携帯電話業界のお話。
携帯電話新規加入者数ですが、2004年はauが純増数でトップだったようですね。ドコモが2位で、ボーダフォン、ツーカーと続きます。総合シェアでは相変わらずドコモが6割を占めています。
それはまあいいとして、ここで取り上げるのはボーダフォンのあまりの不人気について。
Jフォン時代は、そこそこ若者に人気があり、良いイメージがあったわけです。実際、auとシェアを競っていた時代もありました。シャープの端末が人気で、また写メールというブレイクスルーもありました。しかし、「カメラつき携帯トップ」という売り文句も、1年ももたずにドコモに奪われてしまいます。まあ、携帯にカメラをつけるだけならまねするのは簡単ですからね。それだけのことに頼っていたらすぐに追い抜かれてしまうわけです。
テレコムから英国のボーダフォン社に買収され、社長が外人になり、ブランド名、社名が相次いでボーダフォンになってからはその没落振りがすばらしいの一点です。なぜボーダフォンはここまでひどい状態になってしまったのでしょうか。
まず、全国統一サービス、新ブランドによる新プラン。これが不評そのものでした。以前のプランを継続して使う人がほとんどで、新プランに全く魅力がないとのこと。それと、ハッピーボーナス。基本料が割り引かれ、2年目から2ヶ月基本料無料となるこのプラン、なんと2年縛り。2年以内の解約には1万円もの違約金が必要になってきます。こんなもの、好き好んで入る人などいないでしょう。(実際は何も知らない主婦とか高齢者なんかが自分から入る場合もあるらしいです)
しかも、1年目は2ヶ月無料にはならないんですね。2年目からなので、結局他社と比べて得になるのは2年目からということになります。まさに「一見得に見える」を地でいってます。二年間のコストで見ると、他社の年割りなどと大差はありません。
サービスに魅力がないだけならともかく、この会社は、客のことをなんとも思っていません。まえの社長のグリーン氏が就任時に、「10の約束」というものを宣言しました。そのうちのいくつかは当たり前すぎてどうってことのないものですが、この値上げをしないという内容の約束、たった半年で反故にされます。
土日祝日はボーダフォン同士の通話は1分5円となる「ハッピータイム」これはプリペイドにも適用ということで好評でした。身内にボーダユーザーがいたので私もプリペイドを使ってみたほどです。ところが、突然のハッピータイムの廃止。そして「ハッピータイム2」の発表。2のほうはプリペイド不可。一部のプラン以外は実質値上げになります。
社長が堂々と「約束」を破る会社。例の「10の約束」は、HPからいつの間にか削除されています(笑)。これでは客は離れて当たり前です。
しかし、やめたくても先の「ハッピーボーナス」で2年縛りになってるのでさあ大変。
「ハッピータイムが魅力でボーダにして、せっかくだからハッピーボーナスにも加入したが、そのとたんにハッピータイムが廃止になった」という人はどういう気持ちでしょう。まさに「だまされた」といえるのではないでしょうか。
あまりの苦情に、値上げを理由にする解約にはハッピーボーナス解除料を請求しないという施策ができましたが、それにいたるまでの数ヶ月、彼らは何を考えていたのでしょうか。「どうせ2年縛りだから解約なんかできっこねーよ」とか思ってたのでしょうか。(どーもそれっぽい)
そして、その施策が発表された期間、ついにボーダフォンは加入者数が純減します。いや、それまでもかなりやばかったのですが、プリペイドが好調なようで、なんとか純増を保っていたのですが…。
PHSやツーカーを除いて、携帯業界っていうのは純増するのが当たり前なのですが、ここへきて純減。これはかなりのニュースになりました。
プリペイドを「回線開通状態で出荷」という裏技を用いて、出荷しただけ純増にカウントされてるとかいううわさも流れて、実質はすでに純減が始まっているという話でしたが。
(そもそもプリペイドは維持するのに月に千円しかかからないので、いくら増えても儲からないのです)
このプリペイドの比率は、毎月のTCA発表で推測できます。純増数から「インターネットサービス(ボーダフォンライブ)」契約数を引くのです。プリペイドではネットはできないので、それがほぼ通常契約者数になります。
「純減」は、確かにその1月だけでしたが、推測される通常契約者数ではほぼ純減状態。そして、2004年12月の純増数はなんと900。これでは明らかに実質純減ですね。「社長がうそつきだった」のほとぼりがさめてもこの状態。
それに対してツーカーは微々たる純減が続いていましたが、12月ではなんと純増。これはツーカーSのヒットによるものでしょう。ツーカーは少しずつ減らしながら、シルバー層へ細かく売り込んでいく手法で細々と生き続ける宿命でしたが、ついに純増に転じました。これは画期的なことで、ボーダと好対照となっています。
ボーダフォンは第三世代(3G)への移行も考えていますので、ドコモ、auの2強に遅れをとるつもりはないのでしょう。しかし、現実はそうはいきません。なぜ、こんなにボーダは弱いんでしょうか。
考えられるのはいくつかあります。まずサービスに魅力がない。これはかなりの原因ですね。一応、着うたなどの他社にあるサービスもありますが、ほとんどユーザがいない3G限定では魅力に欠けます。まあ、2Gであんなものやられても金がかかって仕方ありませんが。
次に、端末に魅力がない。シャープ製以外はほとんど売れないといった状態では、ラインナップがないに等しい状態ですね。しかも、ドコモやauが2年以上前から第三世代を展開しているのに、未だに第二世代が主力になっています。auはすでに第三世代に完全移行してるし、ドコモも主力はすでにFOMAに移っています。
ボーダもついにこの冬、高機能3G端末を相次いでリリースしましたが、やっぱりシャープ以外は…といった内容。シャープが好きな人なら問題ないんでしょうけど。
次に問題なのは、機種変更が高い。しかも、どこで買っても同じ値段。というか、販売店は単なる紹介窓口でしかなく、実際は直接ボーダから買う方式のようで。そもそもボーダには機種変更という概念がないのではないかとすら思えてしまいます。他社では、ちょっと型落ちしたものなら機種変更でも無料とか、五千円以下なんてザラですが、ボーダの場合は二世代の型落ちでも2万円などが普通。これでは誰も機種変更したくなくなります。
まあ、そのかわり新規が1円なんてのもザラなので、新規で契約してすぐ解約、それに番号を移してもらうとよいのですが、一般人がそんな手間のかかることをするわけがなく、やっぱり新規で買って前のを解約することになります。そうなるとどうしても他社のサービスに目が行ってしまうんですね。
その新規をボーダにしようとする人が少なくなるのは、やっぱり店頭での「新規はハッピーボーナス必須」という販売方法が響いてきてるのでしょうね。長く使うつもりでも、2年解約できないというプレッシャーがあっては、契約を躊躇してしまうでしょう。そうなると、やっぱり他社に流れてしまいます。たとえ年割り必須でも2年よりは1年なら入りやすいし。
多分、これが一番の問題点なんじゃないかと思います。
多分これ、「機種変更にインセンティブは払いたくない」という考えなんでしょうか。ドコモですら機種変更にも若者割引などで還元しているのに、釣った魚にえさはやらない商法では、さすがに魚も逃げ出すのでしょう。
機種変更の門が狭いと、いくら新サービスを打ち出してもそれが利用できる人が少ない。そして、ものすごい広い門の他社の新規に客が流れる。この状況は早急に改善すべきでしょう。シャープ端末はドコモにもありますから、シャープ人気だけではつなぎとめられないでしょう。
ボーダフォンが生き残るには、サービス改善、魅力ある端末の供給、奇妙な機種変更制度、縛り必須の販売方法などの改革が必要かと思われます。元ドコモ幹部が社長になったようですから、彼の手腕が期待されます。
まあ、個人的にはボーダがどうなろうと知ったことじゃありませんけどね。
携帯電話新規加入者数ですが、2004年はauが純増数でトップだったようですね。ドコモが2位で、ボーダフォン、ツーカーと続きます。総合シェアでは相変わらずドコモが6割を占めています。
それはまあいいとして、ここで取り上げるのはボーダフォンのあまりの不人気について。
Jフォン時代は、そこそこ若者に人気があり、良いイメージがあったわけです。実際、auとシェアを競っていた時代もありました。シャープの端末が人気で、また写メールというブレイクスルーもありました。しかし、「カメラつき携帯トップ」という売り文句も、1年ももたずにドコモに奪われてしまいます。まあ、携帯にカメラをつけるだけならまねするのは簡単ですからね。それだけのことに頼っていたらすぐに追い抜かれてしまうわけです。
テレコムから英国のボーダフォン社に買収され、社長が外人になり、ブランド名、社名が相次いでボーダフォンになってからはその没落振りがすばらしいの一点です。なぜボーダフォンはここまでひどい状態になってしまったのでしょうか。
まず、全国統一サービス、新ブランドによる新プラン。これが不評そのものでした。以前のプランを継続して使う人がほとんどで、新プランに全く魅力がないとのこと。それと、ハッピーボーナス。基本料が割り引かれ、2年目から2ヶ月基本料無料となるこのプラン、なんと2年縛り。2年以内の解約には1万円もの違約金が必要になってきます。こんなもの、好き好んで入る人などいないでしょう。(実際は何も知らない主婦とか高齢者なんかが自分から入る場合もあるらしいです)
しかも、1年目は2ヶ月無料にはならないんですね。2年目からなので、結局他社と比べて得になるのは2年目からということになります。まさに「一見得に見える」を地でいってます。二年間のコストで見ると、他社の年割りなどと大差はありません。
サービスに魅力がないだけならともかく、この会社は、客のことをなんとも思っていません。まえの社長のグリーン氏が就任時に、「10の約束」というものを宣言しました。そのうちのいくつかは当たり前すぎてどうってことのないものですが、この値上げをしないという内容の約束、たった半年で反故にされます。
土日祝日はボーダフォン同士の通話は1分5円となる「ハッピータイム」これはプリペイドにも適用ということで好評でした。身内にボーダユーザーがいたので私もプリペイドを使ってみたほどです。ところが、突然のハッピータイムの廃止。そして「ハッピータイム2」の発表。2のほうはプリペイド不可。一部のプラン以外は実質値上げになります。
社長が堂々と「約束」を破る会社。例の「10の約束」は、HPからいつの間にか削除されています(笑)。これでは客は離れて当たり前です。
しかし、やめたくても先の「ハッピーボーナス」で2年縛りになってるのでさあ大変。
「ハッピータイムが魅力でボーダにして、せっかくだからハッピーボーナスにも加入したが、そのとたんにハッピータイムが廃止になった」という人はどういう気持ちでしょう。まさに「だまされた」といえるのではないでしょうか。
あまりの苦情に、値上げを理由にする解約にはハッピーボーナス解除料を請求しないという施策ができましたが、それにいたるまでの数ヶ月、彼らは何を考えていたのでしょうか。「どうせ2年縛りだから解約なんかできっこねーよ」とか思ってたのでしょうか。(どーもそれっぽい)
そして、その施策が発表された期間、ついにボーダフォンは加入者数が純減します。いや、それまでもかなりやばかったのですが、プリペイドが好調なようで、なんとか純増を保っていたのですが…。
PHSやツーカーを除いて、携帯業界っていうのは純増するのが当たり前なのですが、ここへきて純減。これはかなりのニュースになりました。
プリペイドを「回線開通状態で出荷」という裏技を用いて、出荷しただけ純増にカウントされてるとかいううわさも流れて、実質はすでに純減が始まっているという話でしたが。
(そもそもプリペイドは維持するのに月に千円しかかからないので、いくら増えても儲からないのです)
このプリペイドの比率は、毎月のTCA発表で推測できます。純増数から「インターネットサービス(ボーダフォンライブ)」契約数を引くのです。プリペイドではネットはできないので、それがほぼ通常契約者数になります。
「純減」は、確かにその1月だけでしたが、推測される通常契約者数ではほぼ純減状態。そして、2004年12月の純増数はなんと900。これでは明らかに実質純減ですね。「社長がうそつきだった」のほとぼりがさめてもこの状態。
それに対してツーカーは微々たる純減が続いていましたが、12月ではなんと純増。これはツーカーSのヒットによるものでしょう。ツーカーは少しずつ減らしながら、シルバー層へ細かく売り込んでいく手法で細々と生き続ける宿命でしたが、ついに純増に転じました。これは画期的なことで、ボーダと好対照となっています。
ボーダフォンは第三世代(3G)への移行も考えていますので、ドコモ、auの2強に遅れをとるつもりはないのでしょう。しかし、現実はそうはいきません。なぜ、こんなにボーダは弱いんでしょうか。
考えられるのはいくつかあります。まずサービスに魅力がない。これはかなりの原因ですね。一応、着うたなどの他社にあるサービスもありますが、ほとんどユーザがいない3G限定では魅力に欠けます。まあ、2Gであんなものやられても金がかかって仕方ありませんが。
次に、端末に魅力がない。シャープ製以外はほとんど売れないといった状態では、ラインナップがないに等しい状態ですね。しかも、ドコモやauが2年以上前から第三世代を展開しているのに、未だに第二世代が主力になっています。auはすでに第三世代に完全移行してるし、ドコモも主力はすでにFOMAに移っています。
ボーダもついにこの冬、高機能3G端末を相次いでリリースしましたが、やっぱりシャープ以外は…といった内容。シャープが好きな人なら問題ないんでしょうけど。
次に問題なのは、機種変更が高い。しかも、どこで買っても同じ値段。というか、販売店は単なる紹介窓口でしかなく、実際は直接ボーダから買う方式のようで。そもそもボーダには機種変更という概念がないのではないかとすら思えてしまいます。他社では、ちょっと型落ちしたものなら機種変更でも無料とか、五千円以下なんてザラですが、ボーダの場合は二世代の型落ちでも2万円などが普通。これでは誰も機種変更したくなくなります。
まあ、そのかわり新規が1円なんてのもザラなので、新規で契約してすぐ解約、それに番号を移してもらうとよいのですが、一般人がそんな手間のかかることをするわけがなく、やっぱり新規で買って前のを解約することになります。そうなるとどうしても他社のサービスに目が行ってしまうんですね。
その新規をボーダにしようとする人が少なくなるのは、やっぱり店頭での「新規はハッピーボーナス必須」という販売方法が響いてきてるのでしょうね。長く使うつもりでも、2年解約できないというプレッシャーがあっては、契約を躊躇してしまうでしょう。そうなると、やっぱり他社に流れてしまいます。たとえ年割り必須でも2年よりは1年なら入りやすいし。
多分、これが一番の問題点なんじゃないかと思います。
多分これ、「機種変更にインセンティブは払いたくない」という考えなんでしょうか。ドコモですら機種変更にも若者割引などで還元しているのに、釣った魚にえさはやらない商法では、さすがに魚も逃げ出すのでしょう。
機種変更の門が狭いと、いくら新サービスを打ち出してもそれが利用できる人が少ない。そして、ものすごい広い門の他社の新規に客が流れる。この状況は早急に改善すべきでしょう。シャープ端末はドコモにもありますから、シャープ人気だけではつなぎとめられないでしょう。
ボーダフォンが生き残るには、サービス改善、魅力ある端末の供給、奇妙な機種変更制度、縛り必須の販売方法などの改革が必要かと思われます。元ドコモ幹部が社長になったようですから、彼の手腕が期待されます。
まあ、個人的にはボーダがどうなろうと知ったことじゃありませんけどね。