Entrance for Studies in Finance

データセンター saasとcloud

データセンターdata centerとクラウドcloud computing

 もともとコンピューターソフトの使用を時間貸しするというサービスsaasが出発点である。saasが実は、サーバーの時間貸しになることが理解されるのに時間はかからなかった。つまり顧客企業は、ソフトだけでなくサーバーを保有する負担からも免れることが可能だと次第に理解された。そこからサーバーをそのものを借りる、貸すという発想がうまれるようになった。
cloud computingとはsaasというサービスが意味している、このような中身が明らかになってから普及した名称であり、ソフトを資産として保有することから顧客企業を解放する(saas: software as a service)だけでなく、機器(サーバー)の保有から企業を解放する一連のサービスを広く指している。
 このcloud computingの基盤になるのがdata centerである。高性能サーバーが多数配備されている。
このサービスの登場と普及により、IT産業は、大型data centerの整備を急いでおり、労働集約産業から装置産業に急速に変貌しつつある。
software as a service overview InfoClipz
what is cloud computing

 ところでこれまで事務機についてはリースという形態があった。これまではサーバーを含めてリースの必要があった。cloudではここの切り分けが大きく変わってくる。
 機器のリース(機器を資産として持たない 基幹システムであるサーバーは月末などに合わせて能力を決めるため普段の稼働率は低い)
 クラウドコンピューティング(ソフトを資産として持たない ソフトを含めて月額課金を払えば資産として持たずに活用できる)。シンクライアント端末(記憶装置を持たないものは情報漏れのリスクがないとされる)という方法もあり。
 顧客側は、サーバー、ソフトを自前で確保する必要がなくなる(情報システムの負担が軽くなるというのがセールス文句だが)
 顧客の側では、端末に高機能ソフトを搭載することも不要になり、これがネットブックと呼ばれる低価格パソコンの普及にもつながった。

cloud computingとして、企業のデータを集中保管するデータセンター機能をネットを通じて、業務として提供することが見られるようになった。このサービスは、顧客のサーバーを預るhousing service(collocation service)と、顧客にサーバーを貸し出すhosting service(shared hosting service)とに分類される。collocationは価格競争が激しいが、hostingや、データセンター移管の設計構築業務などは急増するとみられる。トータルでは 2013年に世界の市場規模は1500億ドル(13兆5000億円)と予測されている(世界はガートナーの予測、なお日本の市場規模はその10分の1程度 IDCジャパンの予測)。システムの安定稼働、コスト削減、運用負担の軽減などからデータセンターに業務を委託する動きが強まるとみられるからである。

hpがデータセンターをアウトソーシングサービスとして提供するというのは前者のhousing service。センターをどこに置くかで郊外型と都心型の違いがあり郊外型は低価格のhousingが可能としている。同社は山梨に床面積9000平方メートルの、また渋谷にも8000平方メートル規模のセンターを保有しているようだ。
日本ibmによるパブリッククラウドサービスはこのうち後者のshared hostingにあたる。1台のサーバーを複数社が利用することでサーバーの利用効率を高めて費用の効率化を実現できるとしている。料金は従量制。2009年10月中旬から提供としている。
規模の経済が働くとされる。企業が単独でサーバーを維持する場合に比べてデータセンターのアウトソース化には、LANによる接続、高度のセキュリティ、24時間空調と電源を確保された環境を安価に確保できる利点があるとされている。
 インターネットを通じて無料ソフトが提供されることから差別化する必要のないシステムは社内でもたないことが増えている。例 メールシステムをアウトソース化する企業が増えている。アウトソース化により、運用管理コストの増加、メールボックスの大容量化、メールセキュリティなど、様々な問題の解決につなげようととしている。
 この場合、たとえばある企業がgoogleのgmailを利用することは、googleのデータセンターにあるサーバーを他社と共同で利用していることになる。
IT投資が厳しい中 効率的な情報システム強化 データセンターの設置場所として日本は電力の高さ 耐震基準の厳しさが響く

クラウドには多数の企業が使うパブリッククラウドpublic cloud同じ企業内で使うプライベートクラウドprivate cloud(社内クラウド)の区別もある。

HP 山梨データセンター 1998年7月 延べ床面積9000平方メートル
  渋谷データセンター 延べ床面積8000平方メートル
Hp世界85ケ所のデータセンターを北米6ケ所に集約。 
ソニーは2015年をめどに世界約60ケ所でのデータ管理をアジア(シンガポールに大規模センター)と欧米1つずつに機能統合へ。

データセンターは東京近郊に集中している(2009年で全体の7割)。緊急時にシステム管理者が急行する必要があるためとされる。
伊藤忠テクノソリューションズ すでに横浜市、神戸市など全国5ケ所約7万6000平方メートルでデータセンター運営。横浜のデータセンター敷地内に大規模データセンター新設へ。投資額70-100億円。延べ床面積約1万平方メートル。2012年4月に稼働予定。
新日鉄ソリューションズ同社として約1万平方メートルと最大規模のデータセンターを東京都西部に新設。2011年度中の稼働を目指すとのこと。用地取得費を含め投資額は約120億円。
日本IBM 千葉市(2008初め稼動)
KDDI ロンドンで2万6000㎡のデータセンターを保有し欧州では大手。2010年3月末1万9000㎡9階建のビルを新設稼働させる。1.7倍に。投資金額約8000万ポンド、110億円。 述べ床面積4万5000㎡ 4万台を超えるサーバーを収容する欧州最大級のデータセンターを整備。金融機関などの需要の伸びに対応。KDDIでは海外ビジネスの基盤をデータセンターとして積極的に投資。2009年には香港のシステム開発企業DMXテクノロジーを120億円で買収(第3者割当増資で52.56%取得)。
NTTコム シンガポール(5階建自社ビル 約2500台の設置面積 2012年春サービス開始)とベトナムホーチミン(3階建てビル 200-300台 2011夏開設)にデータセンター新設へ。
NTT西日本 2010年春までに70億円投資し大阪地域のデータセンターの総床面積を5割増しの1万4500平方メートルに拡張する(西日本ノエリア内に30ケ所以上のデータセンターを保有 建物はいずれも震度7に耐える)
日立 横浜市に新設備(2009.7稼動 500台 今後増強を予定 地上7階 1万平方メートル超)企業が購入したサーバーの運用を日立のデータセンターで運用することも想定
野村総合研究所 データセンター用に東京都多摩市に約二万平方メートルの土地を取得 2012年度完成で延べ床面積一万6000平方メートルの大型センター建設 総投資額200億円 野村としては⑤ケ所目
富士通 群馬県館林に新設備(2009秋 1000台稼動 床面積1万平方メートル以上 2010年10月からサーバー1台あたり1時間当たり31円から貸し出す) 手のひら静脈利用の厳重な入退室管理など高度のセキュリティ。顧客はネット経由で富士通が持つサーバーや外部記憶装置(ストレージ)を時間単位で利用する。2010年度中での英米独オーストラリアシンガポールにあるデータセンターの能力を増強(投資額は合計で500億円程度)。サーバーなどを時間あたりで貸し出すサービスに海外でも乗り出す。

米企業の例
MS アイルランドと米シカゴで2009年7月運用開始 合計9万3000平方メートル 将来は数十万台 利用企業例 リクルート、米グラソンスミスクライン
他方、マイクロソフトは富士通との間でクラウドコンピューテイング事業で共同展開を発表した(2010年7月10日日本経済新聞朝刊 7月13日記者発表 データセンターの共同利用など)
米セールスフォースドットコム 世界で7万7000社の顧客企業。日本でも経済産業省、損保ジャパンなど。2011年に東京にデータセンター設置。これまでは米国、シンガポールのデータセンターでサービス。現在の日本での売上高100億円弱を1000億円規模に引き上げる計画。
HP 08年までに世界85箇所のデータセンターを北米6ケ所に集約
米グーグル 2006^2009年に計7000億円を投資

2008年の世界のサーバー出荷台数シェア
米HP35% 米でDELL25% 米IBM14% 813万台 米IDC調べ 

データセンターと省エネ 省電力
 またこうした施設は大量の電力を消費することから省エネをいかに実現するかもしばしば話題になっている(例 日立が省エネ型データセンター事業を米中でも展開へN2010/06/08。日立は2010年度中にもデータセンター専門の空調設備会社を英国化オランダに設立するとしているN10/04/17。従来より6割ほど消費エネルギーを下げるという。)。
 このほかNECがデータセンターむけに省エネ型サーバー(従来より最大で7割削減可能)を2010年5月に発表して注目されたN2010/05/08。このほかインターネットイニシアテイブでは外気冷却を用いた省エネの実験をしている(従来より4割削減)N09/11/26。

Written by Hiroshi Fukumitsu.You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
Originally appeared in Aug.10, 2009.
Corrected and reposted in Mar.7, 2010.
reposted in Aug.13, 2010.

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