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一点の「濁り」もないBlog “G”

北海道を離れ、新たな土地で再出発。それに伴いタイトルだけリニューアル。
ただ、看板は挿げ替えたが内容は相変わらず。

ファイターズ選手大量粛清に想う

2005-10-12 | sports - Fighters
【賛成と反対と】
今回の大量粛清に対して、各氏がいろいろとコメントされているように、私にもいろいろな感想がある。かなりの長文になるがご容赦願いたい。

【私の記憶しているだけで】
こないだ岩本と奈良原のことを書いたが(奈良原は結局残留)、リストアップしてみると、

投手:岩本、高橋憲、桜井、加藤、芝草
野手:島田、石本、上田、阿久根、西浦、池田、山田

まぁ、確かに数年前まで(ヒルマン体制になるまで)ファイターズのなかで大きなポジションを占めていた選手も含まれており、いささか寂しい面は否めない。ただ、戦力外うんぬんというのは「情け」で決めるものではなく「結果」で決めるものだ。私が奈良原と岩本のときに奈良原に対する処遇に不満を示し、岩本に対しては妥当ではないかと言ったのはまさにそういうことで、岩本というシンボリックな存在でも結果が出なければ戦力外となるのは当たり前のことだ(ただ、2軍成績を見ると岩本は投手陣の中では群を抜いた成績を残しており、そういう意味では1軍での使い方の問題もあるだろうけど)。島田は引退だから別としても、野手で言えば石本、上田、阿久根、西浦、池田の成績を見てみると、

石本:.214、0HR、4打点
上田:.083、0HR、1打点
阿久根、西浦、池田:打席なし

ちなみに今季の2軍成績は、

石本:.380、1HR、4打点
上田:.281、7HR、30打点
阿久根:.301、2HR、10打点
西浦:.243、4HR、18打点
池田:.146、1HR、3打点

例えば外野の西浦、上田とレギュラークラスで同年代の稲葉、坪井を比較したときにその成績の差は歴然としている。

坪井:.309、2HR、19打点
稲葉:.271、15HR、54打点

1軍成績と2軍成績とでは、ファイターズの選手の場合はだいたい最低でも打率にして3分以上の違いが出る。成績的にどうやったって上回る坪井、稲葉の存在がある上に、明らかに成長を見せている稀哲がいたりと下からの突き上げもある。パッとニュースを聞いたときに、今季の守備固めとかでの出場回数から考えても「石本も戦力外?」と思ったけど、他の選手に関しては少々残念だが納得してしまう。例えばそういうところに「功労者だから」とか「ファイターズの歴史を…」とか「頑張る姿勢を見せる選手を…」とかそんな理由を持ち出すのは個人的にナンセンスだと思っている。そういう感謝は通告の仕方とか、戦力外とした後の処遇とか(岩本や山田にしたように)そういうところで見せればいいだけである。確かに今季のレギュラークラスの働きに当然強い不満は残っているが、通算成績的にも劣っており、そして今季の成績的にもそのレギュラークラスを継続的に上回る可能性が薄い同年代の選手は、切られたとしても仕方ないのではないのだろうか。

【数字で見えない貢献】
野球ではよく「数字に表れない貢献」という言い方をする。例えば隠れた好プレーとかそういうものは攻守両面において確かにあるだろうし、それ以外にもハートとかスピリットとかいう精神面もあるだろう。またそれを気にするファンも多いだろうというのも事実だ(特にチームを愛するファンであればあるほど)。私は実際にグラウンドでプレイしているときの技術的な面での「数字に表れない貢献」というのは評価すべきだと思うし、そういう貢献を選手がしているかは見る人が見れば一目瞭然だ。だが、精神的な面、例えば一生懸命さとか頑張りとか、そういうものでも選手を見るべき、という立場はとらない。理由は単純な話だ。一生懸命かどうかなんてことはどうでもよくて、金に見合ったプレイをしているかということこそが評価基準だからだ。一生懸命やる人間を残す、一生懸命やってないように見える選手を切る。そんな基準でチームが作れるはずもない。数字ばかりに目を向けて査定をすることに対して批判的な見方をする方もいらっしゃるだろうが、じゃぁ他に何を見て評価するのだろう?一生懸命やっていて結果を残せない選手、一生懸命やっていないように見えてもそれ相応の結果を残せる選手、どちらがいい野球選手だろう?どちらがいい取り組み方かは正直わからないけど、野球選手としては間違いなく後者のほうが優秀である。もちろんその「結果」というのは数字上のものだけではなく、例えば奈良原のように一人いるだけで試合中の他の選手の選手交代がしやすくなる、とかそういう面も含むべきだろうが、精神論はそれとは別だ。もし全力疾走によって相手のミスを誘うとかそういうプレイを評価するというのなら、それは出塁率とか、進塁打の本数とか、打点ではなく得点とか、そういう形でいくらでも数字に出せるはずだ。そういう類のプレイをきっちりしていても、そういうプレイをきっちりしていない選手より結果が出ない選手なら必要ないとされても仕方ないだろう。

【もちろん】
個人的なファンの思いとして長年応援した選手を切られるのは身を切られるような思いになることだろう。私も特に上田佳範に関しては松商学園でセンバツ準優勝したとき(特に準決勝の四日市中央工業戦で井手元からサヨナラ押し出し死球を食らった試合)から見ていて、非常に好きだった選手だった。ただ、いかんせんプロの世界で結果を残したとは言いがたいし、特に近年層の厚い外野陣で堅実な守備をセールスポイントに上田がポジションを奪えるとは正直思えない。それならトライアウトとかで欲しいチームがあればそこで活躍してもらうほうが彼にとってもいいだろう。他の選手にしても同じことが言える。

【シンボル的存在】
ここまで感情的なものを排除して考える、という方向で話を進めてきたが、確かに精神的支柱、といったような選手がチームにいる必要を無視できないのも事実であるとも思う。勘違いしていただきたくないのは、そういう選手は必要だけども、そんな選手ばかりでもだめだということで、せいぜい各ポジションに最低限の働きができるという条件付でそういう選手が1人いれば十分だ。そういう面で田中幸雄がまったく戦力外とかいう話題に上らなかったのは今季それなりに活躍を見せたからで(きっと使い方をうまくやればもうちょっといい成績が出ただろうけど)、チームがそういう選手の必要性をまったく考えていないとは私は思っていない。ただ、そういう面で言っても島田にはもう少し頑張って欲しかったという思いがある。

【最終的には】
今回こういう大量粛清という方向にフロントは動いた。これはつまり、今年残った選手と新しく補強する選手、そして現在のスタッフで最低限昨シーズン残した成績を上回る、ということができなかった場合、次に首を切られるのは選手ではなくスタッフとフロントでなければならない、ということである。チームは若返りを図ろうとしている。その若返りがうまくいけばいいが、うまく行かない可能性も十分にある。そのときにその若い選手たちに責任を押し付けるのではなく、彼らにそういう責任ある立場を与えた人間が責任を取らなければいけないのだ。タイガース岡田彰布監督は今季からクローザーに抜擢した久保田智之に「思い切って投げろ。打たれたら責任はオレが取る」とマウンドで激を飛ばしたというが、首脳陣に必要なのはこういう態度である。来季もフロントや首脳陣からこういう態度が見られず、今の主力選手たちが北海道のファンのあたたかさに甘えるようなプレイを続けて、またなんの成長も見られず下位に沈むようなことがあれば、今回流れた血がまったく意味のないものになってしまうということを、その重みを理解したキャンプ、そして来シーズンにしていただきたいと今は切に願うばかりである。

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