本朝徒然噺

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歌舞伎座・七月大歌舞伎(夜の部)へ(7/21)

2008年07月21日 | 芝居随談
3連休の最終日、歌舞伎座の夜の部を観に行きました。

前日、前々日と、「大銀座落語祭」で大いに笑って満足し、次に控える大阪遠征のことに早くも気分が向いてしまっていたので、この日は正直なところあまり気分が乗らないまま劇場へ向かったのでした

気分が乗らないのでキモノを着る気も起きず、またまた洋服でのお出かけとなりました。
今回も「着物でお出かけ日記」ではなく観劇日記になっておりますので、あしからずご了承ください。

◆◇◆◇◆

夜の部の演目は「夜叉ヶ池」と「高野聖」。

泉鏡花の作品を2つ並べられること自体、気が乗らないというか、構成としてどうなの……という感じがしますが

いや別に、鏡花作品が嫌いとかそういうわけではないんです。
いくら何でも、2つ並べないでしょ、フツー……。

寄席では、噺家さんが入れ替わり立ち替わりいろいろな噺をやりますが、似たような噺がかぶらないよう気を配るのがオキテになっています(そのために根多帳=楽屋帳がある)。
たとえば、ちょっと愚かしい「与太郎」が主人公になっている噺はたくさんありますが、そのうちのどれか一つが出たら、後の人は与太郎が出てくる噺はかけません。たとえ違う噺であっても。

でも、芝居のほうではこういう「かぶる」ことは平気なんですかねえ……。
観ているほうは、これだけかぶってると疲れますがっ。いくら幕間が45分あっても。

■夜叉ヶ池

夜叉ヶ池の主との約束で、毎日3回、決まった時刻に欠かさず鐘を鳴らしている夫婦、萩原晃と百合を、市川段治郎さんと市川春猿さんが演じておられます。

お二人とも、丁寧に演じておられるのはよくわかるのですが……、なぜか台詞がこちらに届いてこない感じがしました。
1階の真ん中あたりで観ていたのに、声が遠くに感じられて、まるで舞台と客席との間に薄膜がはったような気がしてしまいました。
だから、イマイチ舞台に入り込めませんでした。

段治郎さんは、先日昼の部を観た時はちゃんと台詞が届いたのになあ……と、ちょっと残念。
晃の旧友、山沢を演じる市川右近さんも、声がぜんぜん通ってなかったし。

そんなこんなで、前半はかなりボンヤリ見てしまったのですが、市川笑三郎さん(夜叉ヶ池の主・白雪姫)と上村吉弥さん(姫の乳母)が出てきたあたりから、気持ちが舞台のほうに向きました。
このお二人がしゃべると、ちゃんと「歌舞伎」になってる。
おかげで、何とか最後まで飽きずに観ることができました。

■高野聖

修行僧を演じるのは海老蔵さん、男を惑わし獣に変えてしまう妖艶な女を玉三郎さんが演じています。

エビちゃんは、台詞を丁寧にしゃべっているのはよく伝わってきたんですが……、発声が舞台のそれになっていない感じで、残念でした。
これが映画やドラマだったら、自然体な感じで良いのでしょうが、舞台、しかも歌舞伎ならそれ相応の発声をしてくれないと、観ているほうは舞台に入り込めない気がします。

そこへいくと、さすがに歌六さんの声はスバラシイ。
その歌六さんが、ラストですごい長台詞をしゃべるのですが、歌六さんならではの抑揚と間(ま)に、客席はじっと聴き入っていました。
でも、私は、そこに来るまでにすっかり疲れていたので、歌六さんの素敵なテナーを聴いているうちにちょっと眠くなってしまいました

1幕目が「夜叉ヶ池」じゃなくまったく別の演目だったら、それほど疲れず、歌六さんの長台詞を一言一句逃さずに聴く集中力を保てていたかもしれないと思うと、ちょっと悔しいです

余談ですが……。
修行僧と女が川に入る場面で、客席から笑いが起きてました……。
はっきり言って、ここで笑う人の気がしれません。
しかも、川に入った女が僧を誘惑しようとするところでも笑いが起きてました。
肝心なところで笑いが起きてしまったので、それまでのどこか緊張感のある幻想的な雰囲気が壊れてしまって、一気に冷めてしまいました。
なんだか、観客に舞台を壊されてしまった感じで、すごく腹が立ちました。
観客も一緒に空気を作っていくものなのだということを、もっと自覚していただきたいものです

もう一つ余談。
尾上右近さんが唄う「木曽節」が、すごくいい声で、哀愁も漂っていて、感動してしまいました。
さすがに清元のお家の息子さんだけのことはある

◆◇◆◇◆

幕間の食事に「ほうおう膳」なるメニューが登場していたので、注文しました。
おかずがたくさんあって、食べごたえがありました。
これに、ご飯とお吸い物、メロン、コーヒーがついています。

ほうおう膳

幕間が40分以上あると、食事もゆっくりできて嬉しいです。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
7月 (やっぴー)
2008-08-02 07:49:04
先月の歌舞伎座はお休みしてしまいました。
スケジュール的にいっぱい×2だったもので~
藤娘さんはお忙しいのに更に遠征も行ってらっしゃるからエライっ
ABさま、9月はチケット取りましたので観に行きます。
尾上右近くん、若手注目株ですよね~
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やっぴーさま (藤娘)
2008-08-03 14:48:44
あっというまに8月になってしまいましたね……

盛りだくさんの7月でしたが、「この夏一番の楽しみ」だった松竹座で締めくくることができて、楽しゅうございました~

9月は、歌舞伎座での秀山祭もあり、新橋演舞場もありで、忙しくなりそうですね~
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