ふくらく通信

東北人が記す、東北の良さや震災の事、日々のなんだりかんだり。
他所で見る東北の足跡や繋がり、町の今昔や輝きを発信。

震災の年の広瀬川にて

2018-07-29 01:16:50 | ゆるゆる歩き:自然

今年ももう、七月の末。

7年前の七月は、震災から四か月で、至る所で解体や修繕などの工事中だった仙台。

 

市内を蛇行しながら流れる広瀬川は、南下して南部道路辺りで名取川と合流する。

合流点辺りまでは津波被害が大きいが、広瀬橋付近から上は川の風景に目立った変化がなかった。

 

しかし、生き物も難儀していた。

例年は、六月初めに遡上する稚鮎だが、この年の六月は姿が見られなかった。

 

どうなるだろうと心配していたが、7月13日に見に行くと、そこに跳ねる稚鮎の姿があった。

そして、ゴイサギも待機していた。

 

稚鮎の通り道を確認し、狙いを定めている。

そして、跳ねたところを、さっと口を開けたかと思うと、

 

 

見事、その嘴には鮎が挟まっていた。


震災の傷跡だらけでも、生きる力の輝きがそこにあった。



あれから7年たった今年の7月も、広瀬川で人々が鮎釣りを楽しんでいる。

昔は、政宗公も鮎漁を楽しんでいたそう。

時に脅威となるも、川は多くの恵みをもたらす、かけがえのない存在だ。

(参考:せんだい市史通信第23号/河北新報7月2日『さお引く感触今年も アユ釣り解禁』)

 


今日はスイカの日

2018-07-27 22:20:30 | 今昔あれこれ
二十年程前、仙台朝市にて、それは立派な尾花沢すいかを見て足を止めた。
大きくて丸く、緑色も黒筋も濃い、見事な出来だった。
 
「食べたいが、持って帰るのは重いなあ」と、逡巡していたら、連れ合いが
「大丈夫、持てる。買いなよ。」と言うので買った。
 
「重いでしょ、大丈夫?」と、凄いスイカを抱える連れ合いに、何度も問いかけながら帰ってきた。
何しろあの大きさだから、10㎏位はあったのではないか。
今に比べたら、まだ若かったから頑張れたろうが、よくやったものだ。
 
自分はさほど食べないくせに、私に食べさせたいと買ってくれた。
本当に甘くて美味しかった。
 
さて、今は、我が家で丸ごとのスイカを買うことはまずない。
だが、先日は面白いスイカを見つけたので、久々に丸ごとすいかを買ってみた。
 
何と、一口大である。
 
これは「白鷺宝」という菓子。
埼玉の菓匠花見の作った季節限定品。
 
ちゃんと中身も、赤い実と黒い種のすいかである。
 
穏やかな甘さで、美味しい。
和菓子ながら、滑らかでしっとりとしたプラリネのよう。
卵入り白あんを、乳脂の入った蜜の衣で覆ったこの菓子は、洋菓子のような味わいもある。
 
大正元年創業という店だけに、伝統と近代化の入り混じった時代の空気が、菓子に表れているようだ。

井伊家中屋敷で眠り猫に会う

2018-07-23 19:01:29 | ゆるゆる歩き:旧跡

 

風は温いが吹かぬよりましと、汗をかきながら歩く先に、やすらぐ木陰があった。

木立の合間から見えるのは、品の良いビルディング。


その向かいは、小さく静かな前栽で、彦根藩主、井伊家の中屋敷跡の道標があった。


さらに奥へと小道を行くと、木々とせせらぎが人を包み込む庭園になっている。



ここは、井伊家中屋敷跡であり、明治初期には伏見宮邸だったが、戦後、歴史ある地を残そうと鉄鋼王と呼ばれた大谷米太郎氏が買い取った。

初の東京オリンピックを前に、ホテル建設が進められ、現在はホテルニューオータニの庭園となっている。

ホテルとなってからは、奥に滝も作られた。


庭園は一般開放されており、人々の憩いの場所となっている。


一巡りして初めの道標の方へ戻る道すがら、来る時はいなかった猫に出会った。


その顔、まるで東照宮の眠り猫である。

さすが、徳川の忠臣であった井伊殿の屋敷跡であるな。不思議な縁だ。


暑い昼下がりに、涼しい場所を見つけての昼寝であろう。

お邪魔しました。

 


渓流の中を覗く

2018-07-22 17:06:06 | ゆるゆる歩き:博物館など展示施設

ふらりと近づいて、まるで挨拶するかのよう。

美しい婚姻色を帯びた姿。

オイカワである。

 

流れに逆らって泳ぐ魚たち。

その生き生きとした明るさ、力強さに感心する。

 

実は、この渓流は、広場にかつての関東周辺の水辺を再現したもの。

渓流の中を覗けるのは、水辺を断面展示する施設があるからだ。


ちょっと不思議な光景も見られる。


普通は上流側に頭を向けて泳ぐ川魚だが、下流側に頭を向けて留まるイワナがいる。


なぜかというと、小さい滝の落ち込み部分なので、流れが変化しているのである。

自然の中で生きる魚の様子と共に、川の仕組みも分かって面白い。


ここは、葛西臨海水族園。

ドームの水族館の周辺に、林と川や池が再現され、その断面が見られるように、淡水生物館が作られている。


仙台うなぎ売りの景~いろは横丁~

2018-07-20 22:44:30 | ゆるゆる歩き:町や通り

夏の土用の丑の日、今年は文月二十日が一の丑。

葉月の初日は二の丑。

 

さて、うなぎの匂いで思い浮かぶ景色。

仙台の一番町商店街の中にある、いろは横丁の思い出。

 

 

先代が店に立っていた数年前まで、稲毛屋はうなぎをさばいて串焼きを売っていた。

今は、娘さんが鳥料理で店を継いでいるが、うなぎは先代でお終い。

 

写真は、2013年の様子。

先代の頃は、時々、山鳥の羽が店先に飾ってあって、目を引いたものだった。

 

さらに、この店から奥の斜め向かい辺りに、うなぎの名店がある。

 

戦前は一番町4丁目にあったという明ぼ乃。

空襲にあい、戦後は今のいろは横丁に店を出す。

 

 

昔から井戸があるいろは横丁。

明ぼ乃では、今もその地下水を、うなぎのいけすに使っているという。