みどりの船

絵本と絵本まわりのこと、日々の雑感を少し。

こねこのチョコレート

2007-11-06 | とびきり好きな絵本
チョコレート大好き
自分のおやつ用に、いつも隠し持っています。

だからこのかわいらしいお話は、まったく人事ではない気がして
共感の嵐です。

 『こねこのチョコレート
 B・K・ウィルソン 作/大社玲子 絵/小林いずみ 訳
        こぐま社

3歳の弟の誕生日プレゼントに、チョコレートを買った
4歳の姉・ジェニー。
そのチョコは、かわいらしいネコの絵のついたパッケージに
入った8個入りのチョコなのでした。
それを帰宅後、御所大事に、タンスの中にしまうジェニー。

でも、夜中に気になって仕方なく、気づけば、ひとつ、
またひとつと、大事なプレゼントは、全部ジェニーのお腹に
消えたのでした。

翌日の弟の誕生日。
みなが次々にプレゼントを渡している中、ジェニーはからっぽの
チョコの箱を差し出すしかなく・・・

そのあとの家族の対応が、本当に見事です。
おかあさんは、いったいどういうこと?と一応、びっくり
しつつも、すぐそのあとのおばあちゃんの穏やかで
あったかい言葉に、ジェニーは大きく救われます。
だって、昨夜寝る頃には、すっかり気持ち悪くなっていたのだし、
今朝も自分のしたことを、とても恥ずかしく思っていたのですから。
それに、おかあさんだって、さっと気づいてどうとりなして
あげようか、考えた様子。
さらにタイミングよいことに、そんな空気を読んでか読まずか
お父さんがすてきなニュースを持ち込んでくれるところが、
最高です。
お父さん、グッジョブ 

わたしだったら、きっとさらに追い打ちをかけるように、
たたみかけて責めそうなところを、この家族のひとりひとりの
機転がきいて、ジェニーにとっても、楽しい誕生日のお祝いに
なったのでした。

本当に、なんのてらいもない、素直によかった、かわいい!
あーわかるわかると思えるお話。
もともと、おはなしのろうそく20に入っているおはなしだった
そうですが、この素話も、いつか聞いてみたいな。

こちらは、ラフな絵だけど、それがとてもきいていて、、
いろんな表情が生きています。
細かいところまで、見逃せない楽しさなのですよー。
たとえば、ジェニーがチョコを隠したタンスの上にいる
アヒルの置物。
窓辺に見えるお月さん。
ジェニーが、チョコのことを妄想し、行動に移す様子を、
「え?」とか、「あーあ」とか、いろんな表情で見守っているのが、
心憎くて楽しいです。
絵描きさんも、楽しんでらっしゃるなーと、思います。
(大社さんの、「番ねずみのヤカちゃん」「みしのたくかにと」
 「なぞなぞのすきな女の子」などもおはなしにぴったりの
 絵で、だーいすきです)

          *  *  *       

先日、おつきゆきえさんの大人の絵本の会で読んでもらった1冊。
こんな楽しいお話を、「受容」というテーマで読んでくださる
ゆきえさんが、わたしはまた大好きなのです。

この日読んでくれた絵本は、

   『満月をまって

   『こねこのチョコレート

   『うちにあかちゃんがうまれるの

    『ヤマネコ毛布』(→ 以前のログ

    (『おやすみなさい』)

  詩 おちこぼれ (茨木のり子)

  詩 たちばなし (吉野弘)

5の「おやすみなさい」は、紹介だけです。
が、またとても興味深い紹介で、
「荒々しい気持ちがみじんもなかった一日で、このまま穏やかに
 眠りにつきたいという日にだけ、そっとページをめくることが
 許されるような、そんな大事な一冊です。」
とおっしゃったのでした。

ゆきえさんに絵本を読んでもらうと、大人と絵本を難しく
結びつけるものが何もないのが心地よくて、さらに絵本が好きに
なります。
しかも、その時の自分の状況に引き合わせてついつい考えさせられる
ことが多々あって、丸ごと受容するってどういうこと?という難題を、
絵本とトークから、たくさん考えさせてもらいました。

身ひとつで、おはなしを届ける会を出張で行ってくれるので、
何かの機会があったら、ぜひゆきえさんトークを
聞いてみてくださいね。
大笑い、まちがいなしです。
(ほんたうのたべものや → 
コメント (20)
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