原作名:オリジナル
作者:にんぽっぽ 七沢またり
最終更新日:2012年3月24日 完結済
評価:C
サイト:小説家になろう
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[あらすじ]
住んでいた村が焼かれ、親兄弟・村人全員が殺害された中、役立たずだからと小屋の中に放置され、生き延びていた少女。あるのは死への恐怖でも生への執着でもなく、お腹一杯ご飯を食べたい飢餓感。
そして食べてしまった死神っぽい何か。その後に何が起きたか、知るのは少女のみ。
村を襲った賊――解放軍兵士――の首と引き換えに、食事を求めて少女は王国軍へ志願。功績を上げて出世していく。
後の世に『死神』の二つ名を冠せられ、恐れられた少女の戦記。
[文章]
三人称。たまに誤字。少々設定語り――特に王国・解放軍以外の国の説明――が長いと感じたが、許容範囲内。会話文だけで長々と続くのでなく、時折地の文を混ぜてテンポを変えているなど、文章力は高い。
[総評]
戦記物。暗愚な王と佞臣達により国の中枢から腐敗した王国と、そんな王国打倒を掲げる元王族の娘率いる王都解放軍。両軍による内戦をメインに、その周辺国家の動向などの描写もあり、読みでがある。『職業は何を? 勇者です。』で登場した街や教団の名前も出てくるが、本編には絡まない様子。
現段階で登場している王国軍の大将勢が、前線に出ると脳筋になるところに違和感。間諜を使っているのが解放軍の軍師だけで、王国軍がその手の人員を手配していないところにも無理を感じる。それでいて、解放軍の稚拙な作戦なぞ数で押せば踏み潰せると、満足な作戦も立てずに突撃するのだから、ボロ負けは必然。
そんな負け戦の中、毎回のように最前線に取り残される主人公。手元の僅かな戦力でしんがりを務め、本隊の撤退に貢献する。しかも直上の指揮官は必ず戦死。このパターンが多い気がする。
パターン化しているきらいはあっても、両軍の上層部の軍議描写や、解放軍が綺麗事だけで決起しているのでない描写もあり、読んでいても飽きが来なのが良い。主人公の動機が満腹になるまで食事を摂る事と一貫し、上層部の思惑や世情に流されずにいるのも高評価。
追っている戦記物のほとんどの更新が停止しているため、この勢いを殺さず、最後まで走り抜けてくれるのを期待しているた作品。
[2013年2月25日追記]
書籍化されています。
[2013年3月26日追記]
一部修正しました。