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12月また来れり 何ぞこの冬の
寒さや 朔太郎
なつかしき冬の朝かな。
湯をのめば、
湯気がやはらかに、顔にかかれり
石川 啄木
さて、どちらへ行かう 風が吹く
焼き捨てて日記の灰のこれだけか
山頭火
路地抜けてゆく人声や十二月
罪障のふかき寒紅濃かりけり
鈴木真砂女
序
私は、友が無くては、耐えられぬのです。しかし、 私にはありません。
この貧しい詩を、これを読んでくださる方の胸へ捧げます。
そして 私を あなたの友にしてください。 八木重吉 「秋の瞳」序文
紙風船
落ちて来たら
今度は
もっと高く
もっともっと高く
何度でも
打ち上げよう
美しい
願いごとのように
黒田三郎 詩集「もっと高く」より