Good Life, Good Economy

自己流経済学再入門、その他もろもろ

グローバル経済と宗教の関係について

2009-07-10 | Weblog
宗教と経済との関係は普通に日本に暮らしている身としては、今ひとつピンとこないテーマといえます。どちらかというと、マックス・ウェーバーやマルクスなどの文献のなかにのみ存在する問題という印象であって、実体験として意識することはあまりないというのが一般的ではないでしょうか。

とはいえ、海外では時々要人が発言したりしています。7月7日にはローマ法王ベネディクト16世が「経済的正義の新たな時代」の実現を訴える回勅を出しました。一般市民にどれだけインパクトを与えているのか、何かと批判されることの多い法王だけに、ちょっと疑問な感じもします。

しかしBloombergによれば、イタリアの中央銀行のドラギ総裁が「経済危機によって倫理と経済を関連付ける必要が確認された」という発言をしたり、カトリックの米民主党議員らが、オバマ大統領の政治課題を教会の教義と関連付けるキャンペーンをスタートさせたりと、政治的な動きが出てきているのも事実なようです。さらにオバマ大統領が7月10日に回勅の経済メッセージについて法王と話し合うとも報道されています。

The Economistは、その一貫して自由主義的な立場から、法王の回勅の国連中心主義的バイアスと左派的傾向(記事によれば、ローマ教皇庁の組織である「正義と平和評議会」の影響であることが示唆されています)を批判しており、それと対比する形でイスラムの宗教指導者やイスタンブールやロシアのキリスト教聖職者の環境問題へのコミットメントにより高い評価を与えています。

今般の経済危機と経済学への信用失墜に対し、新たな倫理性をもって対処するというアプローチは、宗教とは切り離した立場からも既になされています。しかし、世界経済を動かす原動力としての宗教という視点も、それを受け入れるか拒絶するかに関わらず、ますます重要になっていくと思われます。

1 コメント

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マルテンサイト千年 (企業文化研究者)
2024-03-27 11:58:50
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタインの理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。多神教的というか多様性のあるどこかなつかしさのある日本らしさのようなものによって。
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