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上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その14)

2009-12-19 17:07:24 | 八ッ場ダム騒動
性懲りもなく続いてしまっている、上毛新聞で 2009年9月23日から22回に渡って掲載された『八ッ場の57年』という連載記事への突っ込み、という謎更新。
今回は、1992年7月の用地補償調査協定調印後~1994年3月31日の本体工事用進入路着工(・・・)までの経緯を伝えてる部分になる。
・工事用進入路 42年の歳月経て着工(2009年10月7日 raijin.com)

つーことで、2009年10月7日分上毛新聞『八ッ場の57年 苦悩の軌跡 14』を全文引用してみた。
ただし、一部表記を変更+強調を入れておく。

---- 以下引用 ----
工事用進入路
42年の歳月を経て着工

2009年10月7日 上毛新聞


長野原町の水没5地区(長野原、横壁、林、川原湯、川原畑)住民が 1992年7月、土地や家屋などの財産がどれくらいになるかを確定するための用地補償調査協定に調印したことで、八ッ場ダムは建設に向けて本格的に動き出した。
建設省(現国土交通省)は同年9月、ダム本体や周辺道路の建設、鉄道の付け替え、代替地造成などを行う際に必要となる工事用進入路の用地調査に着手。
一方で、水没地区住民の移転希望先を訪ねる意識調査もまもなく始まった。

八ッ場ダムの工事用進入路は、2キロにもなる楡(にれ)木沢進入路を始め16路線。
総延長は17キロ、地権者は延べ約450人に上った。

建設省と地権者の用地交渉は用地補償調査協定の締結後、地区ごとに実施された。
交渉は 1993年11月、川原畑地区で開かれたのを最後に終結。
八ッ場ダム工事事務所と水没5地区住民との間で合意に達した。

合意内容は工事進入路に当たる用地について、1平方メートル当たり
(1)農地(田畑)1万6100円
(2)山林(普通)4千円
(3)山林(がけ地)1900円
を仮価格とし、その70%を地上権設定料として前払いするというもの。
仮価格は水没5地区とも同一で、具体的な用地買収価格などを定めた補償基準とは一切関連を持たないことが明記された。

合意を受けて同事務所は、地権者と個別に地上権設定契約を急ぎ、着工時期については「早ければ年内、遅くとも年度内」との目標を示した。

同工事事務所は 1994年3月30日、工事用進入路2路線の造成工事を発注。
発注されたのは、吾妻川右岸の横壁地区の小倉進入路の一部約400メートルと、長野原地区尾坂進入路の一部分約200メートルだった。
工期はいずれも翌日の3月31日からで、年度ぎりぎりの着工となった。

2路線は指名入札で受注が決まり、工事はいずれも地元の建設会社が落札した。
実際に工事が始まったのは同年4月25日のこと。
八ッ場ダムは 1952年の調査開始以来、42年の歳月を経て始めて関連工事がスタートした。

地元の人達は、ふるさとに響く重機の音、行きかう工事用車両の姿を様々な思いで見つめた。
萩原 国男さん(65)=同町横壁=は「ようやく(工事が)始まったかと思った。後で振り返ると、あれが一連の関連工事のスタートだったんだなとしみじみ思った」と話す。
また、金子 幸弥さん(64)=同=も「子供の頃からあった計画がようやく工事に入ることに感慨深さを感じた。色々あったが、いよいよ始まるんだと思った」と当時を振り返る。

八ッ場ダムの工事現場では以来、重機の音がやむことなく、今も工事が続いている。


移転先の意識調査

建設省は1993年11月末までに水没5地区住民と農地所有者474人を対象に移転先に対する初の以降調査を実施した。
住民の7割は生活再建案で示した代替地の移住を希望。
町外への移住希望は1割で、2割が態度を保留した。
移住する宅地は現在地の2倍程度の面積を望む回答が多く、農地所有者の代替地希望は6割に上った。
---- 引用以上 ----

地上権ってのは、民法第265条~第269条の2 で定められてるブツ。
・第4章 地上権(houko.com)

↑から、この記事で関係の深そうな部分を引用する。

---- 以下引用 ----
(中略)
(地上権の内容)
第265条 地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。

(中略)

(地上権の存続期間)
第268条 設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において、別段の慣習がないときは、地上権者は、いつでもその権利を放棄することができる。
ただし、地代を支払うべきときは、1年前に予告をし、又は期限の到来していない1年分の地代を支払わなければならない。

(中略)

(地下又は空間を目的とする地上権)
第269条の2 地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。
この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。
2 前項の地上権は、第三者がその土地の使用又は収益をする権利を有する場合においても、その権利又はこれを目的とする権利を有するすべての者の承諾があるときは、設定することができる。
この場合において、土地の使用又は収益をする権利を有する者は、その地上権の行使を妨げることができない。
(以下略)
---- 引用以上 ----


なんだろうな。
地元の業者に八ッ場ダム工事用進入路2路線の建設を発注したのは、ある意味で合理的なのかもな。
そうすれば、八ッ場ダム建設に伴う(少ないとはいえ)利益を上手いこと分配できるし、短期的には地元経済活性化にも繋がるし。
ついでに、八ッ場ダムが「地元との合意」によって建設されてる、という大義名分を掲げられるしな!
その辺は、↓の事情が端的に示してるかもしれんが・・・(強引)。
・関連工事の大半が落札率94%超 八ツ場ダム、談合の可能性指摘(2009年10月14日 47NEWS)

だとしたら、自民党政権(よりによって群馬県出身の首相がいる時期が結構長いのよね)もなかなか意地の悪い・・・(苦笑)。


おまけ:
第1回目~第13回目については以下を参照(手抜き)。
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その13)(2009年12月17日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その12)(2009年12月12日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その11)(2009年12月7日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その10)(2009年11月29日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その9)(2009年11月27日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その8)(2009年11月25日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その7)(2009年11月20日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その6)(2009年11月18日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その5)(2009年11月15日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その4)(2009年11月11日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その3)(2009年11月10日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その2)(2009年11月7日 flagburner's blog(仮))
・上毛新聞の八ッ場ダムに関する連載記事に思ったこと(その1)(2009年11月5日 flagburner's blog(仮))


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