◆犬の散歩◆

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米国産牛肉輸入問題は外交カードか

2006年01月23日 10時19分22秒 | 政治・世相・スポーツ等
やっと輸入が再開された米国産牛肉、危険部位が入っていたというので緊急輸入停止されたとのこと。なんでも目視できるほどはっきりと脊柱が含まれていたんだって。ばっかみたいw で、原因は、米国側の検査員が日本向け牛肉の除去部位を把握してなかったからだって。ばっかみたいw
まあ、これはなんというか、アメリカ人の適当さを象徴した事件で、別にシステム上の問題というよりは人間的な問題であって、そいつらをちゃんと処分すればいいだけのことだと思うんだけど、やっぱり米国産牛肉は危険だという印象を植え付けようとする報道が多くて閉口する。

このての話題で、「まあこわい」「もう牛肉は食べない」「永遠に米国産は禁輸すべきだ」という非合理的なインタビューが流されるけど、現実にどれくらい危険なのかは一切報道しない。「まあこわい」と言う人に私が聞いてみたいのは、「どれくらい怖いんですか」「いままでに米国産牛肉を食べて死んだ人が何人いるか知っていますか」と聞いてみたいものだ。
当然、知ってるわけがない。ただ怖いとテレビで言うから、くらいのものだと思われる。自分で狂牛病とはなにか、変異性ヤコブ病とはなにか、ちゃんと調べてから怖いと言う人なんかいないだろう。調べたら怖くもなんともないことがわかるからだ。

こんな所に書いても影響はないと思うけど、殆どの人が誤解しているので大きく書いてみたい。

1 牛の狂牛病とヒトの変異性ヤコブ病の関連性は、証明されていない
2 感染者は、危険部位を食べていた英国ですら、百数十人程度。
3 現在の発症率は数億分の1とされる。発ガン物質なら、100万分の1の発症率で、「安全基準内」とされる。
4 つまり、ヤコブ病自体がそれほど怖がる必要がない

という事実を殆どの人が知らない。知らないのに怖がる、というのが私の感覚にないのだが、まあ、多くの人にとって雰囲気でこわーいくらいでいいのだろうか。どの程度怖いのか、どう気をつけるべきなのか自分で調べる人は多くないのだろう。
なにしろ、アメリカ人は今回のような肉を普通に食べてるし、それでヤコブ病が出てるわけじゃないんだよね。奴らが食えるもの、日本人が食えないなんてことはなかろう。心配する必要なんか殆どないと思うんだけどね。


それにしてもこの誤解は多い。
先日、久しぶりに「ゴーマニズム宣言」を立ち読みしたのだけど、小林よしのりも米国産牛肉輸入再開に反対していた。漫画のタイムラグがあるからまだ今回の件は知らない上でのことだけども(というか発売後かな?)、米国産牛肉は危険だとか、肉だけ避けてもエキスとか医療用、化粧品用に牛由来成分が混じってるからあれもこれもダメだとか言い出している。それらの業界が狂牛病対策のためにどういう活動をしているのか、きちんと調べているのだろうか。
牛由来成分を使う場合は表示の徹底と、蛋白質の不活化を行うような申し合わせがあり、殆どの会社はそれを遵守しているし、そもそも狂牛病とヤコブ病の関連自体が証明されてないという、根本的な事実を知らないで書いているようにしか見えなかった。

まあ、彼は根が反米だから、アメリカのやることは全て反対みたいなバイアスがあるのだろうけども、まるで週間金曜日のような、彼が最も嫌う左翼的な「たいした理由もなく、あれもこれもだめ」という発言をしているのが妙におかしかった。サヨもウヨも根は一緒、みたいなw
昔から小林は、勉強して良く知った上で語ることと、自分の感覚だけで語るところの情報の精度の落差が激しかった。最初の戦争論なんか法的な間違いだらけで読んでて苦笑したくなることもあったが、最近のやつは結構頷ける部分がある。私はある程度評価している人なんだけども、今回のはちょっと小林らしさもあってつい笑ってしまった。来月あたり、「ほれみたことか」みたいな漫画が載るのかと思うと、いまから笑ってしまう。


で、今回の件だけど、小林の漫画もそうだけど、私はこのニュースを聞いて「ぷっ」と吹き出してしまった。本気で怖がったり、米国に不信感を覚える人もいるとは思うけど、これって笑い話でしょ。

米国の畜産工場のずさんさもそうだけど、政府の対応も。だってさ、目視でわかるようなものがあったら、手で取り除けばいいだけのことじゃん(笑)なんで禁輸までする必要あるんだ、って話ですよ。
まあ、今回は目で見て分かるものだったからいいけど、分かりづらいものも入ってたら困るってんでしょ?それはわかりますよ。だったらさ、米国用の状態で輸入して、日本で危険部位を取ればいいんじゃないの?当然、その分の経費は関税という形で米国に負担してもらうわけで。
そもそも、米国内用と対日本輸出用との基準が二つあるのがいけないわけで。日本の基準が世界的に見て厳しすぎるのが原因なわけで。アメ公の能力じゃ、その二つを分けて出荷することなんかできないわけでw そこを見抜けなかった日本政府の責任もあるでしょうな。まさかそこまでアホだとは誰も思わなかったわけだけど。

でまあ、そういったいろんな対応やら、これからの動きとかもあるのだろうけども、実際の所、政府は発言権を高めるためにこの件を利用してるように見えるね。アホ検査官を処分して終わることを、外交問題に発展させている。それも中国や韓国みたいな理屈を無視したものじゃない。日本国民は潔癖だから、そういうことをされたものは輸入出来ないという、まことに理にかなったもの。
しかも、突然言い出したものではない。ちゃんと先月の段階で申し合わせて、前もって決めたルールを守らなかったこと。こうなるとルール重視の米国側も認めざるを得ない。こうやって、日本がアメリカに注文を付けるという構図は、とても外交上よろしいことだ。アメリカが圧力を加えて輸入再開させた、なんて報道をよく見かけるけど、これは明らかに日本が主導権を握っている。この牛肉騒動自体は事実を無視してはアホくさいけど、日本の外交問題としてはまさにグッジョブという感じである。細かい検査については私は賛成できないけど、アメリカを押さえつけるためならば、もっとやってもいいかもしれない。厳しく検査することで誰かが死ぬわけでもないしね。確率上意味がない程度とはいえ、安全性は確実に上がるわけだし。
ただ、そのために日本の世論を煽るために、マスコミが明らかに協力しているのがちょっと、日本も中国なんかと変わらない報道統制があるのかなーって思ったらちょっと寂しくもある。が、いいことに力を使うのは正義と信じておこう。


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2 コメント

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やはり (通りすがりのT)
2006-01-24 05:21:29
初めまして、いきなりの書き込みで失礼かと思いますが、通りすがりの「T」といいます。

最近ちょこちょこといぬさんのブログを読ませてもらっていますが、やはり面白い・・・てか、賛同できる事が多いですな。まあ、自分は難しいことは書けませんが、納得できる意見が多いので頷きつつ読ませていただいております。

また、通りすがりにでも読ませていただいて、書き込みできることはさせてもらいたいと思いますので、以後お見知りおきを・・・
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いらっしゃい (いぬ)
2006-01-24 07:36:42
まさか、いつも寝てる方でしょうか・・・。

楽しんで頂けて幸いです。

またよろしくお願いしますー。
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