国際ジャーナリスト、モーリー・ロバートソンが、社会の現実から大きく遅れて多様性理解が進まない自民党の末期ぶりを指摘する。
多くの調査では、同性婚を法で認めるべきだという人が7割を超え、先日札幌高裁も「現行制度は憲法の趣旨に反する」との判断を示しました。また、経団連も経済的な損失などを理由に選択的夫婦別姓の実現を求めるようになった。 婚姻関係のテーマに限らず、LGBTの権利やジェンダー平等について、人々の意識が着実に前進していることは確かです。松本人志氏の文春報道に関して、番組スポンサーの"逃げ足"があれだけ速かったのも、ミソジニー的なものに対する世間の目が厳しくなったからこそでしょう。 一方、自民党内では、麻生太郎元首相が男尊女卑的な失言をしようと、杉田水脈議員が人権を踏みにじる発言をしようと、ほぼおとがめなし。
先日発覚した党青年局の若手議員らによる釤ハレンチ懇親会釤騒動を見ても、時代遅れのホモソーシャルが脈々と息づいていることは明らかです。日本初の女性総理の座に近いとされる高市早苗経済安保担当大臣が絶妙な(逃げ道をつくれるような)言い回しで直接的批判を避けたのも、その空気感を示しています。
これはつまり、自民党が事実上「少数意見に乗っ取られた党」になりつつあるということです。男女間の格差を解消することや、LGBTの権利を認めていくことの意味は社会の多くの人が理解しているはずですが、現在の自民党の釤肌感覚釤では、それは旧安倍派を中心に形づくってきた「支持層」の意に反するということなのでしょう。
変化の波をただ押し返そうとするのか、波によって生まれる軋轢の中にある光をつかもうとするのかで、到達する未来は大きく違う。船が沈み始めていることにすら気づいていない幽霊船のような自民党の釤肌感覚釤が、日本社会の足手まといになっていることは明白です。
世界経済フォーラムが発表するジェンダー平等ランキングで14年連続1位のアイスランド(ちなみに2023年、日本は過去最低の125位)では昨秋、男女賃金格差などに抗議する大規模なストライキにヤコブスドッティル首相も参加しました。「世界1位」であっても格差が存在するという現実、それに対してはっきりと声を上げる女性たちと政治リーダーがいるという現実、どちらも直視する必要があります。
自民党青年局の懇親会の件において唯一の救いは、加藤鮎子男女共同参画大臣ら一部の女性議員が「党の多様性理解は進んでいない」と痛烈に批判したことです。
外から見ると「まとも」な意見であっても、自民党内では現在、まだ"ノイズ"でしかありません。しかしこれが投票行動に跳ね返れば、もっとはっきり言うなら投票率が上がれば、ノイズ扱いされていた「国際基準のジェンダーと多様性」はやがて無視できなくなる。
有権者の投票率をとにかく上げていった結果として、極端な主張を持つトンデモ議員が何人か誕生する可能性ももちろんあります。しかし、それ以上に多様な価値観が投票に反映され、政治に波風を立たせていくことは大事です。
新時代の社会的コンセンサスは醸成されつつあるのに、実際のアクションに表れず停滞していることは大きな損失です。特に(投票率の低下が叫ばれる)若い世代にとって、これはまさに「自分事」のはずです。
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