本朝徒然噺

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元禄忠臣蔵(第2部)を観に国立劇場へ

2006年11月26日 | キモノでお出かけ
<お出かけ先>国立劇場(11月歌舞伎公演「元禄忠臣蔵」)
<着物>濃紺の鮫小紋
<羽織>淡い藤色に楓と菊の柄の長羽織
<帯>お茶屋を描いたエンジ色のちりめん名古屋帯
<帯揚げ>白地に赤の飛び絞り
<帯締め>白地に赤を織り込んだ平組み

坂田藤十郎丈が大石内蔵助を演じる、国立劇場の「元禄忠臣蔵 第二部」を、11月12日に続いて、千秋楽の日(11月26日)に再び観に行きました。

上演される「伏見撞木町(ふしみしゅもくまち)」の場にちなんで、前回と同じ、「お茶屋」柄の染め帯を締めていきました。
肌寒い日だったので、道中着代わりに長羽織を着て、劇場に着いたら羽織を脱ぎました(羽織なので室内でも着ていられるのですが、そうすると、せっかく“ちなんだ”帯が見えなくなってもったいないので……笑)。
着物は、長羽織との組み合わせを考えて、地味ですが濃紺の鮫小紋にしました。

着物でご飯を食べる時、ナプキン代わりに手ぬぐいを使っているのですが、その手ぬぐいも「忠臣蔵」です。

忠臣蔵の手ぬぐい


お芝居のほうは、千秋楽ということもあってか、前回観た時よりも全体的にこなれている感じで、軽めのところと重厚なところのバランスがとれていたように思います。

「伏見撞木町」の場、何度観てもよかったです
藤十郎丈扮する大石内蔵助は、まるで心底廓遊びにふけっているかのような軽さから、その心の奥底が垣間見えるところ、そして息子・大石主税(ちから)に自分の本心を打ち明け「復讐を最後の目的としてはならぬ」と武士の本分を力強く語るところまで、その移り変わりが見事に表現されていました。
役の心根を第一としているけれども、芝居としての緻密な計算もなされている感じがしました。
主税や浅野家家臣に向かって自分の志を力強く述べる場面は、とても印象的でした。
台詞も、現代に生きる私たちの心にも響くもので、単に「武士の本分」ではなく「人間の本質」に迫る感じがしました。

片岡秀太郎丈が演じる、内蔵助が通う廓の遊女・浮橋も、そこはかとないかわいらしさと凛とした強さを持ち合わせていて、本当に素敵でした。
かわいらしい女性から粋(すい)な女将さんまで幅広く演じておられる秀太郎丈ならではだなあ……と思いました。

2幕目の「徳川綱豊卿」も、とても良かったです。
綱豊卿を演じたのは中村梅玉丈ですが、本当によくハマってました。奔放ななかにも品格と分別と知性があって……この役は、やはり高砂屋さん(梅玉丈)以外には考えられません!

最後の「南部坂雪の別れ」は、仇討ちの実行を目前にした内蔵助の静かな覚悟が、そのまま舞台に表れているようでした。静かなんだけれども、とても重みがあるというか……。
浅野内匠頭(たくみのかみ)の未亡人・瑶泉院(ようぜいいん)に最後の挨拶をし、仇討ち本懐を遂げる決意を胸に静かに歩き出す内蔵助の姿に、場内は息をつめて見入っていました。
最初に踏み出す一歩に内蔵助の万感の思いが込められていて、静かなのにとても迫力を感じました。花道を歩く藤十郎丈の呼吸まで、客席に伝わってきました。

帰りに乗った劇場バスの車内で、連れの方に向かって「藤十郎さんは本当にうまいなあ。呼吸からして違うよ」としきりに話しているおじさまがいらっしゃいました。
それを聞いて私が密かに喜んでいたのは、言うまでもありません(笑)。

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2 コメント

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手ぬぐい欲しい! (agma)
2006-12-06 23:43:10
忠臣蔵の手ぬぐいは今回お買い求めですか?
良いですね~欲しいです。

バスの車内でのおじさまの会話、良かったですね!
さりげない会話の中での誉め言葉、それが藤十郎丈のことですもの、藤娘さんのお喜びはどんなでしたでしょう!
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歌舞伎座内で (藤娘)
2006-12-07 07:30:39
agmaさま、コメントありがとうございます!

この手ぬぐいは、先月のはじめごろ、歌舞伎座のロビーに出ていた手ぬぐい屋さんで買いました
写真だと見えにくいですが、背景に描かれている建物には「二八蕎麦」の看板が描かれているんですよー!

「呼吸」のことはまさに私も同じことを考えていたので、バス内のおじさまも同じところに目をつけてらしたんだなあ……と何だかうれしくなりました
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