寺本名保美『ヘッジファンド運用入門 第2版』財経詳報社, 2008
山内英貴『オルタナティブ投資入門 ヘッジファンドのすべて』東洋経済, 2002
最初のヘッジファンド 1949年1月 市場動向に左右されない投資戦略 割安株を買い持ち(良い銘柄の選択+買う金を借りることでレバレッジ) 割高株を売り持ちすること(売る株を借りることでレバレッジ)で体系的バランスをとり 利益を膨らませるためレバレッジをきかせる これまで投機目的で使われたもの(デリバ取引)を体系的に組み合わせたこと 市場の上昇期にも下降期にもプラスの利益を生む運用手法をつくりあげたこと 利益の20%を成功報酬 ファンドに自己資金を投じることで投資家と利益を一致させた 行動の自由性を確保するためプライベートパートナーシップの形をとった。 ジョーンズファンド アルフレッド・ウインスロー・ジョーンズ ジョーンズモデルとも呼ぶ。フォーチュン誌1966年4月号の記事「独走するジョーンズ」で認知される 参照 ジェームズ・オーウェン 遠坂淳一訳『ヘッジファンド投資入門』ダイヤモンド社、2002, 70-76
プライムブローカーprime broker ヘッジファンドの資金調達 借株 売買執行 伝票処理などを代行する業務のこと。大手の証券業者、投資銀行などが行っている。
「投資ファンドマネージャーたちは複数のブローカーディーラーといろいろな金融取引を実行するが、すべての資金決済と証券保管サービスはこのプライムブローカー1社に任せるのである」レダーマン、クレイン『ヘッジファンドの世界』東洋経済, 1999 第14章プライムブローカー 冒頭。
プロプライアトリートレーデイングproprietary trading 銀行や証券会社で自己資本を利用して資産運用を行うこと プロップトレードとも
破綻懸念の高まった企業の債権の残余財産価値に注目し投資する手法:ディストレスト(破綻)distressed 戦略 ( 企業の財務状況が悪くなり、資金が不足して債券や融資の元利払いができなくなった状態:デフォルトdefault )
→エンゲージメントengagement 株主による企業への積極的関与のこと
レラテイブバリューrelative value 裁定取引
シクリカルcyclical 循環的な景気変動のこと
ロング(買い)の持ち高が多いこと。ロングバイアスlong biasという。市場全体の上昇で収益増加しやすい
ショート(売り)の持ち高が多いこと。ショートバイアスshort biasという。市場全体の下落で収益増加しやすい
転換社債裁定 ボラテリティロング CBを買い(保有により株価上がるとCB上昇 下がると事業債となる)+現物を空売り(下落に伴うリスクをヘッジ上がると売りまし 下がると買い戻す)
クレジットロング 信用リスクで割安のCBを買い、金利変動は先物やスワップでヘッジするもの。
証券化:生み出されるエクイティを購入して利益を確保。デット部分を売却することで、新規投資に向かう。
VaR 一定期間内・一定の確率において見込まれるポートフォリオの最大損失のこと。統計的リスク管理手法。リターンの分布が正規分布であることが前提 ファットテールが大きい場合=テールリスクが大きい場合 統計的リスク管理手法の有効性が低下する
基本用語
アキュムレーションaccumulation 取得価格<額面で利益を期間配分すること
アモチゼーション amortization 取得価格>額面で損金を期間配分すること
エンロン・ワールドコム事件 2001.12エンロンの破たん 310億ドル 2002.07ワールドコムの破たん 410億ドル 2002アーサーアンダーセンの解散 ➡ 2002.07 SOX法(Sarbanes-Oxley Act)につながる
オシレータ 日々の値動きから相場の強弱を示す指標のこと 例 サイコロジカルライン(過去12日のうちプラスになった日の割合) 騰落レシオ(値上がり銘柄数/値下がり銘柄数)など
コベナンツcovenant 融資契約における特約条項のこと
コラテラルcollateral 担保 債務不履行リスクの備えてあらかじめ確保された弁済手段
システミックリスクsystemic risk 一つの金融機関のリスクがほかの金融機関に伝播し、金融システム全体に影響が出るようなリスクのこと。
シャープレシオ (ポートフォリオ運用収益率―安全資産収益率)÷標準偏差
ストップロスルール 一定以上の評価し恩になった段階で強制的に手じまうルール ストップロスルールstop loss rule ストップロスあるいはロスカットルール:状況によっては手じまえない、損失が大きくなることもあるという考え方もある・・・ストップロスを設定しない考え方も成立
ストレステスト ストレステスト VaRの範囲を超えた変動を事前に想定する作業のこと。具体的事例をあてはめるヒストリカルテスト。特定条件下のシミュレーションsimulationであるシナリオテストなどがある。
デカップリング 先進国と後進国の景気経済の分断現象をいう
デススパイラル ムービングストライク型のCB デススパイラルdeath spiral finance or financingとも呼ばれる。株価の下落に応じて転換価格を下げるもの。発行者は入手資金が減少。下がった価格で株式への転換が進む。自己資金の調達にはなるが、支配株主の交代につながる可能性がある。
ノンリコースローンnon-recourse loan 返済の原資を責任財産からのキャッシュフローのみに限定した融資(責任財産限定、非遡及型)
マーケットニュートラル 市場収益率と実際のファンドの収益率との差をトラッキングエラーtracking errorという 市場収益率を運用の目標とするファンドではこのかい離幅はリスクとされる。マーケットニュートラル管理:基準指数のロングとショートを組み合わせてポートフォリオの感応度と市場全体の感応度とを一致させ、ポートフォリオが市場変動の影響を受けないように調整することをマーケットニュートラルという。つまり市場中立型運用、トラッキングエラー管理とは、市場全体の変動に起因する価格変動をベータとするとき、市場変動ベータの影響をなくすことを目指す運用をいう。
レバレッジleverage 純資産以上の運用資産をもつこと
借入によるレバレッジ 借入 担保の掛け目
証券・現金の借り入れ 借り入れた証券の売却
借入資金での購入 デリバ取引 担保に入れる証券
証券価格が下がると 追加担保の要求 保有証券の処分も
買戻し付き条件付き売却=リバースレポと呼ぶ。
レポ取引で入手した証券(借りている証券)を売って
その代金でさらに資産購入
売戻し条件付き購入→売り→購入
デリバ取引 証拠金取引であるため大きな金額の取引
保有金額に比べて大きな取引が可能。
(こうした取引の連鎖で「架空性」が高まる)