る・・・。
部屋の照明を落とし,雑念を断って・・・。
やはり,特別な曲だ・・・。
シンプルなるが故の深遠さと難しさ・・・。


そして,K.503。
旋律美よりも構成感を際立たせたと言われる作品。
しかし,これもまた紛れもなくモーツァルトの傑作と思う。
少なくても,妙な副題のせいで,妙に人気のK.537よりは・・・。
冒頭の決然たるアレグロと弾力的なリズム。
第2楽章の悠然たる流れ。
終章には,何と後輩たるベートーヴェンの「ワルトシュタイン」ソナタのエコーまで聞こえるという・・・。

Mozart Piano Concerto No 25 C major K 503, Mitsuko Uchida, Riccardo Muti

我らが世界に誇る内田光子+ムーティ~ウィーンフィルという豪華な顔合わせ。
06年か翌年のザルツブルグ音楽祭のライブであろうか。
冒頭の底抜けに明るいCdurの和声の響きは,カンパーニャやソレントの浜辺で見る南欧イタリアの太陽のようだ・・・。
エッジの効いたリズムと強靱なカンタービレ。
そして,寸分の崩れも見当たらないソロ・・・。


85年のブレンデルとアバドの共演も見事だったが,今は断然これだ・・・。


チェリー・・・

2013年06月08日 21時20分07秒 | 音楽

昨夜,久々にカラオケをした。
多分3月以来かもしれない・・・。
例によって,最近専らの「復活のイデオン」を歌って(背後の映像が,アニメではなくて萎えた・・・)顰蹙買った後,ついつい懐かしくて入れてしまった。


1996年4月発売のクレジットがあったので,もはや17年も前の曲ということになる。
歌詞にも,そして哀切でいてメロディアスな曲想にも,えも言えぬ感慨があった。
個人的には,青春だの恋愛だのといったこととは,完全に決別を告げた時期なので,象徴的な一曲となった・・・。
深夜,酒に酔って帰宅して,ついつい動画を漁ると,PVと思しきものがヒット。
せっかくなので貼っておく。
曲というのは,その時代の空気を纏っている故に,一瞬ではあるが過ぎ去りし時を思い出させてくれるものなのである・・・。


スピッツ / チェリー


束の間の至福・・・

2013年05月24日 21時01分59秒 | 音楽

疲れている時や精神が高揚しない時,無性に聴きたくなる曲の1つ。
今がまさにその時なので,リンクを貼ってお茶を濁します。


メンデルスゾーン作曲ヴァイオリン協奏曲ホ短調op.64~終曲:Allegretto non troppo-- Allegro molto vivace。
典雅にして端正,晴朗にして芳醇。
ユダヤ人の裕福な銀行家の家庭に生まれた作曲者ま育ちの良さが,そのまま曲想に現れたような曲である。
ほんの束の間かもしれないが,幸福な気分を味わえること必至である。

直線的で尖鋭なユリア・フィッシャー(独:1983-)
http://www.youtube.com/watch?v=NswEr23Xuqo
豊潤で艶やかなヒラリー・ハーン(米:1979-)
http://www.youtube.com/watch?v=hw_vBdMBWCI


閨秀の妙技に,心奪われ・・・と思っていたら,こちらのジャニーヌ・ヤンセン(蘭:1978-)も良かった・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=OiND1gpxnes
日記@BlogRanking


St Paul's Suite

2013年05月08日 20時50分37秒 | 音楽

この曲を知って随分なる。
多分,就職に失敗して浪々の身となって,それまでの学生時代と違って,時間だけはふんだんにあった20代前半,とち狂ったようにボーダーレスで片っ端から本を読みまくり,音楽を聴き漁った時代以来だろう。
昨今の英国フリークは,こと音楽に関してはもう中毒状態で,20世紀前半以降の英国音楽をとにかくいろいろと聴いている。
元々,儚げな曲想の中にデリケートなロマンを感じるディーリアスや,素朴で美しい英国民謡を多く採譜して,それを霊元感としたヴォーン=ウィリアムスは好むところであり,現代の作曲家だと,シェイクスピアものや私の好きな戦争映画の劇伴を多く残したウォルトンやアーノルドといった作曲家たちのクラシカルにして斬新な作風には大いに惹かれてはいたのだが,欧州で最初に足跡をしるした国ということもあって,サッカーもF1も音楽も,ラテンよりゲルマンかアングロサクソン・・・という図式が完全に出来上がるに至ったのは,ここ10数年のことである。


近現代の英国音楽は,実に幅が広い。
不協和音を多用し,トーンクラスターのような斬新なものもあるし,有名なホルストの組曲「惑星」やウォルトンの「ベルシャザールの饗宴」のように,大編成のオーケストラ+大合唱のようなものから,小編成の室内オーケストラで演奏可能なものや,私と最も接点のない楽器である弦楽による合奏曲まで,とにかくそのバリエーションの豊富であることは,枚挙に遑がない。
その中で今回紹介するのは,上記「惑星」の作曲者であるグスターヴ・ホルスト(1874-1934)の手になる「セントポール組曲」である。


ホルストは,1905年以降,終生セントポール女学校の音楽教師の職にあった。
そこの弦楽合奏団の為に作曲されたのが当曲であり,4つの短い楽章から構成され,演奏時間は10分ちょっとの短い曲である。
どうやら木管楽器を加えたバージョンも存在するらしい・・・。
第1楽章ジーグ,第2楽章オスティナート,第3楽章間奏曲(舞曲とも),第4楽章終曲。
第4楽章は,吹奏楽のための組曲第2番の終章「ダーガソンの幻想」からの転用で,有名な英国民謡グリーンスリーブスの断片が引用されている。
古風にして典雅でありながら,晴れ渡ることの少ない英国の鉛色の空を思わせるようなくすんだ味わいもある名曲で,決して絶叫したり声高に語ったりするところが無い故に,疲れた時に聴くには絶妙な,癒しの名曲でもあると思う・・・。


動画を漁ったのだが,音だけのものだと一気に全曲を聴くことができる(作業の背後で鳴らすのに最適だろう)。

で,演奏風景のものでは,何と英国系ではなく,ロシアのノヴォシビルスクのオケの演奏が存外に良かった。
4つの楽章別なのが,便利と言えば便利だし,面倒と言えば面倒なのだが・・・。




因みに,ロンドンの中心であるテームズ川畔の所謂「シティ」には,セントポール大聖堂が格調高く聳えているが,ホルストが奉職した女学校はその傍らに有ったのだろうか・・・。
私のほんの数日の英京滞在期間,リージェンドストリートやハマースミスの街と共に,最も気に入った界隈であるだけに,いろいろと想像を巡らせてしまう。
クロイドンやバービカンセンターで,「スターウォーズ」や「ライトスタッフ」,「ブレイブハート」等の劇伴をしたロンドン交響楽団を聴いてみたいし,「ブラス!」の舞台ともなった(正直言って,特に感動的な映画とは思わなかったが)ロイヤル・アルバートホールで,9月のプロムス(ヘンリー・ウッド・プロムナード)でBBC交響楽団も聴いて,特に最終夜にどんちゃん騒ぎに混ざりたいものだ・・・。
そうそう,帝国戦争博物館で,スピットファイアは勿論,V1号やMe262も見てみたい・・・。
日記@BlogRanking


Sweet Breeze in May-5月の風

2013年05月01日 21時26分51秒 | 音楽

19年前のこの日は,不世出の天才ドライバー(私は好きではありませんでした),アイルトン・セナの訃報に凍り付きました。
20年前の今日は,寒波が東日本を襲い,夕方出掛けるのに季節外れとも言えるMA1を羽織って出掛けて,飲んで内風呂湧かしたことを思い出します(遠い目・・・)。
でもって,今もメーデーは盛大に行われたのでしょうか・・・。
航空パニックものをパロった某お莫迦映画を見た時,
「Mayday,Mayday,This is Mayday!!!」
という遭難信号に対して,お馬鹿の管制官が,
「メーデーって何だ??」
と聞き,さらにお莫迦なクルーが,
「共産党のお祭りのことですよ。花火上げたり,おいしいもの食べたり・・・」
と畳みかけた場面を不意に思い出しました・・・。


でもって,今夜は3月並みの気温ということで,20年前同様実に寒いです。
本来5月というのは,美しい季節の筈なのですが・・・。
モーツァルトの歌曲にある「春への憧れ」(没年の作品故,旋律が引用された最後のピアノ協奏曲同様,彼岸の美のような透明感が有りますが・・・)とか,シューマンの歌曲集「詩人の恋」の1曲「美しい5月に」のように,風薫る季節を象徴するような楽曲が似合う季節の筈なのですが・・・。


なので,鬱陶しい曇天を一掃するような5月に相応しい1曲を貼ります。
その筋(どの筋だ?)の方しか知らないジャンルではありますが,これが滅法小洒落ていて気の利いた1曲となっています。
作曲者の弁だと,米国の行進曲王と言われたスーザの楽曲のような構成で書いたそうなのですが,より洗練された都会的な曲となっているのは,作曲者の垢抜けたセンスの賜物でしょう。
思えば,作曲者の先生の棒で10数年前に演奏する機会を得たことは,今となっては貴重な思い出です。
耳に心地よい楽曲ではありますが,演奏するのはかなり骨が折れました・・・。
5月の薫風と蒼い空を想起していただければ,幸いです・・・。


Sospili・・・

2013年04月18日 22時06分46秒 | 音楽

最近は疲れ方が尋常でなく,一杯のビールと遅い夕食の後は今まで以上に床に転がって自失することが増えた。
寝起きの珈琲と甘いものが身体に染み渡る時間帯,最近はアンプの灯を入れるのももどかしく,ついついネットラジオやようつべに頼っている・・・。
・・・て,最近は本分と勝手に思い込んでいる独墺系もさながら,近代の英国系に走っている・・・。


19世紀末の英国楽壇は,失礼な言い方をすれば国際的な作曲家が皆無だった。
ドイツでワーグナーとブラームスが,ロシアでチャイコフスキーが,チェコでドヴォルザークが,そしてフランスではサン・サーンスが次々と楽曲を世に送り出している時期,英国楽壇の雄は,何と17世紀のヘンリー・パーセル(1659-95)まで遡らなくてはならない。
しかし,20世紀の声を聞く頃から,隣国フランスの印象主義の台頭と共に英楽壇の興隆が幕を開ける。
奇しくも同じ年(1934年)に亡くなった3人の作曲家,エドワード・エルガー(1857-1934),フレデリック・ディーリアス(1862-1934),グスターヴ・ホルスト(1874-1934)あたりが有名ではあるものの,ジョージ・バターワース(1885-1916),ピーター・ウォーロック(1894-1930)といった短命だった作曲家や,長命で交響曲の作曲家としても名声が高かったレイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958)やアーノルド・バックス(1883-1953)のような作曲家も存在するし,それは現代のウィリアム・ウォルトン(1902-83)やマルコム・アーノルド(1921-2006)に系譜的に繋がると言っても良いだろう。 


勿論,エルガーの代表作である戴冠式行進曲「威風堂々」やホルストの組曲「惑星」のような大規模な管弦楽作品も少なからず存在するのだが,不思議と小編成のオーケストラや弦楽合奏といった演奏様式をとる曲が多いことも特徴的である・・・。
疲れたときに,「惑星」の第一曲である「火星」の4/5拍子の不安定なリズムと攻撃的な旋律を聴きたいとは思わないし,景気の良い曲を聴いても耳に刺さるだけだ。
その点,同じホルストの手になる「セントポール組曲」なんてのは,心地よい弦楽合奏だし,エルガーの弦楽セレナーデも同様。
WWIのソンムの戦いにて若い命を散らしたバタワースによる「青柳の堤」は,英幾区では珍しいよく晴れた日のウェールズやヨークシャーの川岸にトリップできるし(勿論,実際に行ったこと無いが),謎の死を遂げたウォーロックの「カプリオル組曲」は実に典雅だ。
・・・で,その中から今日は,エルガーによる「Sospili」を紹介。
ソスピリとは溜息のことであり,まさに今の私の心境と精神状態に相応しい・・・。
何ともやるせない楽曲ではあるが,これがまたとびきり美しいのである・・・。
疲れた心と体に染み渡ること請け合いである・・・。
昨日,mixiとFacebookでは紹介したが,せっかくなのでこちらでも・・・。
日記@BlogRanking


黄昏のAdagio・・・

2013年03月29日 23時32分39秒 | 音楽

最近は,アンプに灯を入れることも億劫で,ついつい安易にネットラジオやようつべで音楽を聴いてしまうことが多いのだが・・・。
しかも,長い曲や大曲と呼ばれる代物,或いはオペラやバレエのように視覚を伴うものは,ついつい敬遠しがちとなっている・・・。
そうした中で,久々に大曲と呼ばれるものを聴く。


ブルックナー(1822-96)作曲,交響曲第7番ホ長調(レオポルド・ノヴァーク版)。
リンツ郊外のアンスフェルデンに生まれ,聖フローリアン大聖堂のオルガニストとして奉職する傍ら交響曲を書き,ウィーンフィルが初演。
その作風は,絶対音楽ながら宗教的深遠さと金管の重奏によるオルガントーンのような壮大さを併せ持つ・・・。
習作を含めると11曲もの交響曲を作曲したと言われるブルックナーだが,中でも7~9番の最後の交響曲3つは,充実度で群を抜く。
その中で特に,宗教的にして叙情性が高いと言われるのがこの第7番である。
「原始霧」とか「ブルックナー開始」とか呼ばれる,弦楽のトレモロにチェロとホルンのユニゾンが被る冒頭からして,壮大な雪なすチロルアルプスの黎明のような趣がある。


思えば,この曲を知り初めし若い頃,早春の信州北アルプス山麓を当てもなく彷徨ったことがあった。
雄大な山容を見せる常念岳に夕陽が没する夕刻,西へ向けて焼き畑の中を歩く私の脳裏には,この曲の第2楽章Adagioが鳴り響いていた・・・。
ブルックナーが敬愛する(第3交響曲を献呈までした)ワーグナーの訃報に際して,末尾に哀切にして痛切なるワグナーテューバ五重奏まで挿入したという曰く付きの楽章である・・・。
前後するが,ウィーンフィルが専ら使用する上記ノヴァーク版に於いては,金管の重奏が壮麗に鳴り響く第2楽章の絶頂では,打楽器2種(トライアングルとシンバル)が追加され,劇性を一層高めている(勿論この2人の奏者は,後は出番がない)。
続くチュートン風の土俗的なスケルツォ楽章も魅力的ではあるが,ちょい単調かもしれない。
しかし,徐々に明るさを増すアルプスの夜明けのように壮麗な終曲では,全曲が明るくおおらかに結ばれる充実感は類がない・・・。


・・・ということで,一曲貼っておく。
近年のルツェルン音楽祭のライブだろうか。
アバド指揮ルツェルン祝祭管弦楽団。
随分すっきりした演奏で,こうした演奏だったら聴きやすいだろう・・・。
湖水祭りと音楽祭が名物である,夏のルツェルンのオゾンを,いっぱい吸い込んだような清々しさが何とも言えない・・・。
フィーアバルトシュタット湖の畔にあるクンストハウスなるホールは,音響も抜群のようだ(10数年前に前を通った・・・)。
ネットサーフィンの背後で鳴らすのには,最適と思う・・・。

A. Bruckner - Symphony No. 7 - Lucerne Festival Orchestra - Claudio Abbado


Espagnole!!

2013年03月21日 21時11分32秒 | 音楽

仕事は山積みだし,終わらないし,飲めば飲み過ぎるし・・・ということで,今日も不景気な1日でした。
なので,又しても1曲貼ってお茶を濁します。


ニコライ=リムスキー・コルサコフ作曲「スペイン綺想曲」op.34(1887)。
前回紹介した「サルタン皇帝の物語」よりも,むしろ有名なのはこちらでしょう。
ロシア5人組と呼ばれる作曲家達の大きな特徴は,何と言っても作曲家以外に正業を持っていたという点でしょう。
このリムスキー・コルサコフなどは海軍の士官でして,軍艦で世界各地を訪れたと思われます。
その結果,中近東ではアラビアンナイトをモチーフとした「シェヘラザード」を,小アジアを舞台とした「サルタン皇帝」を,そしてスペイン民謡を採譜したこの「スペイン綺想曲」・・・といった具合に,名曲が生み出されたのでしょう・・・。
スラブとラテンとアラブ・・・と,民族的な関連は無いように思われますが,強烈な色彩感を原色的な音色で・・・と考えると,意外な程この3者は近似しているような気がします。
ま,中東はロシアと境を接し,アラブ諸国と地中海を隔てたラテン諸国は一衣帯水ですし,イベリア半島は,ジブラルタルを越えてアラブ系のムーア人が侵入して王国を築きましたし・・・。


演奏時間は10数分。
全曲は以下の5つの部分より成り,華やかに始まり,鮮やかに終結します。
まさにオーケストラを聴く醍醐味を味わえますし,楽しげな気分になること請け合いです。・・・。


①アルボラーダ(アストゥーリア地方の朝の歌)
②変奏曲(アストゥリア地方の夕べの踊り)
③アルボラーダ(①に同じ。Cl→Vnに,タンブリン→小太鼓に)
④シェーナとジプシーの踊り(アンダルシア地方のジプシーの踊り)
⑤アストゥーリア地方のファンダンゴ(名前の通り)


独奏ヴァイオリンの活躍が顕著なのは,元々Vnの為の幻想曲として着想された名残だぞうです・・・。
パリ万博でも演奏されたそうで,この華やかで美しい楽曲が,異国趣味が大流行だった当時のパリッ子たちに大歓迎されたであろうことは,想像に難くありません・・・。


・・・という訳で,虚心に耳を傾けてみたいと思います。
演奏は,個人的にはロシア産ではなく,西欧風が好みです。
取り敢えず,華やかなマゼール指揮ベルリンフィルとジンマン指揮ロッテルダムフィルを貼っておきます。
重心が軽い前者が物足りない場合は,バランスの良い後者が良いかと・・・。


今日は・・・

2013年03月18日 21時32分27秒 | 音楽

スケートにせよ野球にせよ景気の悪い話題ばかりなので,今日はお気に入りの一曲を紹介してお茶を濁します・・・。


ニコライ=リムスキー・コルサコフ作曲,歌劇「サルタン皇帝の物語」組曲~3つの奇跡。
1900年に初演されたプーシキン原作によるお伽話をモチーフにしたオペラから,要所を抜き出した組曲の終曲です。
姉の讒言によって皇帝に疎まれた王妃と生まれたばかりの王子が樽で漂流。
やがて魔法の島に流されて,王子はそこで成人。
熊蜂の襲来(有名な「熊蜂の飛行」はこの曲に含まれます)から白鳥を守ったことで,王子は3つの魔法の力を与えられ,それによってサルタン皇帝の誤解を解き,やがて白鳥が美しい王女に姿を変えて結ばれてめでたしめでたし・・・という内容です。
冒頭のファンファーレから千変万化するオーケストレーションの妙。
各楽器が,雄弁に存在感を示し,色彩感溢れる音楽を紡ぎます。
近代管弦楽法は,ベルリオーズが唱え,リムスキー・コルサコフが発展させ,弟子のレスピーギとストラヴィンスキーによって開花する・・・という経緯を辿ったと思われますが,中間部の嫋々たるメロディの美しさや終盤のトランペット3本の掛け合いと続く16分音符の細かなアルペジオの連続を聴くとぞくぞくします。
オーケストラを聴く醍醐味を味わうことの出来る希有の楽曲と言えましょう。
しかも,それほど有名でもないあたりが,天の邪鬼私の琴線に触れたりして・・・。


・・・ということで,ぜひご一聴を・・・。
Rimsky-Korsakov :Suite from the Opera "The Tale of Tsar Sultan"