Entrance for Studies in Finance

投資リスクと仕組み債

復習 債券bondsとは 
 借用証 との違い 売買できるtradable(業者の役割 仲介 売買の事実の確認) 同一条件で大量発行される(小口資金を集める方法 売買できることも資金を引き寄せる理由となる)

債券の起債時期 資金ニーズのほか経済環境も影響を与える  
   長期金利の低下 → 起債意欲高める 低コスト資金調達のチャンス。
   長期金利の上昇予測 → 前倒しに資金確保
    増資などによる1株あたり利益の希薄化・被買収リスク避ける。
    金利下がるとき、固定金利へのニーズ拡大
    運用難 低格付け債への需要拡大
   株価が上昇 → 株式投資のリスクが取りやすい 公募増資 CB増える
   株価が低迷 → 株式による資金調達避ける 社債発行増える

     1998 金融不安の中で貸し渋り 一時社債発行が急増
     04/12 証券仲介業解禁
     06/03 量的金融緩和解除
     06/07 5年ぶりゼロ金利解除 

国債が基準になる意味合い
リスクフリー証券としての国債の金利は債券の基準金利
 なかでも国債は信用リスクがもっとも低いことからリスクフリー証券ともされ、その金利はほかの債券の金利を決定するとき基準金利とされる場合がある。たとえば社債金利の決定方式をみると高格付け債券では国債金利が基準金利となっている。ある国をとらえるとその国の国債というものが、その国で出される債券の最上位格付けを受ける。
 (したがってサブプライム問題でたとえばアメリカ政府の信用に傷がつくことが大きな問題になるし、かつて格付け機関のムーディーズが、日本国債の格付けを低く評価して大きな問題になった(2002年春A2と評価)。
 しかし格付け機関への信頼は、2007年以降、サブプライム問題で決定的に失われたといってよい。現在は格付け機関を盲信することを戒める意見が多いのではないか。)
 なお国債がリスクフリーなのは信用リスクの面であって、流動性リスク(環境による売却の容易さの変化)や市場変動リスク(需給による市場価格の変動)をまぬがれるわけではない。

社債など国以外の発行者が発行する債券の金利決定方式
社債金利の決定方式 スプレッド方式 基準金利+上乗せ金利
     ○残存期間がほぼ同じ国債の流通利回りを基準金利とする
     ○信用リスクを反映するスワップレート(6け月LIBORと交換する固定金     利)を参照するケースもある そのスプレッドはCDSプレミアムとほぼ     同じ

社債発行枠
   社債発行のタイミングを考える社債発行枠制度の利用が考慮される。
   社債発行については発行枠を登録することで発行を弾力的に行うことが
  できる。
   社債発行枠の登録 一定期間の間についての発行枠。財務局へ。

リスクと仕組み債
投資する側はデフォルトリスク以外にも懸念するリスクがある。これを軽減する
仕組みが考えられる。
債券の保有するリスクと仕組み債structured bonds
債券投資には様々なリスクもある。これを調整するには、債券投資とくみあわせて自ら金融派生商品取引をする方法がある。いまひとつの方法はこうした商品を
組み込んだ仕組み債に投資することである。

2004年12月の銀行の証券仲介業解禁で銀行の姿勢は積極化
        顧客の要望に応じてオーダーメードで組成
        運用難の地銀・企業・法人への売り込み

金利変動   → 通常の固定利付債は低金利下では収益限定
                    金利上昇で売買価格低下
  為替変動   → 通常の外貨建て債は円高が進行すると利回り
           償還とも円では目減りする 

  金利変動   → 変動金利債floating rate bonds
  為替相場変動 → デュアルカレンシー債(払い込み金利は円 償還は外貨)
           逆デュアル(払い込みと償還が円 金利は外貨)

仕組み債とは金融派生商品derivativesを組み込んだ債券
 デリバティブ:先物、先渡し、スワップ、オプション
        相対取引型:先渡し、スワップ
        取引所型:先物、スワップ 

 仕組み商品:デリバティブを利用して原資産のキャッシュの流れ(フロー)を組       み替えた商品

もともとは現物資産との組み合わせ
 値下がり予想 先物売り
        プットオプション購入 protective put
portfolio insurance
 値上がり予想 先物買い
        コールオプション購入

 金融派生商品 先渡しforwards: 将来取引を現時点で相対約束
        先物futures: 将来取引を現時点で市場取引
               規格化された商品を取引
        
        オプションoptionsとは: 売買権(原資産)
           コールオプション(買う権利 選択権) 
           プットオプション(売る権利 選択権)
            ヨーロピアン・オプション(特定日だけ売買)
            アメリカン・オプション(特定日までいつでも売買)
           現物保有+プットの買い:protective put
同一行使価格、同期間でのコールおよびプットの売り
           :ストラドルstraddle 行使価格近くでの価格のこう着 
双方の買いはバタフライ 価格は行使価格から大きく離れる          
        スワップswapsとは交換のこと:異種金利の交換 通貨の交換
            ベースは変動金利と固定金利の交換
         スワップレート 6け月変動レートと交換する固定金利
                 円/円 ドル/ドルで表示
        スワップション: スワップをオプションの原資産とするもの
         権利行使日に行使価格>固定金利
           固定金利受け取るレシーバーズ(コールスワップション)
         権利行使日に行使価格<固定金利    
           固定金利支払うぺイヤーズ(プットスワップション) 

仕組み金融商品とデリバティブ取引の関係
  変動金利債 発行者:固定金利 投資家:変動金利とすれば金利スワップをからませればいい(スワップ取引)。固定金利と変動金利を交換。
  リバースフローター まず変動金利債に変換したあと(スワップ取引) キャップ取引(=カラー取引)をかませる。キャップ(上限金利 カラーは上限下限の金利幅)を超えるとキャップの売り手は超過金利を買い手に支払う必要がある。キャップ取引は一種のオプション取引。投資家はキャップの売り手の立場。

  転換社債=普通社債+コールオプション 投資家はコールオプションの買い手。

  他社株転換社債:株価が一定以上であれば割り増し金利のまま償還
          株価が一定以下に下がると金利が低下
          株価が一定以下に下がると株式で償還
          投資家はプットオプションを売っている立場 

  リスク限定型投信 投資家はプットオプションを売る立場

さまざまな仕組み債の登場
  インバース(リバース)・フローター債 基準金利ー短期金利 低金利が持続するもとでは高い利回りを確保できる。短期金利上昇すると金利は低下。既出
  パワー・リバース・デュアル債 円安になるほど金利が高くなるように設計
    円高進行で場合によっては無利子化。

先物市場
   physical trading screen based trading 
先物市場間のリンク化。

証券市場論講義 個別の論点を展開
証券市場論リンク Web上の情報案内  
Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author. 



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