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米国産牛肉輸入再開

2006年08月09日 17時03分10秒 | 政治・世相・スポーツ等

単なる日本の駄々に付き合わされた米国もご苦労さまでした。

といった感じのこの狂牛病騒動。マスコミの偏向報道によって事実を知らずに反発している人もいましたが、報道を見ていると「安かったら買う」的なコメントをする市民の姿が見られ、やっぱりあまり気にしてない人が多いのかななんて思います。
でも、ネットなんかだと反米な人が過剰に反発しているのが見られます。やれ危険だの、俺は食わないだの、アメリカが気に入らないだの。それらは事実を前提にしていない批判だということを、前にも書いたけど改めて記していきたい。


まず、大前提として知っておいて欲しいこと。

それは、「BSEはヒトには感染しない」ということ。

これを知らない人が多いことに驚かされる。確かに、ヒトの変異性ヤコブ病という病気の症状と、狂牛病とは似ているし、その原因であると推定されてはいる。危険部位に異常プリオンは良く見つかるようだし、危険部位を食べていた英国でのヤコブ病発症率が異常に高いことも、状況的に関連性を肯定する。
しかし、科学的にそれが証明されたことは一度もないのだ。推測でしかないという事実をまず知るべきである。

つぎに、全世界でまだ200人に満たない人数しか感染していないということ。感染は死に繋がるものであるとはいえ、ここ数十年で発見され、述べ100億人もの人が地球上に存在している中、たったの200人しか感染しないという、ごくごく希な病気である。危険部位を毎日一生懸命食べたところで、その感染確率は数億分の1。宝くじに当たるよりもまだまだ低い確率であり、さらにその危険部位を除去している現在、感染したくてもできるものではないのである。
それくらいありえないほど希な病気なのに、危険部位や、米国産牛肉を食べると高確率で死に至ると誤解している人がいるようである。
はっきりいって、牛肉を危険だと思うよりは、毎日飲んでいる水や吸っている空気の危険度のほうを心配するほうが先だと言えるわけだ。煙草なんか吸ってたら、癌で死ぬ確率のほうがよっぽど高い。
狂牛病が恐い、といってる時点で普通の感覚ではあり得ないほどの低確率の危険に怯えていることになり、そのくせそれより何十億倍も危険な科学物質を毎日摂取していることに気づいてないことは、とても滑稽だと思えるはずだ。
まあ、これらの誤解は、なぜか事実を報道しないマスコミにも原因があると思うのだが、どれだけ危険なのか自分で調べようとしない人にも問題はある。


ということをふまえて、輸入再停止になった危険部位混入の話。
「それでも死ぬ確率は少しでも減らすべきだ」という人のために、それなりの対策を取ることにするわけだ。

さて、脊髄が入ったあの肉は、アメリカでは普通に出荷されるべき、アメリカ基準を満たしているものだという事実を知らない人が多い。
日本にだけ、自分らも食わないような肉を出した、それは危険だから気にくわないという誤解があるようだ。でもこれは間違い。あれはアメリカの基準を満たしてる、アメリカ人が普通に食べている肉だ。
アメリカでは「30ヶ月齢」以下の牛は無条件で安全とされている。なぜなら、それ以下の牛でBSE感染牛が見つかったことがないから。

安全基準の考え方は2つある。

1つは、感染が顕著化しない若い牛を食べるということ。
もう一つは、危険部位を除去するということ。

このどちらかを守っていれば、BSEは恐るるに足りないということだ。そりゃそうだ、BSEが発症しない年齢の牛を食べるか、病原体を取り除いて食べればいい。


日本はこれらの両方をしろという。明らかに不必要な対策だ。でも、安全度はほんの少しは高まるとはいえるかもしれない。コストに見合わない安全度だけどね。

いや、日本の要求はそれ以上のものがあったのだ。さらに「全頭検査」をしろといってきた。

全頭検査とは、全ての牛にBSE感染の検査をするというものだ。日本国内では普通に行われていることだが、はっきりいってこれには全く意味がない。

「感染した牛がわかるんだから、それを除去すればいいわけだから意味あるだろ」

と思う人もいるかもしれない。しかしそれは間違いである。
なぜ意味がないかというと、「全部の感染牛を見分けられるわけじゃないから」である。感染してても検査をすり抜ける牛がいるのだ。じゃあどうするかっていうと、危険部位を除去するのだ。全ての牛の。そうすればすり抜けた牛がいても安全だからだ。
えー、じゃあ、検査をすり抜けた感染牛の危険部位でない部分を食べても危険ではないの?と思うかもしれない。まあ、危険ではないのである。

じゃあ、検査なんかしないで、最初から全部の牛の危険部位を除去すりゃそれでいいんじゃないの?

はい、正解ですw

これがもう一つの全頭検査に意味がないことの理由である。
そう、感染牛が見つかったらその牛の全ての肉を廃棄するわけだが、危険部位以外の部分の肉まで廃棄する必要はない。そこは食べてもいいのだ。
となると、感染牛を見つけるという作業自体が意味がないということになる。

というわけで、アメリカでは全頭検査はしていない。かなり抜き取り式で検査をしているが、これもあまり意味がないからしなくてもいいんじゃないかって感じである。

それでも日本とオーストラリアでは全頭検査をしている。なぜかというと、徹底した品質管理の一環ということで、宣伝材料になるからだ。科学的に意味がないとはいえ、「それくらい管理してますよ」というアピールになり、それ以外のシステムの完璧さの説得力となるからだ。
当然、コストは上がり、値段にも響いてくるが、安心感を金で買いたい人はそれはそれでいるものなのだ。これはこれでいい。ただ、それを安さがウリの米国産に要求するのは筋違いというものだ。日本国民が和牛やオージーだけを食べたいと判断したのなら、それは市場が答えを出すことだ。つまり米国産は売れなくなるわけだ。これを政府が文句つけて排除するのは、健全な市場ではない。だから、アメリカは制裁をちらつかせて、「全頭検査」だけは断固として拒否したということだ。そこまでいいなりになる必要はないということである。
米国内の業者の一部が、日本用に自主的に全頭検査をやろうとしたが、米政府はこれを禁じた。そんなことをすれば、検査が出来ない業者に対して不利になるからだ。抜け駆けはゆるされない、それがアメリカの文化である。



で、「若い牛のみ」というアメリカ基準にプラスして、日本基準として「危険部位の除去」までも要求し、それを勝ち取ったというわけである。
米国内の工場ではこの二重基準が浸透されてなく、危険部位が入ったモノが来てしまったというわけだが、これはなにもことさらに危険なものでもずさんなものでもなく、アメリカ人は普通に食べていたものだし、狂牛病騒ぎが起こるまえは日本人も普通に食べていたものだ。それで何人の人が死にましたか?いえ、死んでませんね。

単なる誤った認識や、扇動によってそれが危険なものだと勝手に思いこんだ人が騒いでいるというだけのことである。

それと、アメリカに文句を言うとか、和牛業界の後押しのためとか、そういう政治的な問題もあって、日本はこの問題でアメリカに強く注文をしているのである。そして、日本は「若い牛の危険部位除去」という、科学的にそれほど意味のない条件を勝ち取った。これは外交勝利である。アメリカの言い分が押しつけられたわけじゃないのだ。そこを勘違いするべきではない。日本が、無茶な言い分を押しつけたのである。



という事実を知った上で「俺は食べない」「いや食べる」という議論をすべきである。危険だ危険だ言うのはあまりに事実を知らない、間抜けな言い分である。危険なことは何一つない。普通に食べて良いものだ。

私は、安かったら食べたいし、吉野家も新メニューも存続してほしいけど、昔の牛丼も早く復活してほしいものである。



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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (なごみ)
2006-08-10 14:32:26
ほむ。読ませていただきました。

私もちょっと自分の意見をw





マスコミに関してはおっしゃる通りなので割愛しますよ。私は在京マスメディアの偏った報道姿勢が大嫌いなので・・・。



では本題。

「アメリカの科学的根拠とは何か?」

私はアメリカのいう科学的根拠に疑問を感じます。BSE感染牛に関してはアメリカでは抜き打ち検査を行っています(だいたい全体の0.1%前後)。ほとんど検査をしていないというのが実情です。実際に感染していてもすり抜けていることが考えられます。その検査方法で得られた30ヶ月齢以下なら感染がないということに何の根拠があるというのでしょうか?まして全頭検査をした日本では30ヶ月齢以下(21ヶ月齢)の牛でも感染例が見つかっていますが、そこはどうなのでしょうか?

科学もへったくれもないです。



「日本の全頭検査の意味は?」

上の項で上げたとおり、全頭検査は一定の効果を挙げています。少なくとも21ヶ月での感染例が見つけたという点は評価できる点ではあります。

しかしこれだけの検査をして得られた事実はほかになかったのでしょうか?

BSEの感染実態解明のための一定期間の全頭検査には効果があったとは思いますが、それを継続して行うことにどれだけの意味があるのでしょうか?徒に時間とコストをかけているだけというのはおっしゃるとおりです。



「現状での輸入解禁の問題点は?」

私は"意味のない"全頭検査をしろとはアメリカに対して要求することは間違っているとは思いますが、国内の審査基準が全頭検査を要求されるのに対し、米国産の輸入牛は危険部位除去だけでいいというダブルスタンダードな現状は異常です。したがって現時点での日本政府の輸入解禁について疑問を感じます。

解禁するならばまずは国内の常態を正常化(もしくは検査状況によける精肉の差別化)を行ってから輸入解禁に踏み切るべきだと思います。



その理由は科学的な根拠ではなくて、競争社会の原理から導かれたものです。検査の分のコストがかからず安く売れる米国産牛肉と、検査コストがかかり高くなってしまう国産牛肉。ではこの差は何?仮に輸入牛と同じ条件で"安全"ならその条件で売れない国産業者はいったい?



したがって"科学的根拠のない"全頭検査が日本の基準ならそれにあわせるかのが正しいことであり、アメリカ政府としては、日本政府に対して"日本国内の牛肉"に対して全頭検査の撤廃を協議し日本への輸入を行うことが正しい外交だと思います。それでも日本政府が受け入れないなら、米国業者が自主全頭検査でもなんでもさせればいいと思います。



日本には和牛業界の後押しという政治的駆け引きがあるように、アメリカにも食肉メジャーの同様な政治的駆け引きがあります。そこをお忘れなく。



アメリカが無茶な理由を押し付けたのは紛れもない事実です。そして日本はそれに過剰反発して無茶な言い分を押し返した。

それがBSE騒動なのでしょう。



両国とももっとも大切な"科学的根拠による食肉の安全"を置き去りにした政治的きなくささを感じたのがBSE問題だと私は思います。
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ふむふむ (いぬ)
2006-08-10 17:16:48
>「アメリカの科学的根拠とは何か?」



確かに日本は20ヶ月を要求していましたね。

それは若い牛には感染牛が見つかってないという根拠によります。

アメリカのスカスカの検査では見つかってないだけじゃないか?というご意見ですが、この検査自体の精度にそもそも疑問があるという部分においては同意見です。



ところで、日本の視聴率調査のサンプル数が、地域ごとに300件しかないことをご存じでしょうか?統計学上、これ以上サンプルを増やしても精度は上がらないということが証明されています。科学を根拠にするならば、この程度のサンプルでもかまわないことになります。つまり、みそ汁はどこをすくっても同じ塩辛さということですね。



それで見つかってないなら、それほど大騒ぎすることじゃないと思います。日本だってそれほどたくさんの牛が見つかってるわけでもありません。そもそも検査自体が、必ず感染牛を見つけるものじゃないんですし、気休めです。

アメリカ基準に不安を覚えることは気持ちとしては分かるのですが、日本基準はさらに危険部位の除去というものをしているので、問題はないかと思われます。





>「日本の全頭検査の意味は?」



危険部位さえ取れば安全なのだから、感染牛を見つけることに全く意味がありません。

感染牛が見つかることで市場にいらぬ不安を与えることを考えると、害悪であるとすら言えます。

ただし、それだけ管理をしているというアピールとしては意味を持ちます。



>「現状での輸入解禁の問題点は?」



科学的根拠のないローカルルールである全頭検査を押しつけることは、外交上は圧力というもので、良くはないものです。が、あまりに今までの経済摩擦において日本の外交は弱すぎたので、これくらい言って当然であると思います。結果、ある程度の譲歩を引き出しましたから、これは外交勝利です。



日本基準と輸入基準の二重基準化はとくに問題ないでしょう。質の差ができるというだけのことで、工業製品でも工場によって基準が違って、それが品質の差になるだけのことです。和牛の検査を軽くするべきだという意見には反対です。それこそが和牛の和牛たるアイデンティティなのですから、輸入基準に合わせたらだれも和牛なんか買いません。

現状で十分棲み分けが出来ていると思います。それが資本主義経済というものです。



科学的な基準による安全という観点では、アメリカ国内基準で十分です。なにしろ危険部位を食べたって数億分の1という感染確率ですから、対策してもしなくても大した差じゃありませんから。

ただ、報道の問題や、食べ物ということでナーバスになるという部分は否めませんから、気の済む方をそれぞれが選べばいいんじゃないでしょうか。牛肉なんか食わなくたって死なないんですから。



なごみさんの意見でどうにも不自然なのは、全頭検査か否か統一すべきだという部分です。別に基準が違う製品がいくらあってもいいじゃないですか。転送速度の違うメモリがあったって、壊れやすい製品があったって、選ぶのは市場であり消費者なんですから。ようは値段と信頼度のバランスに優れてるものが売れるだけのことです。



アメリカ国内基準が安全とコスト上、最もバランスが取れているもので、日本向け米国産基準はさらに安全であり、和牛基準はさらにさらに安全なものです。その代わりコストがかかってます。その安全の度合いが増えてる部分は、付加価値であり、それを望む人がそれを選べば良いのです。そのどれかに統一する必要があるべきことじゃありません。



アメリカの自主全頭検査は抜け駆けを許さないという立場上難しいでしょうね。どうしてもやりたいなら、日本に持ち込んだあとに日本法人に検査させるくらいでしょうか。そこまでして安全を証明したところで、高い米国牛が売れるとは思えません。普通の日本人なら値段が同じなら和牛買うでしょう。
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ふわ~ (葉月。)
2006-08-11 20:48:40
二人ともすごいなぁ・・・私はそんなに深く考えないで「そうかぁ・・・アメリカの牛肉は危ないのかぁ・・・でも当たる確立は低そうだし私は売ってたら買っちゃうだろうな~安いし~」ってくらいにしか考えてなかったよ~w

私としては~検査してあってもなくても売っていいと思うなぁ・・・とりあえず危険だっていう風な部分~えっと~脊髄とか骨の辺りだったかなぁ?その辺りを取り除いちゃえば~、検査してあってちょっとお値段の高いお肉と~検査はしてないけど安いお肉って風に分けて売ってもいいと思うなぁ。

流石に危険だって言われる部分が入ったままなのは嫌だもんねw

それで~ちょっとでも感染する可能性があるのが嫌だって言う人は~検査してあってちょっぴりお値段の張るお肉を買えばいいし~安さを求める人は~検査してないお肉を買えばいいと思うよ~。

どっちを買うかは私たちが決めれることだしね~w

でも日本に輸出するなら日本の基準に合わせろっていう意見も~分かる気がするなぁw

だから私の意見としては~

消費者の立場で言うならいぬさんの意見みたいに~危険部位だけ除いておけば別に検査はどっちでもいいと思うし~

ちょっぴり政治家気分で言うなら~なごみちゃんみたいに~郷に入れば郷に従えみたいな考えでもいいと思うよ~wだってこっちは輸入してあげてる立場なんだもんねw

アメリカが輸出してくれなくなったって~オ~ストラリアから今だって輸入してなんとかなってるんだもんね~w

う~ん今回の記事はとっても面白かったなぁw



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うは (いぬ)
2006-08-13 11:41:55
いろんな考え方が見られるというのは議論の良いところだよね。



検査をしたところで安全度は殆ど変わらないのが一番の問題点なんだよね。顕著に上がるならやってもいいと思うんだけど。



郷に入ってはという考えだとするなら、こちらも相手に合わせるべきだという話になってしまうし、科学的安全度を満たしている以上は、どっちにあわせるかはやっぱり交渉力、政治的な問題になっちゃうんだよね。これは相手が悪いとかどうこういった事じゃないんだよね。



相手に相手の基準以上のものを認めさせたのだから、こっちが無理を押しつけた勝利ということなのは確かです。
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