ふくらく通信

東北人が記す、東北の良さや震災の事、日々のなんだりかんだり。
他所で見る東北の足跡や繋がり、町の今昔や輝きを発信。

仲町と魚市場前:震災前(2010-07)と震災後(2011-12)

2017-05-09 16:44:45 | 東北被災地のあゆみ:気仙沼

※2010年7月24日の記録より

 

好天気で、強い日差しに町中が鮮明に見える。

 気仙沼の魚市場前は、海も空も真っ青だ。


市場の隣の「リアスシャークミュージアム」に入ると

の種類は様々だし、獰猛な鮫は僅かで、本当はおとなしい鮫がほとんどなのだと知った。

鮫にも色々いるのに、敬遠していて御免よと、おとなしい鮫に声を掛けてきたのだった。


魚市場前をゆるゆる歩く。

市場の傍に、斉民さんという、船で使う道具や部品をたくさん置いている店がある。

店頭のガラス越しに見える、舵隣が綺麗だ。


珈琲店を左手に通りを進み、十字路を左に曲がって南気仙沼駅の方へ歩く。

仲町に入ると、こざっぱりとした店で、喫茶か軽食屋さんだろうかと思う店が目に入った。

 

良く見ると、お弁当屋さんだった。看板の大きな手書き文字が、なかなか感じが良い。

「新メニュー、鶏ソースかつ丼」と、店頭に貼り紙があったので、今度食べてみようと思いながら、眺めて通り過ぎる。


左の路地へと入る。

昔ながらといった風情の、趣のある店が点在していた。

                       
 

「もち 源兵衛屋」という看板の下に、こじんまりとした店が見える。 日陰で涼しげな店に、白い暖簾が清々しい。 


さらに進むと、辻にあたり、ここを右へ行くと「ろばた館」の看板が目に入る。  

気仙沼ホルモンは有名だが、ここも焼き鳥やホルモン焼きを出す居酒屋だ。 

店の前に、赤提灯とガラス玉の浮きやランプが吊るされ、狸の置物に花の生垣と、

なんとも和やかで楽しげな雰囲気なのがいい。


その向こうはまた辻で、角に涼しげにすだれが揺れる店があった。すだれの間から、野菜が覗く。

八百屋かと思ったら、店頭の字に「漬物処 麻布屋」とある。漬物と野菜を売るお店らしい。

すだれが、まるで涼しい風を運ぶようで、ゆったりとして心地よい。


すだれに張られた品書きの配置も美しく、洒落ている。こんな品書きを見ると、これは美味そうだと思うし、値をみると安いではないか。地場のものだから、新鮮で安いらしい。いい店だ。


麻布屋から、まっすぐ市場の方へと戻る。

しばらく行くと、仲町大通の辻に出る。 辻のまさに角に、「でまえれすとらん」と書かれた店があった。

店頭に大きく「フカヒレ」の文字も見える。

「ふかひれラーメン」が自慢の品なのだそうだ。

何で「でまえれすとらん」なのかと思ったら、この店は出張料理もしているらしいのだ。


さて、一巡りしてシャークミュージアムに戻ってきた。

    

趣のある建物が多いし、フォークリフトが行ったり来たりして港らしい光景もあり、ゆるゆる歩いて見て回るのが楽しかった。


気仙沼は、落ち着いた町並みと快活な人々がいる、いい町だ。



※震災後の仲町と魚市場前(2011年12月29日の記録より)


市場は、地元の方たちの奮闘で片付いたが、リアスシャークミュージアムの前にはまだ船が乗りあがったままだ。


                 

市場近くで、船具を売っていた斎民さんのお店も、そこから仲町にかけて一帯の店や住宅が、たくさん失われた。

                

でまえれすとらんも無く、あっちこっちの多くが空き地になってしまい、今通っている場所が、どこだったのか分らなくなる。


そんな中で、さかな市場や仮設の商店街など、いくつかの店が再開している。

生き残った人々が、今日を生き、明日を生きていくのだ。



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