ここは、大丈夫だろうか。
志津川、歌津を回って、その破壊された現状に不安になりながら、国道45号線を、さらに北に進んで本吉に寄る。
途中、鉄道が分断されているのを見にする。
果たして、本吉の商店街はどうなっているのか。
「あ、あった」かつてのままの、商店街だった。
以前に寄った、菓子店の「三浦屋」もそのままだ。
あの時に食べた菓子も、そこにあった。
お店にいたお母さんも、あの時と同じく、和やかで気さくだ。
「何年か前に来て、震災後どうかと思っていました。志津川、歌津と寄って、みんな無くなっていて、こっちも心配しましたが、ここはあって良かった。」と話しながら、言葉の終わりに不覚にも涙が滲んだ。
聞けば、家の裏の畑まで津波が着たが、ここは無事だったという。
良かった、本当に良かった。
あの時と同じ、「ビスケット饅頭」を買った。本吉の思い出の味だ。
お店のお母さんが、
「これ、おまけ」と、ゆべしを入れ、
「また、来てくださいね」と言って、送り出してくれた。
かつて来た時は、当然ながら、こんな事になるとは思っていなかった。
ただ、地域の魅力を見つけて嬉しがり、楽しんでいた。
その思い出が、とても大切な宝であることを、実感するこの頃である。