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マイナーな話題を扱うことが多いかもしれません。

上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その22)

2009-12-31 20:10:00 | 八ッ場ダム騒動
上毛新聞で 2009年9月23日から22回に渡って掲載された『八ッ場の57年』という連載記事への突っ込み、という謎更新。
最終回となる今回は、建設予定地にある川原湯温泉の状況に触れてる所だ。
・温泉街の代替地移転:揺れる再生への道筋(2009年10月17日 raijin.com)

つーことで、2009年10月17日分上毛新聞『八ッ場の57年 苦悩の軌跡 22』を全文引用してみた。
ただし、一部表記を変更+強調を入れておく。
あ~、長かった(謎)。

---- 以下引用 ----
温泉街の代替地移転
揺れる再生への道筋

2009年10月17日 上毛新聞


「川原湯温泉は生まれ変わります」-。
ひなびた雰囲気の温泉街を歩くと、こう書かれた看板が目に入る。
看板にはその文字と一緒に、将来の温泉街をイメージした絵も描かれている。
メーンストリートや公園、そしてダム湖反の温泉街。
それらは、長引く八ッ場ダム問題によって衰退してきた温泉街が、文字通り"生まれ変わる"ための希望の絵だ。

八ッ場ダムによって水没する予定の川原湯温泉。
1193年(建久4)年、源 頼朝が浅間狩りの際に発見したとされ、最盛期の1980年代には20件ほどの旅館が営業した。
しかし、伝統あるにぎやかな温泉街は、景気の悪化やレジャーの多様化、そして何より、半世紀を越える八ッ場ダム問題によって活気を失ってしまった。

見通しが立たないダム問題で住民の流出が進み、旅館は現在7件にまで減少。
地域を守る役目の消防団は、他の水没地区と統合した。
もはや地域の形を維持するのも困難な状況になっている。
そんな中、この地に残る住民にとって唯一の希望が、「ダム湖畔の代替地」での出発だ。
新しい温泉街となる予定の代替地の造成は、まもなく本格化するところだった。

そんな矢先の9月17日、就任したばかりの前原誠司国土交通相が八ッ場ダム本体工事の中止を表明した。
突然の中止表明に、住民は反発。
前原国交相が現地視察した23日には、住民との意見交換会は行われず、解決の糸口は見つかっていない。

温泉街で土産店を営む樋田ふさ子さん(80)=長野原町川原湯=は、ダム計画が浮上した1952年に、町外から嫁いできた。
次第に衰退していく街の姿を見守ってきた一人だ。
ダム完成後は旅館を経営する息子夫婦とともに、湖畔の代替地に新しい旅館を建て、移り住む予定だった。
「これからどうなるのだろうか。年も取ったし、焦ってしまう。80になってこんな思いをするなんて」とため息をついていた。

前原国交相の中止表明から1ヶ月が経過した。
新聞やテレビなどでダムに翻弄される温泉街として数多く取り上げられたため、温泉街には多くの観光客が訪れている。

温泉街の入り口に位置する樋田さんの土産店には、橋脚の工事現場への行き方など、ダムについて尋ねる観光客が訪れるようになった。
「ダムに賛成や反対は関係なく、国の方針に振り回される(この地域の)現状をしっかり見てもらいたい」。
樋田さんはそんな思いで一人一人丁寧に応対している。

「サテ やがて 明るい 朝日が 昇る ソレ」。
毎年1月20日早朝、川原湯温泉で行われる奇祭「湯かけ祭り」で歌われる「湯かけ音頭」の一節だ。
温泉街を潤す源泉に感謝する祭りは、代替地でも続けられるという。

どんな形であれ、ダム問題に苦悩し続けてきた住民に、「明るい朝日」が昇るのいつの日だろうか。
(おわり)

(連載は羽鳥 秀介、入山 亘、山形 博志、小渕 紀久男、小田川 浩道 が担当しました)


川原湯温泉

長野原町川原湯に位置する温泉。
弱アルカリ性のやわらかな泉質。
温泉街の代表的な共同浴場「玉湯」には、源頼朝によって発見されたという言い伝えを物語る源氏の紋所「笹竜胆」が掲げられている。
厳冬に行われる奇祭「湯かけ祭り」でも知られる。
八ッ場ダム建設により温泉街は水没する予定で、現在より高い場所の代替地に新しい温泉街が造成される。

---- 引用以上 ----

一応、『湯かけ祭り』で歌われる『湯かけ音頭』の全歌詞を引用しておく。
・上州川原湯温泉  湯かけ祭りご案内(川原湯温泉観光協会)

---- 以下引用 ----
♪ヤア~ 正月20日にゃ どなたもおいで
サテ  上州川原湯  ゆかけの祭り  ソレ

はやし) メデタヤ メデタヤ オシャシャンのシャン
おや オシャシャンのシャン



♪ヤア~ そろった そろったよ 裸で手桶
サテ  かけ声勇んで ゆ煙立てて ソレ

(はやし) メデタヤ メデタヤ オシャシャンのシャン
おや オシャシャンのシャン



♪ヤア~ 大寒 小寒も なんでもないよ
サテ  みんなで 湯かけの 音頭をうたや ソレ

(はやし) メデタヤ メデタヤ オシャシャンのシャン
おや オシャシャンのシャン



♪ヤア~ 湯かけ祭りの しぶきを浴びりゃ 
サテ  今年や 災難 厄除けできて ソレ

(はやし) メデタヤ メデタヤ オシャシャンのシャン
おや オシャシャンのシャン



♪ヤア~ 湯かけて 唄って 唄ってかけりゃ 
サテ  やがて 明るい朝日が 昇る ソレ


(はやし) メデタヤ メデタヤ オシャシャンのシャン
おや オシャシャンのシャン

---- 引用以上 ----

・・・シュールだ。


で、『頼朝の浅間狩り』というのは、1193年(建久4年)信濃の浅間野で狩りをしたという故事。
ただし、この浅間狩り自体『富士の巻狩り』の一部として行われていたらしい。
それを伝えてる作品としては『曽我物語』なんてのがある。
↓を参照
・第5巻 メモ(2007年10月20日 覚え書き)

なお、『曽我物語』は、曽我兄弟の復讐劇という側面を持ち合わせているとか。
暇な人はどこかで読んでくれい(無責任)。


だいぶ長い更新企画となってしまった感のあるこの件。
これをやってて見えてきた(と思い込んでいる)のは、中央政府の不作為のツケを一地方に住む人達が払うハメになってるというありがちな、そして 60年間以上日本で繰り返されてきた深刻な構図だ。
六ヶ所村、刈羽村、東海村、有明海沿岸の諸都市、沖縄・・・。
無論、このような構図を補強してきた一因としては、日本で選挙権を持つ人達の無関心さもある。
そのことを論じると色んな意味でややこしい展開になりそうなので省略するが。

世界のどこかで第2・第3の八ッ場ダムが生み出されないことを切に祈る・・・。


おまけ:
第1回目~第21回目については以下を参照(手抜き)。
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その21)(2009年12月31日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その20)(2009年12月30日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その19)(2009年12月29日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その18)(2009年12月28日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その17)(2009年12月27日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その16)(2009年12月26日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その15)(2009年12月24日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その14)(2009年12月19日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その13)(2009年12月17日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その12)(2009年12月12日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その11)(2009年12月7日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その10)(2009年11月29日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その9)(2009年11月27日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その8)(2009年11月25日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その7)(2009年11月20日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その6)(2009年11月18日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その5)(2009年11月15日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その4)(2009年11月11日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その3)(2009年11月10日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その2)(2009年11月7日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その1)(2009年11月5日 flagburner's blog(仮))


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