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上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その7)

2009-11-20 19:50:07 | 八ッ場ダム騒動
性懲りもなく継続中の、上毛新聞で 2009年9月23日から22回に渡って掲載された『八ッ場の57年』という連載記事への突っ込み、という謎更新。
第1回目~第6回目については以下を参照(手抜き)。
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その6)(2009年11月18日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その5)(2009年11月15日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その4)(2009年11月11日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その3)(2009年11月10日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その2)(2009年11月7日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その1)(2009年11月5日 flagburner's blog(仮))

今回の肝は、利根川水系開発において今まで意味づけが明確でなかった八ッ場ダムが、建設省が出した利根川・荒川水系の水資源開発基本計画(フルプラン)に組み込まれるかどうかの経緯かと。
その裏では、後に首相となった方々(よりによって群馬県が地盤)の動きも・・・。

つーことで、2009年9月30日分上毛新聞『八ッ場の57年 苦悩の軌跡 7』の文字起こしをしてみた。
ただし、一部表記を変更+強調を入れておく。

---- 以下文字起こし ----

町長選で反対派勝利
国計画化 阻止ならず

2009年9月30日 上毛新聞


1974年4月の長野原町長選はダム建設の賛否を巡り、新人2候補の間で激戦が繰り広げられた。
反対派住民が結束して初めて擁立した前八ッ場ダム建設反対期成同盟のリーダー樋田 富治郎氏(86)が、条件付賛成派とされる候補を破って当選した。

「地域の人が手弁当で真剣に応援くれた。当選した時は、みんな感激の涙を流して喜んでくれた」と、娘の文子さん(61)は当時の熱気を振り返る。
反対派の盛り上がりは最高潮に達していた。
ダムへの賛否両論、活発な動きが見られたため、町民の関心は高く、投票率は 95.41%に達した。

ダム建設に対しては 1972年当時、吾妻地域を訪問した中曽根 康弘元首相が地元の意向を尊重した慎重な対応を説いた。
そのころ故小渕 恵三元首相は地域開発を考えた法整備を要望。
一方、故福田 赳夫元首相は75年当時、住民の理解を得た上で推進する考えを表明した。
国政を巻き込んでエスカレートしていく政治問題に、住民は強い意思で臨んだ。

町長選で示された民意について、1974年4月24日付の上毛新聞は「ダム建設は断念か/住民が拒否を表明」の見出しとともにこう記していた。

<建設省は八ッ場ダムに強い執着を見せ、あらゆる対策を工事、(中略)建設の地固めを行う計画だったが、今度の選挙で賛成派が敗北したことで(中略)先行きの見通しは暗くなった>

しかし、運動の高まりをよそに、国はダム推進へ向けて着々と環境の整備を進める。

国土庁(現国土交通省)の利根川・荒川水系の水資源開発基本計画(フルプラン)に八ッ場ダムを組み入れる案が 1975年11月、町議会で明らかになる。
フルプランへの組み入れは、安定的な水供給にも必要な施設と国が認定した意味を持つ。

これに対し 1976年3月の町議会で、戸井田町長は「現時点での組み入れは反対」と表明した。
議会側は推進、反対両派の議員で意見が対立し、「水没関係住民の生活の安定と町に対する法的、財政的確約がなされない限り、ダム建設には反対する」などと統一意見をまとめた。
「絶対反対」と「条件付賛成」のぎりぎりの合意点を模索した内容とも読み取れる。

神田 シン(土へんに申)六知事はこうした意向などを踏まえ、国土庁に「組み入れについては慎重にして欲しい」と伝える。
しかし、計画は審議会で了承され、予定工期などが削除されたものの、閣議決定される。

同年8月に就任した清水 一郎知事は「ダムについて腹を決めるために地元町長、議長と会う」と発言、ダム問題解決に向けて、町や町議会、住民らとの対話で働きかけを強めた。
反対派からの反発なども経て県は 1979年2月、生活再建案作りのための現地調査に着手する。

樋田町長は 1978年4月の町長選で新人候補に競り勝ち、2期目がスタートした。
文子さんは「ダム問題については、色々な葛藤があったと思う」と振り返った。


水資源開発基本方針(フルプラン)

産業の発展や都市人口の増加に伴い、広域的な用水確保が必要な水系を国土交通相が指定。
知事や審議会の意見を聞いて計画を決め、総合的な水資源の開発と利用の合理化を図る。

---- 文字起こし以上 ----

ちなみに、利根川水系とともに水資源開発基本方針が定められた水系には淀川水系なんてのがある。
現在の両水系に関する水資源開発方針は以下を参照。
・利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画(2009年3月27日 mlit.go.jp;.pdfファイル)
・淀川水系における水資源開発基本計画(2009年4月17日 mlit.go.jp;.pdfファイル)

で、この開発基本計画については、水資源に関する付記事項的なことも書かれていた。
以下、2009年3月27日分 mlit.go.jp 『利根川水系及び~』から P.6-P.8 に書かれてる『その他水資源の総合的な開発及び利用の合理化に関する重要事項』を長くなるが引用する。

---- 以下引用 ----
(中略)
3 その他水資源の総合的な開発及び利用の合理化に関する重要事項


(1) この両水系に各種用水を依存している諸地域において、適切な水利用の安定性を確保するため、将来的な地球温暖化に伴う気候変動の影響への対応及び事故等緊急時における対応も含め、需要と供給の両面
から総合的な施策を講ずるものとする。

(2) 渇水に対する適正な安全性の確保のため、各利水者の水資源開発水量等を適正に反映した都市用水等の水利用調整等について具体的な対策を講ずるものとする。
併せて、異常渇水時や事故等の緊急時における対応について、平常時から関係者の理解と合意形成に努めながら対策を確立するものとする。

(3) 既設ダム群の連携や運用の高度化、施設更新時等を捉えた必要な施設機能の追加等、既存施設の有効活用を適切かつ着実に推進するものとする。

(4) 水資源の開発及び利用を進めるに当たっては、水源地域の開発・整備に加え、上下流の地域連携を通じた地域の特色ある活性化を図ること等により、関係地域住民の生活安定と福祉の向上に資するための方策を積極的に推進するとともに、ダム周辺の環境整備、水源の保全かん養を図るための森林の整備等必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(5) 水資源の開発及び利用に当たっては、流域での健全な水循環を重視しつつ、治水対策、河川環境の保全及び水力エネルギーの適正利用に努めるとともに、既存水利、水産資源の保護等に十分配慮するものとする。

(6) この両水系に各種用水を依存している諸地域においては、一部の地域で過去に地下水の採取により著しい地盤沈下が発生し、現状では沈静化傾向にあるものの、依然として地下水に対する依存度が高いことから、安定的な水の供給を図りつつ、地下水採取の規制とともに地下水位の観測や調査等を引き続き行い、地下水が適切に保全・利用されるよう一層努力するものとする。

(7) この両水系における水資源の開発及び利用は、既に高度な状態に達しつつあるので、次のような水利用の合理化に関する施策を講ずるものとする。
i. 漏水の防止、回収率の向上等の促進を図るとともに、節水の普及啓発に努めるものとする。
ii. 生活排水、産業廃水等の再生利用のための技術開発等を推進し、その利用の促進を図るものとする。
iii. 生活環境の整備に伴い増大する下水処理水と河川流水を総合的に運用する施策を推進するものとする。
iv. 土地利用及び産業構造の変化に対応し既存水利の有効かつ適切な利用を図るものとする。

(8) 水資源の総合的な開発及び利用の合理化に当たっては、水質及び自然環境の保全に十分配慮するとともに、水環境に対する社会的要請の高まりに対応して水資源がもつ環境機能を生かすよう努めるものとする。

(9) 本計画の運用に当たっては、各種長期計画との整合性、経済社会情勢及び財政事情に配慮するものとする。

---- 引用以上 ----

なんつーか。
引用文中の(4)について、過去の生活再建策がどれほど考慮しているかについて疑問を持たざるを得ないわな。
それ以前の問題として、八ッ場ダム建設騒動について利根川水系下流域に住む人達の関心が薄い点も指摘できるけど・・・。
現状、建設予定地の人達と利根川水系下流域に住む人達が対話する可能性は相当低いだろうしな~。

あ、頭が痛くなってきた・・・。


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