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八ッ場ダムの維持と撤去(代替ダム建設)のコストはどうなった?

2011-09-13 21:47:37 | 八ッ場ダム騒動
八ッ場ダムの建設計画に関して、コスト面から検証を続けていた国土交通省。
今日になって、その検証結果を公表されたのだが・・・。
・八ツ場ダム案、最高評価 国交省検証(2011年9月13日 asahi.com)
・八ッ場ダム:「検討の場」初会合 流域首長、政府を批判(2011年9月13日 毎日jp)

国交省に公開されてるの会議録をチラ見した限り、結論ありきで議論を進めた感が否めないこの話。
さしあたっては、2011年9月13日分 asahi.com『八ツ場ダム案~』を全文

---- 以下引用 ----
八ツ場(や・ん・ば)ダム(群馬県)の建設の是非を検証してきた国土交通省関東地方整備局は13日、河川改修などを中心とする代替案に比べて、ダム建設が治水や利水で最も効果的とする検証結果をまとめた。
前田武志国交相は同日の閣議後会見で「(早期建設を求める流域の)1都5県の知事たちの意見は重い。有識者の意見も聞き、結論を得たい」と述べ、建設再開の可能性が強まってきた。

 八ツ場ダムの建設中止は民主党の政権公約の一つで、政権交代直後の2009年9月に当時の前原誠司国交相が本体工事の中止を宣言。
同整備局が昨年10月から八ツ場ダムの必要性の検証を進めてきた。

 検証では、八ツ場ダムを建設した場合と、建設しないで河川改修や土地利用規制などを組み合わせた場合の4案とを比較。
その結果、治水効果を確保するために今後必要とされる経費は、ダム中心の対策だと約8300億円で、他の4案より1300億~1千億円安かった。
利水効果を得るのに必要な経費も約600億円で、1千億~1兆円以上も下回った。
---- 引用以上 ----

実は、某上毛新聞などでは、この検証会議の結果が数日前から掲載されてたのだが・・・。
なんか、この検証会議では、八ッ場ダムの建設後の維持・撤去コストについて安く見積ってる気がする。
特に、撤去については、別のダムを利根川水系のどこかに建設する可能性が高いわけだし。
1都5県の主張の方々は、八ッ場ダムの維持・撤去コストについて何にも考えてないんだろうか・・・?


話を変える。
実は、八ッ場ダム建設予定地の上流で行う予定である吾妻川支流の河川の中和事業計画について国土交通省が色々検証を行っていた。
↓検証結果。
・吾妻川上流総合開発事業(実施計画調査)(2011年7月21日 国土交通省;.pdfファイル)

当初は、現在中和に使っている品木ダムのかさ上げや、新規中和用ダム(万座ダム)の建設を前提に事業を行うつもりだった。
が、事業の対象となる区域の地質が万座ダム建設に不適と判明したり、品木ダム周辺の地質が悪かったためこれらを撤回するハメになった(大幅な技術改良があれば不可能でないかもしれんが)。
この結果、万座ダムでの水力発電などは不可能になり、中和事業計画の変更を余儀なくされてしまう。
そして、代わりの案として、プラント方式(川の水を処理施設に引き込んで中和する)が推奨された。
ちなみに、中和処理時に生成される中和生成物は、(未処理の中和液含め)中和処理への再利用やセメントに使われるらしい。
ただし、それがどういう形になるかは一切不明だが・・・。

要は、吾妻川とその支流を「使える」川にするには中和事業をこの先も継続して行わなければならない、ってことだ。
コストとしてはそれほど高くないが、なかなか面倒な事業を・・・。
まぁ、これについて、1都5県の知事の方々がどこまで認識してるかどうか知らんけど。


最後になるが、この検証会議にともなって日本学術会議が行った『河川流出モデル・基本高水の検証』に対する学術的な評価から、『6. 附帯事項』の後半部分を(略
・「河川流出モデル・基本高水の検証に関する学術的な評価」(回答)(2011年9月1日 日本学術会議;.pdfファイル)

---- 以下引用 ----
(中略)
今回の検討で日本学術会議は、社会基盤の構築の基本値の一つである基本高水に関しては、確かな情報が広く共有されていない状況が、社会の混乱,
合意形成の障害を引き起こすことを認識した。

基本高水の算定には、我が国でこれまで多数の流域で適用実績を持っていて信頼性がある貯留関数法を、程度分布型のモデル形式にして利用してきた。 しかし、人工衛星やレーダ等の観測体制が充実し、再解析などモデル出力が利用可能となってきており、さらに、流域内で実際生じている雨水流出現象の物理機構を捉えモデル化する方法や、貯留施設や河道整備など人工的流水制御の影響を取り入れ、森林や農地、宅地等の土地利用の変化の効果を定量的に評価しうる分布型・連続時間流出モデルによるシミュレーョン技術、流出計算モデルの共有技術が進展している。
このため、これらの学術の近年の成果を効的に取り込んだ、より合理的な河川計画の手法を確立し、そこから生み出されるより正確な情報を広く共有することにって、合意形成を図るための計画の形成を要請する。
---- 引用以上 ----

依然として、河川計画に使う計算モデルに改善の余地がある、ってことだろうか?


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